現代音楽をリードした作曲家西村朗の
足跡をたどる没後初の特集企画
「曲がった家を作る人-故郷に響く西村朗の音楽」

東洋思想を源泉とした精緻で壮麗な作風により、日本の現代音楽を代表する作曲家として活躍した西村朗。大阪市出身で2023年9月7日に亡くなった彼の、没後初の特集コンサート「曲がった家を作る人-故郷に響く西村朗の音楽」が7月、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールほかで行われる。このコンサートは同ホールと住友生命いずみホール、そして日本室内楽振興財団の3団体が共同で開催するもの。《弦楽四重奏》《パーカッション・アンサンブル》《室内オーケストラ》のジャンルにおける西村の代表的な作品を全3日にわたって演奏するほか、作曲家、池辺晋一郎らを迎えてプレ・イベント「西村朗を語る」(6月4日(水))を行う。

※プレ・イベント「西村朗を語る」のお申込はこちら【特設サイト】から：https://www.izumihall.jp/specialcontents

7月6日（日）、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールの《弦楽四重奏》では1975年エリザベート国際コンクールで大賞を受賞した「弦楽四重奏のためのヘテロフォニ－」など4曲を取り上げる。郷古廉、石上真由子、大野若菜、水野優也という若い世代のカルテットによる西村作品への取り組みが新鮮だ。また７月10日（木）読売テレビ10ホールで行われる《パーカッション・アンサンブル》では、中谷満ら関西を代表するSoai Percussion Ensambleの打楽器奏者14名に加え、箏（こと）の片岡リサを迎えての『覡』（カムナギ）など5曲を演奏する。そして7月12日（土）の《室内オーケストラ》は住友生命いずみホールで、西村が音楽監督を務めたいずみシンフォニエッタ大阪の第54回定期演奏会「西村朗-魂の軌跡」として開催。同団ほかの委嘱作品で西村の最後の完成作となった三重協奏曲『胡蝶夢』を含む3曲を、初演指揮者の飯森範親とともに演奏する。

公演に先立って行われた記者会見には各団体の代表とパーカッションの中谷満、ヴァイオリンの小栗まち絵が出席した。いずみシンフォニエッタ大阪のコンサートマスターとして長年、西村作品の演奏に関わってきた小栗まち絵は「西村先生は私たち人間の日々の生活が、どこか精神的な世界につながっていることを音楽で表現できる特別な才能を持った人でした。その作品を演奏することは私たちの使命。今回私もソロを弾く『胡蝶夢』では初演の時にはわからなかった先生の思いが今ようやく見えてきて、自分の中で育ち始めているように思います」と公演に臨む喜びを語った。

▲記者会見より。西村の室内オーケストラ作品の再演に意欲を見せるヴァイオリンの小栗まち絵と、Soai Percussion Ensembleとして打楽器作品に挑むパーカッションの中谷満（3月13日　あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール）。

取材・文／逢坂聖也

（2025年4月25日更新）