堺シティオペラと大阪交響楽団が発信する
il Teatro L'alba L'amore "オペラ×オーケストラ"
プッチーニの歌劇『トゥーランドット』を上演
堺シティオペラと大阪交響楽団が12月19日(日)、フェニーチェ堺でプッチーニの歌劇『トゥーランドット』を上演する。これは堺市に本拠を置く芸術団体が連携して行う公演のひとつ。今回は「テアトロ・ラルバ・ラモーレ《夜明けを迎えるまでの愛ゆえの謎解き》オペラ×オーケストラ」と題され、昨年野間バレエ団を加えて3団体で行われたガラコンサート「テアトロ・トリニタリオ(三位一体劇場)」に続くもの。単独の団体では難しい規模の大きな作品を中心に、フェニーチェ堺から堺市の芸術活動を発信していくという。
堺シティオペラは1978年に始まる。合唱や演奏の一部に市民も参加する市民オペラの、関西における草分け的な存在である。現在は「堺シティオペラ 一般社団法人」として年に1回の定期公演を中心とする活動を行っている。
創立当時から海外の歌劇場やオペラ団体との活発な交流を持ち、1995年にはドイツのケムニッツ歌劇場とモーツァルトの『魔笛』を共同制作。堺とケムニッツの2カ所で公演を行ったほか、2006年にはイタリアのプッチーニ・フェスティバルで日本の団体としては初めて、現地との共同制作によるオペラ『蝶々夫人』を上演するなど、国際的にも高い評価を収めている。2021年1月には新設された堺市民芸術文化ホール-フェニーチェ堺においてスタッフ・キャストが総勢350人以上にも及ぶヴェルディのオペラ『アイーダ』【写真上】を上演。日本全国から注目を集め、大阪文化祭賞を受賞した。またウェスティミラクルと題する親子のためのオペラ公演や、子どもたちにオペラの世界を体感してもらう「夏休み Kid's Club」など、未来の聴衆を育てる取組みなども積極的に行っている。
歌劇『トゥーランドット』は、架空の中国、北京(紫禁城)が舞台。漂泊の王子カラフの愛が美しくも冷酷な王女、トゥーランドットの心を開き、やがて結ばれるまでを、カラフを慕う侍女リューや紫禁城の廷臣ピン、パン、ポンなど多彩なキャラクターを配して描く。第3幕で歌われるカラフのアリア『誰も寝てはならぬ』は、このオペラを代表する1曲として有名だ。今回のセミステージ形式ではオーケストラは通常のピットではなく舞台上で演奏。その後方には背景のセットが組まれ、通常の演奏会形式とは異なる臨場感と迫力を追求するという。キャストはトゥーランドットに並河寿美、カラフに笛田博昭、リューに髙橋絵理ほか、日本を代表する実力派、ベテランが揃う。指揮は2022シーズンより大阪交響楽団のミュージックパートナーに就任する柴田真郁。また70名からなる市民参加の合唱や児童合唱、バンダも加わり、老舗の市民オペラとオーケストラが手を携えた重厚なステージが実現する。【写真上左】9月にフェニーチェ堺で行われた制作発表記者会見より。左よりピンを歌う桝貴志、指揮者の柴田真郁、トゥーランドット役の並河寿美の各氏。
(2021年10月29日更新)
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