豪華な熊川版『くるみ』を彩る
関西出身のバレリーナ2人
クリスマスのバレエ作品と言えば『くるみ割り人形』。毎年12月に多くのバレエ団が上演するが、芸術監督・熊川哲也が率いるKバレエ カンパニーの『くるみ割り人形』は豪華で美しく、2005年の初演以来、子どもも大人もワクワクさせるファンタジー超大作として人気が高い。
物語は19世紀初め、ねずみたちとの争いの中で魔法をかけられた人形の国。魔法を解くカギとなる少女クララは、人間界から人形の国へ時空を超えた愛と冒険の旅に出て…。今回の大阪公演は主要キャストを替えて2ステージを上演。魔法でねずみに変えられるマリー姫を、今年Kバレエに入団した注目の日髙世菜と飯島望未がダブルキャストで演じる。西宮出身の日髙、大阪出身の飯島のふたりが、見どころや意気込みを語った。
左・飯島望未、右・日髙世菜
まずは日髙世菜。ワガノワ・バレエ・アカデミーで学び、ルーマニア国立バレエ団とアメリカのタルサ・バレエ団のプリンシパルを経て、1月にKバレエにプリンシパルとして入団。熊川は「踊りに別格の芸術性を感じる、完璧なバレリーナの象徴」と絶賛する。また飯島望未は、アメリカのヒューストン・バレエ団でプリンシパルとして活躍し、シャネルのビューティーアンバサダーも務めている。Kバレエにはゲスト出演を経て8月にプリンシパル・ソリストとして正式入団。「非常にドラマティックなダンサー。優れた演劇性を特に高く評価しています」と熊川の期待を担う。今回は「私は身長が高いので、舞台を大きく使って大きな動きでみせるところをご覧いただければ」(日髙)、「お姫様なので凛としていて、でも温かさもあるマリー姫を演じられたら」(飯島)と話す。
巨大化するツリー、人形とねずみたちの大バトル、銀世界で舞い踊る粉雪たち…。熊川版『くるみ』の魅力は?「ストーリーがすごくわかりやすくて、子どもから大人までどなたでも作品に入り込んで楽しめます。特に舞台転換の演出や舞台美術、衣裳も含め、すべてがとても豪華です」とふたり。久しぶりの地元関西で「フェスティバルホールの公演はよく観ていましたが、自分が舞台に立つのは初めてですごく楽しみ」と、家族や友人を客席に、憧れの舞台に立つ喜びを語る。「温かい気持ちや幸せな気分になれる、夢のある作品だとすごく思うので、ぜひ観に来ていただけたらうれしいです」(日髙)。「少しでも芸術やファンタジーの世界に触れて、心を豊かに素敵なクリスマスを迎えていただけるよう頑張ります。お客様を通して私たちも夢を与えていただいているので、それを舞台上で共有できたら。12月、日本で一番熱い場所にします!」(飯島)
熊川哲也 Kバレエ カンパニー『くるみ割り人形』は、12月10日(金)、大阪・フェスティバルホールにて。チケット発売中。
取材・文:高橋晴代
(2021年12月 7日更新)
Check