NEWS

ホーム > NEWS > 華やかに幕を開けた大阪松竹座「七月大歌舞伎」 『京鹿子娘道成寺』『俊寛』に出演の 尾上菊之助にインタビュー

華やかに幕を開けた大阪松竹座「七月大歌舞伎」
『京鹿子娘道成寺』『俊寛』に出演の
尾上菊之助にインタビュー

道頓堀の夏を彩る大阪松竹座での「七月大歌舞伎」が、今夏は開場100周年記念として華やかに幕を開けている。女方と立役(男性役)の両方で進化を続ける尾上菊之助が、昼の部の『京鹿子娘道成寺』と夜の部の『俊寛』というふたつの名作に出演。充実したみずみずしい演技を繰り広げている。

「大阪の夏の風物詩として毎年上演されている公演に、また参加させていただきたいとずっと思っておりました。4年ぶりに出演が叶い、しかも100周年という大きな節目の年に伺わせていただけることは、大変光栄です」と菊之助。

女方舞踊の大曲『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子に臨むのは5度目で、大阪では初めて。能の『道成寺』を素材にした作品で、初演(1753年)当時の流行唄をつなぎ合わせた組曲にのせ、満開の桜を背景に、女方の様々な美を見せていく。鐘に恨みを持つ清姫の亡霊が花子となって道成寺の鐘供養に現れ、華麗な踊りを披露するうち、蛇体となって本性をあらわすという展開だ。「時が流れていく物悲しさや無常さ、儚さから始まっていく変化に富んだドラマチックな舞踊で、曲の構成や歌詞も素晴らしく、世界観が深いです」と作品の魅力を語る。「花子の鐘に対する情念を内に秘めつつ、少女から恋を知った大人の女性までを踊り分けていきますので、色々な女性の恋心の様をご覧いただきつつ、どういうところで鐘に対する思いが湧き出てくるのかをお楽しみいただければと思います」。

近松門左衛門作の『俊寛』で取り組むのは、丹左衛門尉基康。俊寛僧都らが流刑となった鬼界ヶ島に、赦免の使者のひとりとしてやって来る平家の武士だ。「3年前に初めて演らせていただきました。絶海の孤島へひとり残る決意をした俊寛の覚悟を見て、最後は都へ向かう船から見送るという人物。都を思いながら島で耐えて生きている俊寛が、都にいる妻が亡くなったと告げられた時の絶望感や、(仲間の)丹波少将成経と(島の海女)千鳥との恋模様、若いふたりに託す俊寛の慈愛が描かれている素晴らしい作品だなと、出させていただくたびに思います」と話す。

今回、俊寛を演じているのは人間国宝の片岡仁左衛門。「仁左衛門のお兄さんが描かれる近松の世界で、丹左衛門という義と情に厚い平家の武将になり切れるよう懸命に勤めます」と意欲を滲ませた。

公演は、大阪松竹座にて7月25日(火)まで上演中。

取材・文:坂東亜矢子
撮影:井川由香

ヘアメイク:荒川和奈
スタイリスト:中井綾子(crepe)
衣裳:イザイア/イザイア ナポリ 東京ミッドタウン




(2023年7月12日更新)


Check

大阪松竹座開場100周年記念 七月大歌舞伎

〈関西・歌舞伎を愛する会 第三十一回〉

チケット発売中 Pコード:519-533
▼7月25日(火)まで上演中
〈11:00〉『吉例寿曽我』『京鹿子娘道成寺』『沼津』
〈16:00〉『俊寛』『吉原狐』
大阪松竹座
1等席-18000円 2等席-9000円 3等席-5000円 
[出演]片岡仁左衛門/中村鴈治郎/中村扇雀/坂東彌十郎/片岡孝太郎/松本幸四郎/尾上菊之助/中村亀鶴/大谷廣太郎/中村米吉/中村隼人/中村虎之介/片岡千之助/市川染五郎
※日時・席種により取り扱いのない場合あり。4歳以上は有料。
※7/10(月)・18日(火)は休演。
[問]大阪松竹座■06-6214-2211

チケット情報はこちら