歴代のタカラジェンヌによるコンサートは、
「OGの新しい一面を見てほしい」
1992年に大阪・梅田茶屋町に最先端技術を駆使した劇場として誕生した梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。同年12月には初の宝塚歌劇公演となる『TAKARAZUKA“夢”』を上演。以来大阪の文化発信地として、宝塚歌劇をはじめとした様々なエンターテインメントを世に送り出している。
そんなシアター・ドラマシティ開場30周年を記念し、9月16日(金)から3日間、同劇場に所縁の深い宝塚歌劇OGを迎えたスペシャルなコンサート、シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City “夢”』を開催。懐かしの楽曲から定番のナンバーまで、バラエティ豊かに盛り込んでお届けする。
公演に先立ち、出演者のうち麻路さき、稔 幸が取材会を行い、シアター・ドラマシティ(以下、ドラマシティ)での思い出や、互いへの思いなどを語った。
宝塚大劇場や東京宝塚劇場以外で一番よく出演させていただいたと振り返る麻路さき。「すごく思い入れの深い劇場です。ドラマシティの空間は、ショーもお芝居も、隅々まで生のものが行き渡るというか、サイズもいい気がします。あと、(公演の日は)私たちも茶屋町に行く。お客様も宝塚じゃなくて茶屋町に来る、それが何か別のものをお見せしたいという感覚になったのではないかなという気がします」。
麻路が星組トップスター就任の1995年に上演したシアター・ドラマシティ公演『Action!』で初めて同劇場に出演したという稔 幸。「ドラマシティは独特な作品が生まれる不思議な空間なので、観に行くのも楽しみでしたし、退団してからも出演させていただくたびに、いろいろな思い出のある劇場です。麻路さんがおっしゃったように、お芝居をやっていてお客様との距離感が心地よい感じがします」。
続いて、『Dramatic City “夢”』で披露する楽曲について尋ねると、麻路は「『ライト&シャドウ』という2番手の頃に出していただいた作品や、『Action!』の主題歌などです。今まであまり歌謡曲とかに挑戦をしてこなかったのですが、今回は竹内まりやさんの『いのちの歌』を歌うことになりました。これは自分の中では一番の挑戦になります。あとは、それぞれが自分のやっていた昔の場面を他の人とコラボレーションする楽曲もあります」。『いのちの歌』は2019年の『第70回NHK紅白歌合戦』を見て感動して以来、「いつかチャンスがあったらと心に思っているものがありました」と麻路。今回、歌う機会を得たという。
1998年の星組トップスター就任後、初の公演がドラマシティだった稔。「その時の公演の『聖夜物語』の主題歌と、その次にドラマシティで主演させていただいた『Love Insurance』からも歌わせていただきます。私のラストソングは幕が開けてからのお楽しみかな(笑)。“まさか、こんな曲なの?”みたいな(笑)。コンサート後半は重厚なテーマソングが続くと思ったので、私はあえて明るく軽快な楽曲で、皆様に幸せ気分をお届け致します」。
現役時代から親交の深い麻路と稔。「本当に長いこと一緒にいて。私は組替えで後から星組に入ってきたのですが、そのときからいつも一緒にいて。パートで別れちゃうときはありましたが、自分の思い出に残っている作品には必ずノル(稔の愛称)が横にいてくれました」と麻路。「本当に良い2番手に恵まれた」と在団中も周囲に言われていたそう。今ではお互いに母親に。「オフもずっとつながっていまして、母親談義をやってます」。
「男役のために生まれてきたような人」と麻路を表す稔は印象に残っている出来事を話してくれた。「1995年の阪神・淡路大震災のとき、まりこさんのお披露目公演が控えていて、名古屋公演の稽古中でした。宝塚の本拠地でも、エンターテインメントをやっている意味があるのだろうかとすごく悩んだ時期がありましたが、その中で麻路さんは「今だからこそやるべきだ」と、すごく熱い思いを語っていらして。その姿勢を見て私たち新生星組が一丸となって名古屋公演ができたように思います。その時、トップスターとしてのあり方を学ばせていただいたように思います。そこからは「この人を支えていこう」と。「より良い組にしたいな」と思いました」。
『Dramatic City “夢”』では、数々の作品を彩った楽曲を当時とは異なるメンバーで披露する。それだけに、「新しい作品として見ていただけると嬉しい」と麻路。稔も「宝塚の埋もれた名作をみんなで掘り起こすような、ちょっと宝探しみたいな楽しみがあると思います。ひとつのカンパニーとして挑みます。OGの新しい一面を見ていただけたら」といざなった。
シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』は、9月16日(金)から18日(日)まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。16日(金)14時・18時公演はPIA LIVE STREAMでのライブ配信あり。チケット発売中。
取材・文/岩本
(2022年9月13日更新)
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