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演出家・藤田俊太郎×大竹しのぶ
「これぞ演劇の神髄」

6月24日に東京で開幕した大竹しのぶの一人芝居『ヴィクトリア』が、まもなく兵庫と京都で上演。20世紀の巨匠のひとりに数えられ、映画人、演劇人だったイングマール・ベルイマンが70年代に執筆した作品の日本初演だ。20世紀に生きた女性の幼少期から晩年までが凝縮され、時代を行き来しながら描き出される。場面転換なし、衣装替えなしで1時間10分、大竹がたったひとりで演じるヴィクトリアの人生。演出は藤田俊太郎。ニナガワ・スタジオで蜷川幸雄の演出助手を10年務めた藤田は、20代の頃そこで大竹と初めて出会った。演出家としてキャリアを積み、20年を経た今、1対1のタッグを組む。初日が開いてすぐ藤田が来阪、この作品と大竹の魅力を熱く語った。

「とても鮮烈で悲しくて美しい、舞台でしか表現できない、言葉を大事にした作品ができたのではないかと思います」と話す藤田にとって、ベルイマンは「自分の人生に決定的な影響を与えた表現者で、特別な憧れの存在」だ。「苦しみからの脱却、どのように希望を持って生きていくのかという普遍的なテーマで人間を描き続けたベルイマン。美しく、強く心に残るものが多いのではないかと思います」。その日本初演に大竹を得て作り上げた舞台。「大竹さんがヴィクトリアに魂を宿し、そこに輝いている。彼女のあくなき挑戦と求心力が作品を成長させていく。圧倒的です」。

物語は朝、ベッドにいるヴィクトリアが語り始めるシーンから始まる。家、父の書斎、パーティ会場などさまざまな場所と時間が交錯し、描かれる人生の瞬間、その喜怒哀楽。例えば夫との会話のシーン。「『あ、わかる、わかる~』って、夫婦のコメディみたいです」。もちろん夫は具体的に出てこないが、大竹があたかもそこにいるように表出し、観客の想像力で想起させる。「出演者はひとりですが、その向こう側にいるたくさんの人たちを大竹さんは演じ分けます。その魔法にかかっていただけたら」。

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そしてベルイマンが最後に託す、かすかな希望。「この作品は人間賛歌、女性賛歌だと思います。お客様全員が今の私の話と思って観ていただける作品です」。その劇場で、その日の観客で、大竹の演技は毎日変わる。「今まで一人芝居を観たことがない人は、この芝居でその素晴らしさを体験していただけます。一人芝居を観たことがある人は、人間の想像力や俳優がここまですごい世界に私たちを連れ去ることができるというのを初めて体験していただけるでしょう。自分への応援歌、1時間10分で持って帰っていただけるものはたくさんあります。ぜひ、劇場で体験していただきたい。一生忘れられない公演になると思います」。

公演は、6月30日(金)まで東京・スパイラルホール、7月5日(水)・6日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、7月8日(土)・9日(日)京都芸術劇場 春秋座、7月11日(火)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて。チケット発売中。

取材・文:高橋晴代
舞台写真:宮川舞子




(2023年6月28日更新)


Check

「ヴィクトリア」

▼6月30日(木)まで上演中
スパイラルホール

Pick Up!!

【関西公演】

[作]イングマール・ベルイマン [演出]藤田俊太郎
[出演]大竹しのぶ

チケット発売中 Pコード:518-352
▼7月5日(水)・6日(木)14:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
S席-8000円 A席-6000円 B席-4000円 
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

チケット発売中 Pコード:518-354
▼7月8日(土)・9日(日)14:00
京都芸術劇場 春秋座
一般 S席-8000円 一般 A席-6000円 
※学生&ユースは取扱なし。未就学児童は入場不可。補助席、2階RL列は、舞台が見えづらい席がございます。
[問]京都芸術劇場チケットセンター■075-791-8240

【愛知公演】

▼7月11日(火) 14:00
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

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