ホーム > NEWS > 桂米朝生誕90年の日に ゆかりの面々が集う追善落語会
偉大な功績を残し、惜しまれながら本年3月にこの世を去った桂米朝の追善落語会が、師匠の誕生日である11月6日(金)に開催されることとなった。会場は夏の一門会をはじめ、一門による芝居が上演されるなど、米朝にはとっては縁の深い京都・南座だ。
「生きていたら米朝が90歳になる日です。今回、誕生日に開催することになったのはたまたまでして。色んな思い出がある南座で、米朝を語る会ができるのは本当に光栄です」という実子の桂米團治の言葉を受け、桂ざこばも「米朝という名前がなかったら、一門は南座なんかに出してもらわれへんのちゃうかな。有難い話です」と感慨深げ。また、ざこばが「日にちが経つにつれ、逆にまだいてはるような気になってきて…」と言えば、米團治も「僕も亡くなったという気があんまりしなくて」と現在の心境を語った。
米朝が最後に南座の舞台を踏んだのは、平成23年2月の桂塩鯛襲名披露公演のこと。千穐楽に飛び入り出演するが、口上で“塩鯛”という名が出てこず言葉に詰まってしまった。「お客さんは感動で言葉が出てこないと勘違いし、ハンカチ出してもらい泣きして(笑)。塩鯛という名を一言も言わず、あれだけ感動させて。ビックリしました」と米團治は当時のエピソードを披露した。
追善落語会は一門のご挨拶で幕を開け、弟子たちが米朝直伝の演目などを口演する。また、桂米二と「寄席の踊り」の“戸板返し”を披露する米團治は「歌舞伎の四谷怪談で戸板に乗せられた小平がお岩に替わるというシーンがあるんですけど、これは戸板をひっくり返して1つの曲を2人で踊るという趣向。それを米朝が全部覚えてて、20年以上前に米二兄さんと僕につけて下さったんです」。ざこばが「片一方は踊れる、片一方は踊れないというんで時間繋ぎに何かするという。ここは面白いと思う。上手いことやればね」とプレッシャーをかければ、「僕は普通に踊る方です。三枚目の方は米二兄さんがやりはるんで(笑)」。
さらに「思い出トーク」のコーナーには、さだまさしが登場する。「亡くなった時に身内以外で最初に電話をもらったのが、さださんなんです。『実は師匠と一度もご一緒したことはないんですけども、何か僕でてきることがあれば』と。今回は7月の一門会とちょっと毛色を変えないと考えた時に、さださんはどうかなと思って。不思議なことに、この日だけスケジュールが空いてはったんです。あの人も落研の出身やから、個人的には落語を一席していただきたいなと(笑)」と米團治。今回は、「笠碁」を口演するざこばも「もちろん落語は頑張りますが、さださんもどんな話をしてくれはるのか。僕も当日までに、いくつか思い出話を出しておきたいと思います」と楽しみな様子。
「誕生日のお祝いをしていてだけたら」という米團治の言葉通り、追善公演とはいえ、ゆかりの人達が集う賑やかな会となりそうだ。
取材・文/松尾美矢子
(2015年10月22日更新)
発売中
Pコード:447-200
▼11月6日(金) 14:00
南座
1等席-7000円 2等席-5000円
[出演]桂ざこば/桂南光/桂米團治
[ゲスト]さだまさし
※未就学児童は入場不可。
[問]南座[TEL]075-561-1155
京都四篠 南座
http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/