ホーム > NEWS > 19世紀のパリに生きたボヘミアンたちの愛と青春。 井上道義が盟友・森山開次の演出で描く、最愛にして 最後のオペラ『ラ・ボエーム』 この秋、開幕。
プッチーニが珠玉の旋律で描く、19世紀のパリに生きた若き芸術家たちの愛と死。2024年末で引退を表明している指揮者の井上道義が最後に手掛けるオペラ『ラ・ボエーム』が、10月6日(日)、ロームシアター京都メインホール、10月12日(土)、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで上演される。オーケストラのみならず舞台作品にも数々の実績を残す井上が「最愛の作品」と語る傑作の登場だ。
井上道義(C) Yuriko Takagi 森山開次(C)Sadato Ishizuka
2014年10月、大病から復帰以後の井上の活躍は特に目覚ましい。劇作家、野田秀樹演出の『フィガロの結婚~庭師は見た!~』(2015/20)、大阪国際フェスティバル『バーンスタイン:ミサ』(17)、舞踊家の森山開次演出による『ドン・ジョヴァンニ』(19)、そして自身のオペラ『A Way from Surrender ~降福からの道~』(23)などを総監督として次々と上演。そのいずれもがこの人らしいアグレッシブな内容に溢れ、変わらぬ存在感を示し続けている。今回の新制作に際して井上は演出、振付、美術、衣裳に森山開次を指名。井上とは『ドン・ジョヴァンニ』以来、多くのコラボレーションで高い評価を獲得してきた森山の想像力が、観る者を新鮮な劇場体験へと誘うことだろう。また本公演は全国の劇場や芸術団体が共同で新制作に取り組む、全国共同制作オペラ。9月から11月まで、全国7都市で全8公演を行う。キャストにはオーディションで選ばれた日本と海外混成の気鋭の声楽陣が揃い、『冷たい手を』『私の名前はミミ』など数々の名アリアに瑞々しい魅力を吹き込む。
▲僕が振りたいのは青春の息吹。生きている喜びの発露 井上道義(C)Tomoko-Hidaki
4月11日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われた記者会見には、井上、森山をはじめ、主要キャストが登壇。井上は「僕は音楽家になりたかったわけじゃなく、舞台の上で一生を終えたいと思って指揮者になった。世の中は虚偽に満ちている。それなら最後に舞台の上で、思いっきり素晴らしい嘘をついて死んでやろうと思う(笑)」と語りながらも「僕が振りたいのは青春の息吹。言葉を変えて言えば、生きている喜びの発露」と最後のオペラに臨む心情を滲ませた。井上道義の指揮者人生の集大成となる渾身の『ラ・ボエーム』が、この秋、幕を開ける。
■共同制作オペラ『ラ・ボエーム』特設サイト
→ https://la-boheme2024.jp/
文/逢坂聖也(音楽ライター)
(2024年4月17日更新)
【音楽】ジャコモ・プッチーニ
【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ ルイジ・イッリカ
全4幕/イタリア語上演 日本語・英語字幕付き/新制作
【指揮】井上道義
【演出・振付・美術・衣裳】森山開次
【キャスト】10月6日(日)京都
ミミ:ルザン・マンタシャン
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:中川郁文
マルチェッロ:池内 響
コッリーネ:スタニスラフ・ヴォロビョフ
ショナール:高橋洋介
ベノア:晴 雅彦
アルチンドロ:仲田尋一
パルピニョール:谷口耕平
【キャスト】10月12日(土)兵庫
ミミ:髙橋絵理
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:杉尾真吾
ショナール:ヴィタリ・ユシュマノフ
ベノア:晴 雅彦
アルチンドロ:仲田尋一
パルピニョール:谷口耕平
【ダンサー】梶田留以 水島晃太郎 南 帆乃佳 小川莉伯
【管弦楽】
京都市交響楽団[10月6日(日)京都]
兵庫芸術文化センター管弦楽団[10月12日(土)兵庫]
【問い合わせ]
ロームシアター京都チケットカウンター
075-746-3201
芸術文化センターチケットオフィス
0798-68-0255