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井上道義が甦らせる現代社会への祈り
20世紀を代表する音楽家バーンスタインの
壮大なシアターピース「ミサ」上演

 来年、生誕100周年を迎えるレナード・バーンスタイン(1918-90)。アメリカが生んだ最高の指揮者として20世紀後半のクラシック音楽界を牽引した存在である。作曲家、ピアニスト、教育者としても多大な業績を残し、ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」の作曲者として彼の名を知る人も多い。7月14日(金)、15日(土)、大阪、フェスティバルホールでは第55回大阪国際フェスティバルの一環として、このバーンスタインによる大作「ミサ」を上演する。総監督・指揮・演出に井上道義。管弦楽を大阪フィルハーモニー交響楽団が担当し、18人の独唱者、混声合唱、児童合唱、ジャズバンド、ブルースバンド、そしてダンサーら総勢200人に及ぶ出演者たちによって構成される壮大なシアターピースだ。

 バーンスタイン「ミサ」は1971年9月8日初演。ワシントンDCに建設されたケネディセンターのこけら落としのために制作された作品である。内容にはベトナム戦争など混迷を深める当時の世相が反映され、カトリックの典礼である「ミサ」が行われる舞台の上で、登場人物たちの歌や語り、バレエなどを通して、国家への絶望や、社会の絶対的な権威であったキリスト教への疑い、そして再生への祈りが描かれてゆく。井上道義は1994年に京都市交響楽団を率いてオーチャードホールでこの作品を上演。さまざまな要素が交じり合う舞台は大きな反響を呼んだが、23年ぶりとなる今回はまったく新しい演出で臨むという。

 「この作品にはバーンスタインの苦悩が全部込められている。だから今回は主役の“司祭”をバーンスタイン自身として描き、彼自身の私小説風に展開します。彼はこの作品を非常に大切にしていて、日本初演を実現した名古屋の合唱団グリーン・エコーの音楽監督、藤井知昭さんに『この作品は私のすべてであり、私の人生だ』と書いた手紙を送っているほど。彼の苦悩というのは、今、生きている人の悩みそのものでもある。今回僕はそれをなるべく単純化して、わかりやすい形でお客さまに届けたいと思う。」井上道義はそのように語る。フェスティバルホールの大きな舞台ならそれが可能だ、とも。

 上演に際しては日本を代表する才能が結集した。バーンスタインに扮するバリトンの大山大輔を筆頭に小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣らトップクラスの歌唱陣が配される中、オーディションで選ばれた中学校1年生の込山直樹がボーイソプラノで重要な役どころを担う。バレエには振付を担当する堀内充率いるプロダンサーと、大阪芸術大学舞踊コースの学生が出演。副指揮の角田鋼亮、合唱指揮の福島章恭といった存在も見逃せない。バーンスタインに師事した指揮者、佐渡裕もミュージック・パートナーとして名を連ねる。なお印刷物に用いられたイラストは、大阪芸術大学デザイン科に在学中の伊賀奨一郎の作品。「ミサ」の力強さとバーンスタイン自身の深い祈りを感じさせるビジュアルが印象的だ。


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■記者会見より。舞台の模型を前に左より堀内充、大山大輔、井上道義、込山直樹の各氏。




(2017年5月19日更新)


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第55回大阪国際フェスティバル2017 
大阪フィルハーモニー交響楽団創立70周年記念
バーンスタイン「ミサ」

チケット情報はこちら


〈新制作/原語上演・日本語字幕付き〉
歌手、演奏家、ダンサーのための劇場用作品

●7月14日(金)19:00/15日(土)14:00
フェスティバルホール
S席-9500円 A席-8500円 B席-7000円 BOX席-15000円 
Pコード 319-516 チケット発売中

【総監督・指揮・演出】井上道義
【照明】足立恒
【美術】倉重光則
【振付】堀内充
【音響】山中洋一
【副指揮】 角田鋼亮
【合唱指揮】福島章恭
【児童合唱指揮】大谷圭介.
【舞台監督】堀井基宏

【バリトン】大山大輔
【ボーイソプラノ】込山直樹

【ソプラノ】小川里美
【ソプラノ】小林沙羅
【ソプラノ】鷲尾麻衣
【メゾソプラノ】野田千恵子
【メゾソプラノ】幣 真千子
【メゾソプラノ】森山京子
【アルト】後藤万有美
【カウンターテナー】藤木大地
【テノール】古橋郷平
【テノール】鈴木俊介
【テノール】又吉秀樹
【テノール】村上公太
【バリトン】加耒 徹
【バリトン】久保和範
【バリトン】与那城 敬
【バス】ジョン・ハオ  

【管弦楽】大阪フィルハーモニー交響楽団
【合唱】 大阪フィルハーモニー合唱団
【児童合唱】キッズコールOSAKA
 ※一般公募のオーディションにより結成された特設合唱団
【バレエ】堀内充バレエプロジェクト
 大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース
【助演】孫 高宏、三坂賢二郎(兵庫県立ピッコロ劇団)

【ミュージック・パートナー】 佐渡裕

【問い合わせ】
フェスティバルホール チケットセンター
■06-6231-2221(10:00~18:00)