2020年の干支にちなんで飯沢匡の新作狂言
『伊曽保鼠』を茂山あきらの新演出で上演
おめでたい曲を揃えた恒例の『天空狂言』
2020年1月5日(日)、茂山千五郎家の『新春 天空狂言 2020』が大阪市の大槻能楽堂で開催される。21回目を迎える『天空狂言』、2020年はねずみ年にちなんで飯沢匡作の新作狂言「伊曽保鼠(いそほねずみ)」ほか、おめでたい曲が揃った。
「伊曽保鼠」を演出する茂山あきらは、「(古典で)ネズミが出てくる狂言というのはなかったのですが、『伊曽保鼠』を上演した記憶があったので、探してもらったら国会図書館に上演台本がありました。飯沢匡さんの新作狂言で、今回はご遺族の方にも承諾をいただき、現代風にアレンジして、今の人にもわかりやすい形で再演出をします」。
イソップ物語「田舎のネズミと都会のネズミ」を基にした「伊曽保鼠」。あきらが務めるのは老猫で、岩崎たつお作の猫の面を使用する。「狂言に猫が出てくることも珍しいですね。猫の面も楽しみにしていてください。また、ネズミも造形的にちょっと凝って、視覚的にも面白いものをお見せできたらと思います」。
「末広かり」「禰宜山伏」に出演する茂山千五郎は、「1部の『末広かり』は祝言性の高い、おめでたい狂言。2部の『二人袴』は聟入りが主題です。聟入りとは、結婚後にお嫁さんのお父さんにご挨拶に行く昔の風習で、結婚式と同じくらい華やかな行事だったそうです。その際の失敗談がいくつかあり狂言にもなっていますが、『二人袴』が一番面白くて、有名な曲です。また、1部の『止動方角』は馬が出てきます。『伊曽保鼠』とは動物が出てくるという共通点もありますし、この馬の面は、先ほどお話があった岩崎たつおさんのお父様が作られた面を使います。そういう点でも親子共演が楽しめると思います。1部最後の『梟』と2部最後の『禰宜山伏』は、どちらも山伏が出てきます。それぞれ祈祷の場面もありますし、見比べてみるのも面白いと思います」といざなった。
会場の大槻能楽堂は、第一期改修工事を終え、客席がリニューアルされた。「椅子もゆったり広くなったと聞きましたので、新しい大槻能楽堂さんへもぜひ、お越しください」とあきら。開催は1月5日(日)。2020年は狂言から始めてみては。
取材・文:岩本
(2019年12月24日更新)
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