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「食と温泉の国のオーケストラ」を
テーマに、世界に発信を続ける“山響”。
12回目のさくらんぼコンサート大阪公演を開催。

今年も初夏の香りとともに山形交響楽団の大阪特別演奏会、さくらんぼコンサートが開催される。地元山形を中心に幅広い活動を繰り広げながら東京、大阪といった都市部の市場も切り開き山形の文化、観光の発信も担う"山響"の、2012年より実に12回目の大阪公演だ。

阪哲朗(C)Kazuhiko-Suzuki 0021ban-yamagata480.jpg     ▲指揮:阪哲朗(山形交響楽団常任指揮者)(C)Kazuhiko Suzuki

「私自身は関西の出身なんですが、実は両親がともに山形県出身なんですね。いわばルーツは山形にあるわけで、そういった意味で関西と山形を結ぶ活動に貢献できればと思っています」
そう語るのは今回の指揮を務める阪哲朗。ドイツの主要歌劇場の音楽監督を歴任し、2019年より山形交響楽団常任指揮者。関西ではびわ湖ホールの第3代芸術監督も務め、現在その動向が最も注視される指揮者の1人である。

今回の公演でまず注目したいのが、前半に置かれたモーツァルトの「戴冠式ミサ」。かつて阪自身がドイツ、レーゲンスブルクの大聖堂で指揮し少年合唱団の透明な歌声に感銘を受けたと語る作品で、大阪公演に初めて山響附属の合唱団、山響アマデウスコアが参加。さらに関西からびわ湖ホール声楽アンサンブル、パナソニック合唱団が加わり、大阪公演始まって以来の規模でモーツァルトの敬虔な美しさに迫る。関西出身の老田裕子(ソプラノ)に、在原泉(アルト)、鏡貴之(テノール)、井上雅人(バリトン)といった東北、山形ゆかりの実力派を配した独唱陣も魅力だ。

さらに聴き逃せないのが後半1曲目。19世紀から20世紀にかけて活躍した指揮者、アルトゥール・ニキシュの「ファンタジー」(オペラ『ゼッキンゲンのトランペット吹き』のモチーフによる)である。これは山形県長井市がドイツのバートゼッキンゲン市と姉妹都市であることから実現したプログラムとも言えるもので、長井市ではこの曲の元となったヴィクトル・ネッスラーのオペラ『ゼッキンゲンのトランペット吹き』を2006年10月に日本初演。その経緯から本作品の日本初演を2023年4月に行っている。オペラ『ゼッキンゲンのトランペット吹き』は1884年にライプツィヒで初演。当時ワーグナーを凌ぐ人気を誇ったオペラと伝えられ、今回演奏されるニキシュの作品はその証言として貴重なものだ。こうしたドイツ音楽の細やかな受容が山形を通じて果たされていることは、地方都市における高い文化交流の成果といえるだろう。

そしてメインに置かれたのが、ブラームスの「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」。ヴァイオリンに2016年モントリオール国際コンクール第1位の辻彩奈、チェロには2021年ジュネーヴ国際コンクールにおいて日本人初優勝を果たした上野通明を迎える。とりわけ高い演奏技術と表現力を求められるこの作品に阪哲朗率いる山響と2人の俊英が吹き込む生命を、ぜひ聴き届けたい作品だ。「食と温泉の国のオーケストラ」をテーマに山形の文化と魅力を世界に発信する山響。その充実を示す演奏会である。

大阪公演2023ロビー物産展 IMG_4025---430.jpg▲開演前のホワイエは山形県物産展で賑わう。早めに到着して山形の名産品を楽しみたい。また来場者全員に東根市産さくらんぼの5個入りパックをプレゼント。




(2024年5月28日更新)


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山形交響楽団特別演奏会
「さくらんぼコンサート2024」大阪公演

●6月21日(金)19:00開演(18:00開場)
ザ・シンフォニーホール
S席-6000円 A席-5000円 B席-3000円 
チケット発売中 Pコード:257-557

【プログラム】
モーツァルト:歌劇『魔笛』K.620 序曲
モーツァルト:ミサ曲 ハ長調『戴冠式ミサ』K.317
ニキシュ:ファンタジー
(オペラ『ゼッキンゲンのトランペット吹き』のモチーフによる)
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
      イ短調 作品102

【問い合わせ】
KCMチケットサービス 0570-00-8255

チケット情報はこちら


ヴァイオリン:辻彩奈(C) Makoto Kamiya  チェロ:上野通明(C)Seiji Okumiya


 老田裕子(Sop)  在原泉(Alt)   鏡貴之(Ten)   井上雅人(Bar)


合唱:山響アマデウスコア(写真)びわ湖ホール声楽アンサンブル、
パナソニック合唱団


▲山形交響楽団 Yamagata Symphony Orchestra

1972年東北初のプロ・オーケストラとして誕生。東京・大阪での「さくらんぼコンサート」など年間150 回の公演を実施。2007年から2015年までモーツァルト交響曲全曲演奏会「アマデウスへの旅」を開催。2008年アカデミー賞映画「おくりびと」に出演。さらに2020年6月より「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会」をスタートし、新たな魅力を発信している。2022年、創立50周年を迎えた。2023年12月からは、動画配信サービス「U-NEXT」での映像配信を開始。常任指揮者 阪哲朗、首席客演指揮者 鈴木秀美、ミュージック・パートナー ラデク・バボラーク、創立名誉指揮者 村川千秋、桂冠指揮者 飯森範親。 https://www.yamakyo.or.jp/
               (写真(C)Kazuhiko Suzuki )