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「七月大歌舞伎」恒例の船乗り込みに
仁左衛門、鴈治郎ら歌舞伎俳優が勢ぞろい

7月3日(月)から幕を開ける「大阪松竹座開場100周年記念 七月大歌舞伎」。片岡仁左衛門、中村鴈治郎、中村扇雀ら上方歌舞伎の俳優を中心に、ベテランから若手まで東西のオールスターが出演。近松門左衛門の名作や、大阪では初上演の作品など、昼夜ともバラエティー豊かな演目を7月25日(火)まで上演する。

6月29日には「七月大歌舞伎」恒例の船乗り込みが行われ、真っ青な空の下、歌舞伎俳優たちが船上で公演をPRした。白を基調にした涼しげな浴衣姿の役者らを乗せた船が本町橋を出航し、大阪松竹座に最も近い戎橋付近までやってくると、沿道からは歓声が上がった。大量の紙吹雪が宙を舞い、一気に華やかな雰囲気に。鴈治郎や松本幸四郎は、それぞれの船から記念撮影、尾上菊之助は駆けつけたファンたちに手を振っている。口上で最初に仁左衛門の名前が呼ばれるとより大きな歓声が響き、仁左衛門も立ち上がって、笑顔で声援に応じた。

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続いて大阪松竹座で式典が行われ、俳優たちが一言ずつ挨拶した。俳優の名前が呼ばれると、屋号を呼ぶ大向こうの声があちこちで響き、劇場に"歌舞伎らしさ"が戻ってきた。

まずは鴈治郎が登壇。親しみのある大阪弁で次のように話した。「今日は思いのほかのピーカンで、うわぁ暑っ!て。本当に大阪松竹座に帰ってきた思いがいたします。去年の7月の松竹座の公演も、久々に熱い熱い芝居がかけられて、皆様にも喜んでいただけた、客席と舞台が一体になるような感じを受けました。今年ももっともっと熱い芝居、熱い舞台を皆様にお届けできればと思っています」。

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での北条時政役も記憶に新しい坂東彌十郎は「3年半ぶりに松竹座に戻ってまいりました。7月の大歌舞伎は4年ぶりでございます。今日の船乗り込みも懐かしかったです。客席からも本当に熱い大阪を見せていただきたいと思います。1ヵ月、どうぞよろしくお願い申し上げます」と挨拶した。

今や「七月大歌舞伎」には欠かせない松本幸四郎は、仁左衛門と船乗り込みができたことに感激したと顔をほころばせる。「松嶋屋のおじさまと船乗り込みができたことに本当に興奮しております。感激しております。夜の部の『吉原狐』は大阪では初めての上演になると思います。人の情、そして繋がりというものを温かく見ることができ、また笑っていただき、ちょっとほろっとしていただくお芝居を目指しています。また、せがれの染五郎が大阪松竹座初お目見えをさせていただきます。何卒よろしくお願いします。とにかく熱い熱い大阪松竹座にいたしたいと思っております!」

2022年にNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で "モモケン"こと時代劇スターの桃山剣之介役でお茶の間の人気を不動のものにした尾上菊之助は「大阪松竹座は2019年に来させていただいて以来、3年、間が空いてしまいました。ずっと大阪に行きたいと思っていて念願が叶いまして、船乗り込みも参加させていただき、沿道からもたくさん声援をいただき、本当に力をいただきました」と感慨深い表情を浮かべた。

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歌舞伎はもとより演劇やドラマ出演など活躍が目覚ましい中村隼人は、「松竹座には昨年に引き続き出させていただきます。先ほど伺ったところ、昼の部の『吉例寿曽我』〈鶴ヶ岡石段の場〉は松竹座で上演するのが初めてということで、100年の歴史がある劇場で初めてという作品を上演できることを本当にありがたく思っております」。

仁左衛門、孝太郎と親子三代で出演する片岡千之助は、はきはきとした口調で元気よく挨拶。「3歳の頃に大阪松竹座で初お目見え、本名の片岡正博で出させていただき、ちょうど20年が経ちました。原点回帰、初心に戻り、今月も精一杯勤めさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします」。

大阪松竹座初お目見えの市川染五郎は、船乗り込みも初めてだった。「この度、初めて大阪松竹座さんにお目見えさせていただくことになりました。今まで客席から感じていた大阪の皆様の独特の熱気を、舞台上から初めて実感させていただけるということで、とてもワクワクしております」。

女形に定評のある上村吉弥は、「『七月大歌舞伎』は2年ぶりになります。夜の部だけになりますが、懸命に勤めてまいります。どうぞよろしくお願いします」と挨拶した。

昼の部で『沼津』に出演する片岡孝太郎は、鴈治郎、扇雀、幸四郎らとの共演に「暑い暑い中座で汗をかいてきた仲間と、また一緒にお芝居ができることにうれしく思っています」と笑顔を見せた。

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昼の部で『沼津』に出演する扇雀は次のように意気込んだ。「うちの父、祖父、曾祖父と代々当たり役にしております呉服屋十兵衛を初役で勤めさせていただきます。客席の中を歩いて、いろいろな時事ネタも言いながら楽しくお芝居を進めて、最後にはほろっとしていただき、ああ、見てよかったな、ええ芝居やったなと言っていただけるよう、精いっぱいいい舞台を勤めたいと思っております」。

そして仁左衛門の名前が呼ばれると拍手がひときわ大きくなった。「私は7月の舞台に立たせていただきます時に、毎回、昔のことが思い出されて、今日のありがたさを改めて噛み締めております。とにかく今年も、我々"若手"一丸となって、この七月の公演を盛り上げたいと思っております」と締めくくった。

最後は仁左衛門の音頭で大阪締めでの成功を祈念し、7月3日(日)からの幕開けを寿いだ。

取材・文/岩本




(2023年6月30日更新)


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大阪松竹座開場100周年記念 七月大歌舞伎

〈関西・歌舞伎を愛する会 第三十一回〉

チケット発売中 Pコード:519-533
▼7月3日(月)~25日(火)
〈11:00〉『吉例寿曽我』『京鹿子娘道成寺』『沼津』
〈16:00〉『俊寛』『吉原狐』
大阪松竹座
1等席-18000円 2等席-9000円 3等席-5000円 
[出演]片岡仁左衛門/中村鴈治郎/中村扇雀/坂東彌十郎/片岡孝太郎/松本幸四郎/尾上菊之助/中村亀鶴/大谷廣太郎/中村米吉/中村隼人/中村虎之介/片岡千之助/市川染五郎
※日時・席種により取り扱いのない場合あり。4歳以上は有料。
※7/10(月)・18日(火)は休演。
[問]大阪松竹座■06-6214-2211

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