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まばゆいばかりの愛のドラマと、豊かな音楽が
織りなすヴェルディ・オペラの代表作『椿姫』
今夏、兵庫県立芸術文化センターで上演! (2/2)

 今までの私の人生の集大成として-森 麻季
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 ヴィオレッタを歌うことについて言うならば、一幕はとても華麗なんです。華やかで高い技術が要求されて、ヴェルディの作品は特にそうなんですけども、低音から高音まで、歌い手にとっては非常に難しい技術が必要とされます。大きなスケールも必要ですし、それでいてすごく繊細な心を歌っていくような、情緒的な面もすごく要求されます。第二幕ではドラマティックな歌唱ですね。ジェルモンが、大切なお嬢様の結婚が、アルフレードとヴィオレッタが付き合っていることで上手くいかないから別れてほしい、という風に頼みに来る場面があるんですけど、そこでは激高する素晴らしい二重唱があります。大きな悲しみや決断をして愛する人のために自分が犠牲を払うという、そういう要素も第二幕で歌い演じます。そして第三幕は死を覚悟しながら、愛するアルフレードを待ち続ける、けなげさとか強さとかはかなさとか、いろんなものが要求されてソプラノの最高峰といっても過言ではない場面になります。佐渡マエストロのオぺラへ出演は3回目です。阪神淡路大震災から20年目になる今年、そしてこの劇場にとっても10周年という節目にあたって『椿姫』のタイトルを歌わせていただけるということは本当に光栄ですし、兵庫との強いつながりも感じています。今までの私の人生の集大成として全力を投じて、これまで歌ったことのないような『椿姫』を演じられたら、と思っています。

 悲しみを湛えたジェルモンを-マーク・S・ドス
mark240300.jpg 私の演じるジェルモンは、ただの悪人ではありません。『マクベス』や『リゴレット』そしてこの『椿姫』の中でこうした悪のキャラクターは非常に深く掘り下げられており、彼らは悪いところがあるにしてもとても豊かな感情も持っていて、人間的な悲しみも表現しうる魅力的な人物と言えます。ジェルモンは非常にヴィオレッタに対して厳しく、息子と別れてくれ、家族のためなんだ、だから別れてくれ、と彼女を攻め立てます。けれども、最終的には彼女の心、魂がどのようなものであったかということを知り、ああ、自分はなんということをしてしまったんだろうかというように感情の変化を見せるのです。そういったところを私は出来る限り誠実に演じたいと思っています。佐渡マエストロとの関わりは、トリノで『ピーター・グライムズ』の舞台をご一緒した時が初めてでした。それより以前には私はカルロ・ベルゴンツィさんや、ニコラ・ロッシ・レメーニさんのもとで勉強していました。ともにヴェルディの作品に大きく貢献した歌手であり、私自身この『椿姫』という作品に、当時から導かれていたのではないだろうかというようなことを思っています。佐渡マエストロの指揮により、震災の悲しみを経験したこの場所で歌うということに深い思いを感じていますし、素晴らしい歌手の方たちと舞台を共に演じられるということをとても楽しみにしています。このような機会を与えていただいたことを感謝しています。

 次の10年に向けてのチャレンジに佐渡 裕
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 『椿姫』というのはどういう話ですかと聞かれると、話自体は非常に簡単なんですが、ヒロインの職業の「高級娼婦」というところを子どもさんがたにどう説明するのか、というのはなかなか悩ましい問題ではあります。とは言え、そうした当時の風俗も含めた時代色というもの、そしてパリであるということ、そういったことがこの作品では非常に重要なんですね。そのためには舞台での装置や衣装もその時代にふさわしいものでなければならないし、どうやったらそれが可能なのかということを、ずっと考えていました。そんな中、出会ったのが、映像をはめ込んでいくというアイデアだったんです。それによって舞台全体がその時代背景、時代設定というものを明確にしていくことになりますし、本当に舞台上に馬車が登場してくるということはなかなかないでしょうが、そうしたことも見せることができて、町の風景であるとか、通常舞台上で表現することの出来ない具体的な情景描写も可能になります。ただ今回はかなりの数の映像を使うので、タイミング的にそれが上手くいくのかどうかというのが上演に向けての大きな課題になっていくと思います。僕はこの9月からウィーンのトーンキュンストラーの監督に就任するので、みなさんが兵庫はやめるんですか、というようなことを言ってくださるんですけども、僕自身はこの兵庫は、スタッフから辞めろと言われるまでは続けていきます。まだまだこの10年でやれなかった作品への取り組みや、この劇場でしかできない町との関係、演奏者とお客さんの関係が、いよいよ今、ひとつのステップを終えてまた次の章に入っていくんだという気がしています。『椿姫』はこの劇場が20年目を迎える、次の10年に向けてのチャレンジになるのではないかな、と考えています。



(2015年3月 6日更新)


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佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2015

『椿姫』 La Traviata

兵庫県立芸術文化センター開館10周年記念公演
〈全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付き/新制作〉

【音楽】 ジュゼッペ・ヴェルディ
【台本】 フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
【原作】 アレクサンドル・デュマ・フィス

【指揮】 佐渡 裕 (兵庫県立芸術文化センター芸術監督)
【演出】 ロッコ・モルテッリーティ
【装置】 イタロ・グラッシ
【衣裳】 カルメラ・ラチェレンツァ
【照明】 ルチアーノ・ノヴェッリ
【映像】 マウロ・マッテウッチ
【合唱指揮】 シルヴィア・ロッシ
【言語指導・声楽コーチ】 ケヴィン・マーフィー
【演出助手】 菊池由美子
【プロデューサー】 小栗哲家


【出演/ダブルキャスト】〔7/14.17.19.22.25〕

【ヴィオレッタ】 森 麻季
【アルフレード】 ルチアーノ・ガンチ
【ジェルモン】 マーク・S・ドス
【フローラ】 谷口睦美
【ガストン子爵】 小貫岩夫
【ドゥフォール男爵】 斉木健詞
【ドビニー侯爵】 大山大輔
【グランヴィル医師】 ジョン・ハオ
【アンニーナ】 渡辺敦子


【出演/ダブルキャスト】〔7/15.18.20.24.26〕

【ヴィオレッタ】 テオナ・ドヴァリ
【アルフレード】 チャド・シェルトン
【ジェルモン】 高田智宏
【フローラ】 ルネ・テータム
【ガストン子爵】 渡辺 大
【ドゥフォール男爵】 久保和範
【ドビニー侯爵】 町 英和
【グランヴィル医師】 森 雅史
【アンニーナ】 岩森美里


【合唱】 ひょうごプロデュースオペラ合唱団
【管弦楽】 兵庫芸術文化センター管弦楽団
(コンサートマスター:ステファーノ・ヴァニャレッリ)
【制作】 兵庫県立芸術文化センター

【公演日程】
7月14日(火).15日(水).17日(金).18日(土).19日(日).
20日(月・祝).22日(水).24日(金).25日(土).26日(日)  全10公演
各日 14:00開演(13:15開場)

【会場】
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

チケット発売中 Pコード249-079  
A席-12,000円 B席-9,000円 C席-7,000円 
D席-5,000円 E席-3,000円

【問い合わせ】
芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255

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