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ホーム > NEWS > 上方落語の定席・天満天神繁昌亭が9周年! 豪華メンバーが並ぶ記念公演では 落語に加え、噺家による大爆笑の芝居も! 10年目に向けて桂文枝会長が語る思いとは

上方落語の定席・天満天神繁昌亭が9周年!
豪華メンバーが並ぶ記念公演では
落語に加え、噺家による大爆笑の芝居も!
10年目に向けて桂文枝会長が語る思いとは

 2006年に大阪・天神橋にオープンした上方落語の定席、天満天神繁昌亭が9月15日に開場9周年を迎え、記念の特別公演が行われた。戦後、「風前の灯」と言われた上方落語を、当時若手だった六代目笑福亭松鶴、桂米朝、三代目桂春団治、五代目桂文枝ら「上方落語四天王」が中心となって牽引。落語ブームも拍車をかけて、上方落語界は今や260名を超えるともいわれる落語家が活躍する隆盛の時代を迎えている。落語家の数は増えたが、上方には毎日落語を楽しめる専門の寄席小屋がなかったため、地元の商店街や民間のバックアップを受けて2006年に悲願の定席が約60年ぶりに開場した。

 15日の午前10時から繁昌亭前で行われた記念式典には上方落語協会の桂春之輔副会長、桂米団治幹事長、大阪天満宮の神職と天神橋筋商店街の関係者らが並んだ。春之輔が「あっという間に9年。内容を充実させて落語の修業に専念してまいりますので、お見捨てのなきようによろしくお願いいたします」とあいさつ。鏡開きが行われたあと、祝い酒が振る舞われ、三味線や太鼓がにぎやかに鳴り響く中、記念の日の幕が上がった。

 毎年、繁昌亭の開場記念の日には、落語と趣向ものをセットにして1日3回の公演が行われる。今年も笑福亭鶴瓶、桂ざこば、六代桂文枝がそれぞれトリで出演。各回とも早々に完売し、当日は補助席もでる盛況ぶりを見せた。1回目の公演で笑福亭たまが演じたオリジナルバージョンで斬新な「寿限無」を皮切りに、桂吉弥「軽業」、笑福亭三喬「住吉駕籠」、桂福団治「鼻の狂歌」、露の都「金明竹」、笑福亭鶴瓶「粗忽長屋」がそれぞれ演じられた。第2回には桂吉坊、桂春雨、笑福亭仁智、月亭八方、桂あやめ、桂ざこば、第3回には桂三扇、林家染二、桂米団治、桂春之輔、笑福亭福笑、桂文枝が出演。大トリの文枝の「おむかえびと」まで古典、新作を交えた勢いある落語が一気に演じられた。

 記念公演の趣向はこれまで、落語家が演じる歌舞伎や浄瑠璃などが披露されてきたが、今年は噺家が演じる芝居(鹿芝居)が上演された。「落語をパロディに」という桂文枝上方落語会長の発案で選ばれたのは上方落語の「祟徳院」。神社で偶然出会った女性に一目惚れし、恋患いで床に臥せる若旦那の命を救うために出入りの大工が奔走する物語だ。この噺をもとに、「花競恋繁昌(はなくらべこいのにぎわい)」というタイトルで吉坊が台本化。若旦那を米団治、大工を三喬が演じたほか、各回に吉弥、八方、文枝が娘役で登場。出演者の熱演に加え、通路を花道として使い、2階席にも顔を出すなどサービス満点の舞台に観客は大満足。パワフルな芝居に終始、爆笑を呼んだ。

 終演後の会見で文枝は「あっという間の9年間だったと思います。私の中では(天神橋筋)6丁目の所から春団治師匠を赤い人力車にお乗せして、ここまできたのが9年前とは、ほんとに信じられないくらいです。ここを作る時に私は『四天王の魂を受け継ぐ』というイメージでやらせていただいて、舞台の上には米朝師匠に書いていただいた「楽」という字を掲げてやってきましたけど、(米朝師匠は)今年の3月19日に他界されまして。いよいよ我々も正念場を迎えることとなったなと思っておりました。本当に残念ですけど、9月から値上げということもありまして、これからが試練の年になろうかと思いますが、みんなで力を合わせて頑張っていきたいと思います」としみじみと語った。

 戦後70年の今年、終戦直後に落語会を復活させた先輩たちの思いを受け継ぎ、11月には繁昌亭で4日連続の「終戦後復活落語70周年記念・落語会」が開催される。9周年を終え、来年迎える10周年に向けてプランを尋ねられた文枝は「復活落語会は毎年やっていこうと思っています。今年から始めた若手のグランプリもずっとやっていこうと思っています。ほかにも繁昌亭のメンバーで『特選落語会』みたいな会をやっていこうと。盤石なものを作って行きたいので、いろんな仕掛けの中でちゃんとしたものをと考えております」と意気込みを語った。

 9月5、6日に開かれた上方落語家のお祭り「彦八まつり」で、今年はハワイアンバンドを結成し、5ステージをこなした文枝。「彦八まつりでも皆さんに喜んでいただけるようにとハワイアンをやってきました。これからも落語からちょっと離れたこともできたら。そしてちゃんと落語もする。その両輪でいけたらいいなと思います」

 天満天神繁昌亭の昼席は落語8席と色物2組で1週間替りの定席、夜席は連日、多彩な落語会を開催中。豪華メンバーが日替わりで出演する11月21日~24日の夜席「終戦後復活落語70周年記念・落語会」もお楽しみに!



(取材・文・日高美恵)




(2015年9月18日更新)


Check
開場9周年の記念公演のオープニングでは、鏡開きの後に振る舞い酒のサービスが。
鹿芝居の様子
公演後に行われた会見では、左より桂米團治、桂文枝、桂春之輔が登場した。

天満天神繁昌亭

チケット発売中 Pコード:597-700

●昼席
毎日13:00 より開演。
一般-2500円(整理番号付)
大高生・身障者-2000円(整理番号付)
中・小-1500円(整理番号付)

その他、朝席、夜席も開催中! 詳しくはチケットぴあ(WEB)または天満天神繁昌亭の公式サイトまで!

天満天神繁昌亭
http://www.hanjotei.jp/

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