NEWS

ホーム > NEWS > 「64歳の今だから新解釈で演じる」 藤山直美が劇団の座長に

「64歳の今だから新解釈で演じる」
藤山直美が劇団の座長に

藤山直美主演の舞台『泣いたらあかん』が新歌舞伎座で上演される。公演に先立ち、藤山をはじめ出演者らが登壇し、会見を行った。

本作は、人気俳優から新歌舞伎座の社長となった松尾波儔江が書いた「女役者」が原作。大正から昭和のはじめ、旅一座を率いる川路鹿子(藤山)の悲喜こもごもの波乱万丈の半生を描く。1999年、2005年にも上演されたが、今回は藤山以外のキャストや脚本、演出を一新して挑む。「松尾先生をなぞった鹿子は、陰陽がある。派手で楽しそうで明るければ明るいほど、裏では本当に死ぬような苦しみを味わってきた時代と人の物語。元々私は喜劇役者ですから、どうしても喜劇に偏ってしまいますが、その陰陽で筋運びの素晴らしいお話です」と藤山。

榎本孝明、南野陽子、仁支川峰子、石倉三郎、内場勝則が顔をそろえる中、「石倉さんらとは何度もご一緒しているんですが、南野さん、内場さんと共演するのは初めてなんですよ。いいぃーーっっ!」と藤山が内場のギャグを言い、会場を笑わせた。

続けて、鹿子の夫・耕三役の榎木が「30数年前、喜劇の神髄を教えてくれたのは直美ちゃん。笑かそうとしたらあかん。一生懸命やった結果、おかしいのが喜劇だと学びました」と話す。鹿子の腹違いの妹・禎子役の南野は「直美さんといつか同じ舞台に立たせてもらいたいと思っていたので、念願が叶いました。直美さんが皆に気遣いされて、笑いの絶えないテンポのいい稽古場です」と言う。一座を見守る千吉役の内場は「刺激をもらいつつ、芝居とはこう作っていくんだと、うちの吉本新喜劇にはないものを稽古場で見せていただいている。藤山直美ワールドを存分に楽しんでもらえれば」と意気込んだ。

鹿子を演じるのは3回目となる藤山。「2番目のお母さんの喜久江(仁支川)と鹿子の父親の流星(石倉)との間にできた子が禎子。父親を取られ、やがて妹に自分の旦那を取られる。過去の公演では、そんなひどい話あるのと思いながら演じていました。でも64歳になった今は、分からんことないなぁと。そういう解釈ができるこの歳で芝居させてもらえるのはうれしい」としみじみと語った。

また、コロナ禍での演劇界について、「私のお芝居のお客さまはある程度、年齢が高い方が多い。お客さまがコロナ禍で劇場に足を運ばなくなった。行かなくなると行かなくなる癖がつく。劇場に足を運ぶ習慣から戻っていただかんとあかんなと思います。役者はお芝居を続ける以外、何も手がない。劇場のスタッフや皆さんに感謝しながら、お客さまが劇場に戻ってきてくれるように頑張ります」と決意を見せていた。


取材・文/米満ゆう子
撮影/髙村直希




(2023年5月29日更新)


Check

〈松尾波儔江 三十三回忌追善〉 「泣いたらあかん」

「原作:松尾波儔江著「女役者」より」

チケット発売中 Pコード:515-782
▼5月28日(日)~6月20日(火)
昼の部 11:00/夜の部 16:00
※5/28(日)・30(火)・6/2(金)・4(日)・7(水)・9(金)・11(日)・18(日)・20(火)=昼の部のみ。
※6/15(木)・16(金)の昼の部は貸切。
※6/5(月)・13(火)=休演。
新歌舞伎座
1階席-13000円 2階席-7000円 3階席-4000円 特別席-15000円
[脚本]吉本哲雄/横山一真
[演出]竹園元
[出演]藤山直美/榎木孝明/南野陽子/仁支川峰子/石倉三郎/金子昇
※未就学児童は入場不可。ご来場前に新歌舞伎座HPをご確認ください。
[問]新歌舞伎座■06-7730-2222(10:00~16:00)

チケット情報はこちら