現代のクラシック界を代表する指揮者・ソリストを
迎えた3つのオーケストラが順次登場。世界水準の
音楽を発信する「豊中オーケストラフェスタ」
2017年1月にグランドオープンした豊中市立文化芸術センター。大阪の中心地から電車で20分ほどのこのホールで、5月から6月にかけて、関西フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団、そして山形交響楽団という3つのオーケストラのコンサートが行われる。注目したいのがその指揮者たち。いずれも現代のクラシック界を代表する国際的なソリストたちでもあるのだ。同ホールではこのシリーズを「豊中オーケストラフェスタ」と位置づけ、世界水準のクラシックの魅力を広く関西の聴衆に発信していく。
■5月10日(木) オーギュスタン・デュメイ(指揮・ヴァイオリン)
関西フィルハーモニー管弦楽団 豊中特別演奏会
20世紀から今世紀にかけての世界を代表するヴァイオリニストとして、その名を残すであろうオーギュスタン・デュメイ。2008年より関西フィルの首席客演指揮者、2011年からは音楽監督に就任し、2015年には同楽団のヨーロッパ公演を実現させるなど、そのレベルアップと知名度の向上に大きな役割を果している。ヨーロッパの伝統に培われたヴァイオリンの響きとヘルベルト・フォン・カラヤンに認められた指揮の手腕は関西フィルでも遺憾なく発揮され、特に“デュメイの弾き振り”は定期演奏会などでもひとつのハイライトとなっている。初登場となる豊中ではモーツァルトの2曲でその弾き振りを披露。美しい音色を存分に届けてくれるほか、ベートーヴェンの『英雄』では古典からロマン派に向かう音楽の熱量を洗練された響きで聴かせてくれることだろう。(写真:s.yamamoto)
■5月26日(土) 鈴木秀美(指揮・チェロ)
日本センチュリー交響楽団 センチュリー豊中名曲シリーズVol.6
地元、豊中に本拠を持つ日本センチュリー交響楽団が迎えるのは、近年、指揮者としての活動もめざましいチェロの鈴木秀美。フランス・ブリュッヘン(リコーダー)が率いた18世紀オーケストラや、シギスヴァルト・クイケン(バロック・ヴァイオリン)らによるラ・プティット・バンドなど、世界の古楽演奏の最前線での活躍を通して古楽の在り方と魅力を追求し続けてきた存在であり、センチュリーとはこれが初めての共演となる。今回はハイドンらと同時代人ながら、イタリア、スペインで活躍したボッケリーニのコンチェルトを鈴木のソロで、ウィーンのモーツァルト、ベートーヴェンをその指揮で演奏。“古典”を知る鈴木の指揮とチェロの音色が、室内楽的な美しさを持つセンチュリーとどのように溶け合うのか、その音楽の調和に期待のかかるコンサートだ。(写真:s.yamamoto)
■6月22日(金) ラデク・バボラーク(指揮・ホルン)
山形交響楽団 さくらんぼコンサート2018大阪公演
東北を中心に活躍。首都圏や関西とも深い交流を持ち、例年の大阪公演は“さくらんぼコンサート”として広く親しまれている山形交響楽団。“食と温泉の国”を代表する楽団として、ロビーに溢れる山形県の名産品やお持ち帰りのさくらんぼも人気だ。彼らを率いるのは今年首席客演指揮者に就任したばかりのラデク・バボラーク。現代最高のホルン奏者として世界にその名を馳せる存在であり、指揮者としても近年高い評価を収めつつある。今回はモーツァルトとシニガーリャの作品で名手の力量を存分に披露。その美しいホルンの響きがホールを魅了することだろう。そしてバボラークの盟友ともいうべきミロシュ・ボクの新作(山響委嘱)やドヴォルザークの『新世界より』では、指揮者としての彼の、祖国チェコと日本を結ぶ熱い思いを聴き取ることができるに違いない。 (写真:Kazuhiko Suzuki)
なお公演チケットはチケットぴあ他、各楽団で発売中だが、豊中市立文化芸術センターでは「豊中オーケストラ・フェスタ」3公演セット券〔S席:12,000〕も販売中。こちらは直接、ホールまでお問い合わせを。〔豊中市立文化芸術センターチケットオフィス:06-6864-5000〕
(2018年4月24日更新)
Check