日本の現代作曲家のチェロ作品を集め、
その核心に迫る演奏会
堤剛チェロ・リサイタル
日本を代表するチェリスト、堤剛が12月20日(日)、ザ・フェニックスホールでリサイタルを行う。先日のウィーン・フィルの来日公演での共演も記憶に新しい堤の、ひさびさの大阪でのソロリサイタルである。
堤剛が第1回のリサイタルを開いたのは1950年、実に8歳の時。桐朋学園では斎藤秀雄に師事し、57年の第26回日本音楽コンクールでは第1位および特賞を受賞。60年にはN響海外演奏旅行に同行し欧米各地で好評を博した。翌年より歴史的巨匠、ヤーノシュ・シュタルケルの薫陶を受け、63年のブダペスト、カザルス国際コンクール第1位入賞を機に国際的な活動を開始する。その後の活躍は目覚ましく、戦後のチェロ演奏、および室内楽演奏を牽引する存在として多大な貢献を果たした。教育者としても、インディアナ大学教授、桐朋学園大学学長ほかを歴任。また2007年からはサントリーホールの館長として演奏史に大きな足跡を残している。2009年、秋の紫綬褒章を受章。同年の天皇陛下御在位二十年記念式典では御前演奏を行った。2013年、文化功労者に選出。
今回のリサイタルでは、堤が長きにわたって取り組んできた邦人作曲家の作品を採り上げる。その多くが堤自身によって初演されたものである。経済人として、また文化人としても一流であった佐治敬三をイメージして書かれた松村禎三の『肖像』に始まり、一柳慧、湯浅譲二、武満徹、三善晃、細川俊夫、新実徳英、黛敏郎と戦後日本の最も鋭敏な感性が発信してきた作品が並ぶ。前衛という、ひとつの精神風景をそこに見取ることも可能かも知れない。このプログラムについて堤は「チェリスト堤剛として今何処まで作品の核心に迫っていけるか、というチャレンジに富んだもの」であると語っている。
ピアノは作曲家としても著名な土田英介。その響きを得て、当日のホールには無限の色彩の創造に挑むかのような、時に1本のチェロで漆黒の世界と対話するかのような、香気に満ちた音楽が立ち現れることだろう。稀有の音楽人の境地を聴く演奏会である。
堤剛 チェロ・リサイタル
●12月20日(日)13:30開演
あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
一般前売:¥4,000(当日:¥4,500)
学生前売:¥3,000(学生当日:¥3,500)
【出演】
堤剛(チェロ)
土田英介(ピアノ)
【プログラム】
松村禎三:肖像
一柳 慧:コズミック・ハーモニー
湯浅譲二:内触覚的宇宙Ⅳ
武満 徹:オリオン
三善 晃:C6H
細川俊夫:線Ⅱ
新実徳英:横豎
黛 敏郎:BUNRAKU
【チケット/問い合わせ】
東京コンサーツ
TEL:03-3200-9755(平日10:00-18:00)
ザ・フェニックスホール チケットセンター
TEL 06-6363-7999(平日10:00-17:00)
(2020年11月30日更新)
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