声優の木村昴主宰、天才劇団バカバッカが
代表作『DADDY WHO？』を携え初のツアーへ

アニメ『ドラえもん』のジャイアン役でも知られる声優の木村昴が座長をつとめ、2009年10月に旗上げした天才劇団バカバッカが初のツアー公演を実施する。関西は11月５日(土)・６日(日)に滋賀・栗東芸術文化会館さきら 中ホールに登場。公演は劇団の代表作『DADDY WHO？』で、とあるお葬式に集まった人々が巻き起こす、ワンシチュエーションのドタバタファミリーコメディーだ。

「天才劇団バカバッカの真骨頂でもある、パワーのあるシチュエーション・コメディをお腹いっぱい観られます！」と作・演出、主演の木村昴。本作は劇団のカラーでもあるアドリブの多さも売りのひとつ。約２時間の会話劇だが、台本にはないセリフや展開が頻発。会場は笑いの渦に包まれる。「僕が台本を書いて、演出をつけているのですが、本番になってみないとどうなるかわからないところがあって。そこは演じる僕たちも楽しみですし、観客の皆さんも毎回ちょっとずつ変わる内容を楽しめると思います」。

初のツアー公演だけあり「結構、気合が入っている」という。過去４回上演してきた『DADDY WHO？』だが、「今までで一番、アドリブや、笑わせたいという気持ちが多くなるのでは」とも。劇団の信念は「すべては笑っていただきたい一心。切なくてほんのり泣けるシーンもあるけど、最後は笑って、安心してハッピーエンドを迎えられる公演にこだわって作ってきました。ただ、今回はめちゃめちゃ泣けるシーンもあるんです。すべての謎が解ける場面がもう、泣けるんですよ」と木村、笑って泣けるコメディーに自信をのぞかせる。

客演は森谷勇太とAKB48の篠崎彩奈。森谷は劇団初期から出演しており、もはや"準劇団員"という存在。「森谷くんは劇団員よりもセリフが多いですし、面白かったりもしますし、バカバッカは森谷くんでもっているみたいなところがあります(笑)。本当にバカバッカにはなくてはならない存在で、次回公演を企画するときも、当然のように森谷くんの名前が上がりますし、台本を書き始める前、劇場を押さえた時点ですぐオファーして、必ず出てもらっています。森谷くんがいないとバカバッカっぽくないなと思います」と全幅の信頼を寄せる。

続いて篠崎に期待したいことを尋ねると、「篠崎さんは現役アイドルで活動されていて、大勢のファンの方もいらっしゃいます。そんな方のお芝居はおもしろいなと思っていて。僕らの劇団は、舞台上から伝わる"この人たち楽しそうだな"という空気を大事にしていて。ステージ上から存在感を放つことにこだわっているので、篠崎さんの現役でスポットライト浴びているアイドルのオーラやキラキラに期待して、オファーしました」と木村。続けて「『DADDY WHO？』では、今まで見たことのない篠崎さんをファンの方にお見せできるのではないかな」と、"勝算あり"といった表情を浮かべる。彼女の新たな一面にも注目したい。

2015年に劇団本公演の番外編として誕生した『DADDY WHO？』は、作・演出が不在となった劇団の起死回生を図った作品だ。「当時、僕を含む劇団員３人がチームにわかれて、それぞれが演出をして公演を行うという挑戦をしました。そのことによって、劇団員にもそれなりに演出能力があることがわかりましたし、その経験で劇団員たちの台本を解釈する能力も格段に上がりました。『DADDY WHO？』は僕も初めて演出した作品でしたが、その時、今後の劇団の方向性が明確に見えて、以降、僕が演出するようになりました。劇団としての思い入れも強くて、なおかつ僕らが当時から伝えたかったメッセージも詰め込んだ作品でもあります」。

福岡、滋賀、札幌を巡回する劇団初のツアーに、「劇団員一同、とても楽しみにしている」と話す。「今回、ツアー公演をやるに至ったのは、今年の１月に東京で『DADDY WHO？』を上演したとき、今まで地方からお越しくださっていたお客様から"こういったご時世なので、なかなか東京に行くことが叶わない"とか、"行きたいのはやまやまなんだけど、我慢します"という声がありました。それを受けて、"よし、こっちから行くか"と、そういう思いでツアー公演を決めました。今回、僕たちから会いに行くので、よかったら遊びに来てください！ 明るく楽しい気持ちになっていただけると思うので、友達に会いに行く気分でお越しくださったら嬉しいです」。

取材・文／岩本

（2022年11月 1日更新）