最高の響きで聴く者を魅了するJVSO。2014年の幕開けを飾る名曲の聴きどころを、プロデューサー、三枝成彰がお伝えします。
■モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲
これは定番ですが、傑作ゆえの定番と言えると思います。物語の始まりを予感させるスリル、胸の高鳴りがすべて詰まっています。
■プッチーニ:歌劇『トスカ』より「妙なる調和」
第1幕で歌われる重要なアリアです。主人公の画家が女性の絵を描きながら、その清純さと官能性という2面性の調和を歌います。
■ヴェルディ:歌劇『リゴレット』より「女心の歌」
この歌はヴェネツィアのフェニーチェ劇場で、当時から大ヒットしました。初演翌日からゴンドラの船頭がみんな歌っていたという伝説があります。
■モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
■モーツァルト:歌劇「魔笛」より「なんと美しい絵姿」
「魔笛」の舞台はエジプトですが主人公の衣装は日本の「狩衣」(公家の普段着)。不思議な東洋趣味です。演奏には当時教会音楽にしか使われなかったトロンボーンが使われています。神秘的な物語として意図されているんですね。そんな雰囲気をお聴き取りください。
■マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
たいへん美しい作品です。でも舞台ではこの曲が流れてから程なく主人公は殺されてしまいます。シチリアを舞台にした残酷ゆえに美しい作品。映画『ゴッドファーザーPARTIII』で印象的に使われました。「カヴァレリア・ルスティカーナ」とは田舎紳士というほどの意味です。
■プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」
プッチーニの遺作となったオペラから。中国を舞台にした作品で、荒川静香さん以来、フィギュアスケート放送のオープニングとしても使われています。ここでは何よりもジョン・健・ヌッツォの黄金のテノールを存分に堪能してください。
■ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68
ブラームスはベートーヴェンを尊敬していました。だからロマン派全盛の時代にベートーヴェンのような交響曲を書こうとして21年も費やしたんです。完成度は非常に高く、ハンス・フォン・ビューローという指揮者はベートーヴェンの「第10交響曲」と呼んで絶賛しました。力強いフィナーレが、きっと心を熱くするはずです。