ホーム > NEWS > いずみホール・オペラ5年ぶりの復活。 ジョルジュ・ビゼー『真珠とり』を演奏会形式で。
住友生命いずみホールは8月31日(土)、いずみホール・オペラ2024としてジョルジュ・ビゼーの『真珠とり』を上演する。オーケストラピットを持たないコンサートホールで、どのようなオペラの上演が可能か。この難問に挑みつつ高い評価を収めてきたいずみホール・オペラの、2019年『ピグマリオン』以来の復活だ。指揮・プロデュースに迎えるのは新国立劇場オペラ研修所所長も務めるフランス・オペラの第一人者、佐藤正浩。「フランス・オペラの魅力である言葉と音楽の密接な関係を十分に伝えることのできる作品」として佐藤が選んだのがこの『真珠とり』である。
『真珠とり』は1863年に初演されたビゼー初期のオペラ。信仰が支配する古代のセイロンを舞台に、真珠とりのナディールとその頭領のズルガ、そしてかつて2人に愛され今は尼僧となったレイラが織り成す運命的な愛憎を描く。若きビゼーのメロディメーカーとしての才能が全編に溢れ、近年再評価の進む作品でもある。今回の上演にはヒロイン、レイラに新国立劇場、日生劇場、びわ湖ホールでの大役が続く森谷真理(ソプラノ)、ナディールに宮里直樹(テノール)、ズルガに甲斐栄次郎(バリトン)、そして高僧ヌーラバットに妻屋秀和(バス)という実力派が揃うほか、演奏にカレッジ・オペラハウス管弦楽団、さらに神戸市混声合唱団を迎える充実の布陣。第1幕のナディールとズルガの二重唱「神殿の奥深く」や、このオペラを代表する1曲として有名なナディールのアリア「耳に残るは君の歌声」など数々の名旋律が聴く者の想像力をかき立てつつ、演奏会形式ならではの完成度で甦る。
6月に行われた制作発表記者会見には、森谷真理、宮里直樹が出席した。森谷は「レイラを歌う難しさというのは、全幕にわたってさまざまな表現やテクニックが要求されていること。激しいというよりは優雅であり、優しさもあるけれど精度が求められる。そんな役です。すでに稽古は始まっているので、自分自身が理に適っていると思える形でレイラという役を究めて行きたい」と抱負を。宮里も「高音でピアニッシモを歌う箇所がすごく多いんです。フランス・オペラ独特の繊細な表現を聴いていただくのにふさわしい作品」と語り、ともにこの作品を演奏会形式で上演することの意味を強調した。
取材/文:逢坂聖也
(2024年7月29日更新)