ホーム > NEWS > ふたりの名手が全身全霊で渡り合うステージ。 THE DUO 高木和弘&二村英仁 大阪公演!
ステージの上にはヴァイオリニストがふたりだけ。伴奏のピアノもなければ譜面台もなし。
そして、ふたりのヴァイオリニストはほぼ1時間半のあいだ、複雑なパートを分け合いながら高度な演奏の数々を披露する…。そんな興味深いコンサートが、10月7日、大阪梅田のザ・フェニックスホールで開催される。
ヴァイオリニストは高木和弘と二村英仁。ともに1970年代前半生まれの同世代とは言え、かたや東京交響楽団のコンサートマスターほか多くの要職を務め、ソロにオーケストラに、またクラブ・ミュージックにと八面六臂の活躍を見せる高木と、日本人として初めて、国連より「ユネスコ平和芸術家」に任命され、戦乱の続く、サラエボ、コソボ、パレスチナなどで演奏活動を展開、さらに編曲やCD録音などの活動にも実績を残す二村である。高い実力を誇りながらもまったく別々のキャリアを歩んでいたふたりが出会ったのは、2009年5月。東京交響楽団の公演に二村がソリストとして出演した時のこと。互いの音楽性、そして人間性に惹かれあったふたりによって、この異色のユニット「THE DUO」が誕生した。
それにしてもヴァイオリン奏者ふたりだけ、というのは世界でも類がない。実力伯仲する名手が全身全霊で渡り合う気概と、お互いに対する信頼がなければ魅力あるステージは立ち現れてこない。音楽の真剣勝負ともいうべき、厳しく激しいステージに、名手たちはどのように臨むのか?ふたりのコメントに耳を傾けながら、コンサートの当日を楽しみに待ちたい。(以下50音順)
二村さんとなら、燃え尽きるまで演奏できます。(高木和弘)
去年5月、初めて東京でこのユニットで演奏しました。当初、僕はピアノ伴奏も想定したんですけど、二村さんはヴァイオリンだけ、というこだわりを強く持っておられたんですね。それなら、それでやってみようと。ヴァイオリンのデュオのために書かれた作品というのはまずないので、当然、編曲された楽譜の中から、プログラムを作っていくわけです。ふたりでその作業を行う中で、僕としてはかなり高度、というか力を出し切った難曲も提示させてもらったんですね。それで、ああ、いいプログラムができたと思った時に、二村さんがにこっと笑っておっしゃったんです。「じゃ、暗譜でね」って。もうなんか、暗譜なんかあったりまえじゃないですか、ぐらいの勢いで。びっくりしました。これはもう観念するしかないな、と。
練習はスパーリングでしたね。役割をチェンジしながら、矢吹丈と力石徹です(笑)。でも二村さんとなら、燃え尽きるまでやれるな、と思いましたよ。
高木さんとは、深いところで何かを共有
できている。(二村英仁)
東京での公演は、90度の岩壁をふたりだけで登って行った、という感じでした。すごい緊張感の中を完璧に登りきった、という気持ちでした。高木さんのテクニック対する信頼ははじめからありましたが、ふたりの間で「会話が出来ている!」という手応えがうれしかった。完璧に登りきって雲の上に出たという感覚ですね。演奏をしていて、譜面がなくても、相手の波動みたいなものがキャッチ出来るんです。高木さんとはキャリアや方向性が違っていても、深いところで何かを共有出来ている、と。芸術に対する価値観が一致しているということでしょうね。
演奏そのものについての説明はなかなか難しい。でも、同じ楽器が、同じメロディを弾く、また別々のメロディを弾いたりする。その時にふたつの個性の表現はこんなに違うんだ、と。まるで正反対に対位するものが、ひとつの曲のフィナーレに向かってドラマティックに展開していく、その響きを感じていただければ、うれしいと思います。
(2011年9月22日更新)
THE DUO