ホーム > NEWS > フィンランドの名匠オッコ・カム、ヴァイオリンの 神尾真由子を迎えたオール・シベリウス・プログラム 山形交響楽団さくらんぼコンサート2025
今年も大阪に初夏の風を運ぶ、山形交響楽団のさくらんぼコンサートが6月20日(金)、ザ・シンフォニーホールで行われる。第13回を迎えた今回はオール・シベリウス・プログラム。指揮にフィンランドの巨匠オッコ・カム、ソリストに大阪出身の国際的ヴァイオリニスト、神尾真由子を迎え、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第2番ほか、フィンランドを代表する作曲家の魅力を凝縮したプログラムを贈る。山響にはシベリウス演奏の伝統がある。1960年代のアメリカ、創立名誉指揮者である村川千秋がレオポルド・ストコフスキーのもとで学んでいた頃、村川はストコフスキー率いるアメリカ交響楽団に客演したフィンランドの指揮者ユッシ・ヤラス(シベリウスの娘婿に当たる)が演奏するシベリウスに間近で接し、感銘を受けたという。1972年に創立された山響はこうした村川の体験を背景に、折に触れてシベリウスを取り上げて来た。「僕の1つの夢は、シベリウスなら山響と言ってもらえること」。村川はそんな風に語っている。
こうした中、山響のシベリウス演奏に新風を吹き込みつつあるのがオッコ・カムだ。2018年4月に山響と初共演したカムは山形の風景の中に母国と同じ晴朗な自然の空気を見出し、シベリウスの7番と2番でオーケストラから共感に満ちた豊かな響きを引き出した。村川との対談も果たしシベリウスへの思いを共有したカムは、コロナ禍のため予定されていた2020年の共演こそ見送ったものの2024年3月に再び山響に登場。ニールセンやサッリネンの作品とともにシベリウスの交響曲第1番を演奏し、新たな感動を届けた。そして三度の登場に合わせ、満を持して大阪と東京で行われるのが今回のさくらんぼコンサート、オール・シベリウス・プログラムだ。
前半に置かれたヴァイオリン協奏曲は、神尾真由子が優勝を果たした2007年のチャイコフスキー・コンクールの本選で弾いた作品。世界で活躍する彼女の実力が存分に味わえるレパートリーと言えるだろう。山形と北欧を結んで発信する山響のシベリウス。その最新の魅力を伝える演奏会だ。
取材/文:逢坂聖也
(2025年6月 4日更新)