ホーム > NEWS > 愛を巡る人間模様を描いたオペラ史上屈指の名作 モーツァルト『フィガロの結婚』 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2017
兵庫県立芸術文化センターの佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2017『フィガロの結婚』の制作発表記者会見が、このほど行われた。『フィガロの結婚』はモーツァルトが1786年に作曲したオペラ・ブッファ(喜劇オペラ)。華麗なアリアの数々に加え、さまざまな性格の登場人物が織り成す人間模様の妙は単なる喜劇に留まらず、この作品をオペラ史上の傑作と呼ばれる位置にまで押し上げている。今回はメトロポリタン歌劇場の首席演出家デヴィッド・ニースが、2014年の『コジ・ファン・トゥッテ』に続き、2度目の演出を手掛けるほか、国際的な注目を浴びるソプラノ、中村恵理がスザンナを演じるのも話題。兵庫県川西市出身の中村はイギリス、ロイヤル・オペラ在籍時の2009年、アンナ・ネトレプコの代役として主役デビューを飾り、2010年からはバイエルン国立歌劇場の専属歌手として活躍。昨年11月にはウィーン国立歌劇場にデビューを果たすなど、まさに今、旬の輝きをまとっての初登場となる。もちろん佐渡裕芸術監督プロデュースオペラならではの、国際色豊かなダブルキャストも見逃せない。会見には佐渡裕芸術監督、デヴィッド・ニース、中村恵理が出席。公演に向けた抱負を語った。
今年は7月14日(金)より兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールでの全8公演に加え『フィガロの結婚』県内ツアーとして、7月26日(水)姫路市文化センター大ホール、7月29日(土)篠山市立たんば田園交響ホールでも公演が行われる。
私は大阪音楽大学の声楽科を卒業して、大学院のオペラ研究室に進みました。初めて1本、通して歌ったのがこの『フィガロの結婚』で、大学院の一年生の時、伯爵夫人の役でした。その後、新国立劇場の研修所に入って研修生時代に本舞台で『フィガロの結婚』、バルバリーナ役でプロとしてデビューさせていただきました。その時に初めてインターナショナル・キャストというものを経験してすごいインスピレーションを感じ、海外でも職業として歌える歌手になりたいという思いから、オランダ、イギリスへ留学し、ロンドンのロイヤル・オペラハウスの研修生だった時にまた『フィガロの結婚』。今度はスザンナを本舞台で歌わせていただくという機会を得ました。そしてバイエルン国立歌劇場でのデビューもスザンナでした。この作品は私の人生や大切なキャリアの節目節目にあるような気がします。このオペラとの縁を感慨深く思いながら、今またスザンナとしてこの兵庫県立芸術文化センターの舞台に立てることを大変うれしく思っています。
昨年はブリテンの『夏の夜の夢』が上演され、たくさんのお客さまがご覧になったということにブラヴォーを申し上げたいと思います。世界のオペラのエッセンスとも言える作品を毎年観ることができる兵庫のお客さまはとても幸運だと思います。さて、その最高の舞台に『フィガロの結婚』という最高のオペラの演出の仕事で戻ってくることができました。『コジ・ファン・トゥッテ』(2014)の時には、佐渡さんとふたりでさまざまな試みを行い、音楽的に激しいことや、またクレイジーなことにも挑戦しました。その結果、多くの仲間たちと舞台を作ることができたという気持ち(company feeling)を持てたことを、佐渡さんにとても感謝しています。同時に今回も彼と一緒にどんな挑戦ができるだろうか、と期待しているところです。また『フィガロ』におけるスザンナというのは,あらゆるオペラの中で女性が歌う一番長い役、と言われています。今回は中村恵理さんと、このスザンナ役でご一緒できることを特に楽しみにしています。

(2017年2月26日更新)
〈全4幕/イタリア語上演・日本語字幕付き/新制作〉
【音楽】ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
【台本】ロレンツォ・ダ・ポンテ
【原作】カロン・ド・ボーマルシェ
【指揮】佐渡 裕 (兵庫県立芸術文化センター芸術監督)
【演出】デヴィッド・ニース
【装置・衣裳】ロバート・パージオラ
【言語指導・声楽コーチ】ケヴィン・マーフィー、森島英子
【合唱指揮】矢澤定明
【演出助手】飯塚励生
【プロデューサー】小栗哲家
【舞台監督】大洞邦裕