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南河内万歳一座の本公演は
「喪失がテーマの笑える作品」

旗揚げから40有余年、関西を代表する劇団南河内万歳一座の本公演が5月24日(水)に大阪・一心寺シアター倶楽で開幕。劇団主宰で作・演出の内藤裕敬が公演について語った。

演目は2015年の初演以来、劇団としては8年ぶりの再演となる『楽園』。本作を書きあげた当時を内藤はこう振り返る。「福知山線の脱線事故を僕らはどう捉えたかということを、まったく別の形で演劇に発展できればと思っていて。その矢先、駅前に放置された自転車を見て、"もしかしたらこの自転車は、あの日以来、持ち主の帰りを待っているんじゃないか"と。一瞬にして様々なものを喪失した人たちが、それとどう向き合っていくのか、取り返していくのか、そんなお話です」。なお、事故の描写もなく、事故そのものの話ではない。

特に内藤がこだわりを見せるのが「喪失」。「これからの時代のキーワードになっていくような気がしている」と話す。「この作品は、事故が暗喩になっていますが、様々な喪失とどう向き合い、明日を生きるかということを明るく描いています。私の作家としてのこれからを見るうえでも、この再演はとても重要な位置づけになっていると思います。おそらくこれから描く新作は、その辺がどこかに必ず置かれる作品になっていくと思うのですが、あまり深刻に捉えずに、ただ"抱えて生きていく"ということをしっかりと物語にしたいなと思っています」。

極度の方向音痴の営業社員が、商談を済ませて駅に戻ろうとするも逆方向へ。迷った挙句、隣の駅の外れにぽつんとある居酒屋に道を聞きに入ってきたところから物語が始まる。ある事故以来、ギャンブル依存症になったおばちゃんや、痴漢で捕まり懲役を終えて数年後に戻ってきた男、その男をいまだに追いかける被害者の女性等々。居酒屋というひとところに集まり、振る舞い酒の大騒ぎ。そのさなか、「電車が止まっている」という情報が入り、「あの日と同じ」と言いはじめる客たち。そして様々な物事が見え隠れし始める。

舞台はワンシチュエーション。「様々なテーマやモチーフなどが居酒屋で展開されて、転がって、最後までいきます。途中で早送りをするとか、スピード感で移り変わる作品ではありません。ワンシチュエーションで引っ張っていけるかどうかが僕は演劇の価値だと思っていて。そういう演劇の特色、生身の人間がやっていくスタミナと、物語やテーマのスタミナが全部噛み合って、もうこれ以上は無理だというところまで場面を変えない、時間を変えないというのが演劇の本質的な価値だと思っていますので、この作品でそれをきっちりやったつもりです」。

コロナ禍の3年余りも、ある種の「喪失」だと話す。「それもタイムリーかなという気もして。とにかく見入ってほしい。"もしかしてこうなのかな?"と思いながら、よく分からなかったけど最後まで見入っちゃったと思ってもらえるように作りました」。

とはいえ、笑える作品だとも。「相当笑えますよ。 "ああ、そうか"なんて思いながら楽しく見れると思います」。

取材・文/岩本




(2023年5月24日更新)


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南河内万歳一座 「楽園」

チケット発売中 Pコード:517-530
▼5月24日(水)19:00
▼5月25日(木)14:00/19:00
▼5月26日(金)19:00
▼5月27日(土)13:00/17:00
▼5月28日(日)13:00
一心寺シアター倶楽
一般前売-3500円(整理番号付)
学生・シニア(65歳以上)-3000円(整理番号付、要証明書)
[作・演出]内藤裕敬
[出演]鴨鈴女/福重友/鈴村貴彦/松浦絵里/市橋若奈/寒川晃/有田達哉/丸山文弥/内藤裕敬/石川千紘/Emisa/木下健/長山知史/福井洸太/堀口桜
※5/25(木)14:00、27日(土)13:00公演終演後、アフタートークあり。
※青春18歳差切符は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。
[問]南河内万歳一座■06-6533-0298

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チケット発売中 Pコード:787-974
▼6月1日(木)10:00~6月30日(金)23:59
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配信視聴券-3000円 
※この公演はオンライン動画配信でのみご覧いただけます。配信時間・出演者は予定のため変更の可能性あり。販売期間中はお1人様1申し込みにつき1枚まで
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メール:event@linkst.jp(平日10:00~18:00)
※問合せ対応は該当公演(土日祝含む)の終演後1時間程度で終了とさせていただきます

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