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大竹しのぶが挑む一人芝居
「難しい。でもおもしろい!」

大竹しのぶが21年ぶりの一人芝居『ヴィクトリア』に挑戦する。関西で初めてとなる大竹の一人芝居だ。脚本は、イングリッド・バーグマンの最後の出演映画となった『秋のソナタ』などで知られる映画界の巨匠、イングマール・ベルイマン。長編映画のために書いたが、1990年にラジオドラマとして発表した作品だ。ヴィクトリアという女性が自分の魂に語りかけるような独白を、過去と現在、幻想と現実が融合したような手法で描く。演出は、かつてニナガワ・スタジオで蜷川幸雄の演出助手を務めていた藤田俊太郎。大胆で細やかな描写に定評がある気鋭の演出家だ。藤田がまだ20代の頃からの仕事仲間の大竹、今回がっつりタッグを組む。稽古終盤の大竹が一人芝居への思いを語った。

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「全部ひとりで、自分が頑張らないといけなくて、寂しいしキツイなって感じです。舞台装置も衣装も変わらず、言葉とお芝居だけでその場面を観ている人に想像させるという、大変難しい芝居に挑んでしまった」。そう語るのは大竹の本心だが、同時にその難しさに「だからこそおもしろい」と立ち向かうことを楽しみ、自分の力を増幅させて乗り越えてしまうすごさがこの人にはある。

ベルイマンの世界は「暗いけど深く、繊細。稽古を重ねるほどおもしろくなってくる」。物語は、ヴィクトリアが自分の内面や心情を見つめる回想の形で進展する。愛された記憶がなく、現実と空想の世界を行き来する彼女を「『欲望という名の電車』のブランチに似ている」と大竹。そして、ヴィクトリアを演じつつもヴィクトリアには「全然、共感できない(笑)。私は『まぁいいか』という考え方なので、『ねぇあなた、そこまで落ち込まなくても。ファイト~!』とか言いたくなっちゃう」と笑うところも大竹らしい。

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「でも、女性が自立すること、自分が自分を愛することができないというのは、生きることがほんとに大変だと思う。最後に、自分は素晴らしい人間なんだと肯定して生きていってほしいという思いが見えたらいいな。どんな言葉でもいいので、この芝居を観る人の心の中に入っていく何かがあれば」。そう願い、常に自分自身への客観視を忘れないように、たったひとりでヴィクトリアを生きる。「すごく挑戦し甲斐がある戯曲なので、ちょっと集中力が必要かもしれませんけれど、お客様にもこの世界を堪能してほしいです。一瞬で世界が変わる芝居っておもしろい、こんなに深いって伝えたい。だから、人間はこんなにおもしろいんだ、ということを感じていただけるよう頑張りますので、是非劇場で体験してください」。

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公演は、6月30日(金)まで、東京・スパイラルホール、7月5日(水)・6日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、7月8日(土)・9日(日)京都芸術劇場 春秋座、7月11日(火)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて。チケット発売中。

取材・文:高橋晴代
撮影:宮川舞子




(2023年6月27日更新)


Check

「ヴィクトリア」

【東京公演】

▼6月30日(木)まで上演中
スパイラルホール

Pick Up!!

【関西公演】

[作]イングマール・ベルイマン [演出]藤田俊太郎
[出演]大竹しのぶ

チケット発売中 Pコード:518-352
▼7月5日(水)・6日(木)14:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
S席-8000円 A席-6000円 B席-4000円 
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

チケット発売中 Pコード:518-354
▼7月8日(土)・9日(日)14:00
京都芸術劇場 春秋座
一般 S席-8000円 一般 A席-6000円 
※学生&ユースは取扱なし。未就学児童は入場不可。補助席、2階RL列は、舞台が見えづらい席がございます。
[問]京都芸術劇場チケットセンター■075-791-8240

【愛知公演】

▼7月11日(火) 14:00
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

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