ホーム > NEWS > 板垣李光人が大阪・関西大学での ティーチイン試写会に登壇! 映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』 大阪ティーチインレポート
第46回日本漫画家協会優秀賞に輝いた、武田一義の同名漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』が、12月5日(金)より、T・ジョイ梅田ほか全国にて公開される。
太平洋戦争末期、激戦地となったペリリュー島の史実を基に、漫画家志望でその才を買われた青年・田丸が功績係として、遺族のために仲間の最期を書き記していく中で見た、戦場の現実と戦場で生まれた友情を描く。
板垣李光人が主人公の田丸を、中村倫也が田丸と友情で結ばれる吉敷の声を担当した話題作だ。そんな本作の公開を前に、12月1日(月)、関西大学で行われたティーチイン試写会に、主人公の田丸の声を務めた板垣李光人が上映後に登壇し、舞台挨拶を行った。
まずは、大阪について板垣は「大阪に来ると、お気に入りのたこ焼き屋さんで、たこ焼きをいただいて帰ることが多いです」とお気に入りのたこ焼き屋さんがあることを明かし、「映画の撮影で新世界でロケをした」時に、「東京のロケとは雰囲気が違った」そう。というのも、「東京では遠巻きに見てる方が多いけど、新世界では積極的に話しかけてくださるおじ様がいらっしゃった(笑)」と、街の雰囲気の違いを笑顔で話した。
本作で演じていて心が揺さぶられたシーンについては「冒頭、小山くんが亡くなってしまうところは、戦争は銃弾や爆撃以外でもこんなにも簡単に人の命が失われてしまうんだと、田丸としても僕自身としても印象に残ってます」と、衝撃を受けたシーンを明かした。
現在23歳の板垣は、同世代である21歳の田丸を演じる際、「戦争は教科書の中で知るもの。漫画や映画で見るものという認識だった」と振り返り、「アフレコの前にペリリュー島に行った」ことを明かし、「楽園みたいな景色だけど、一歩山道に入ると、当時の戦車や墜落した飛行機がそのまま残っていて、その当時そこで戦っていた人たちの鼓動を感じて、現実のものとして戦争を突きつけられた。現在の日本で暮らしている者として、胸にくるものがあった」と、ペリリュー島での体験を振り返っていた。
ここから学生とのティーチインに移り、仲間の死を美談に変えることへの田丸の葛藤をどのように表現したのか聞かれると、板垣は「あの時代は、国のために命を落とすことが美しいとされていた。戦時中の価値観や教育の中での田丸の葛藤は、自分自身も感じた。その一方で、仲間の最期の姿を美化して遺族に届けて、遺族の気持ちが少しでも救われるのであれば、必ずしも間違ったこととは言い切れないと思う。もちろん、事実ではないという後ろめたさもあるので、自分の気持ちを素直に田丸と共鳴させて演じました」と、自身も田丸と同じように葛藤を抱えながら演じていたよう。
次に、同年代の俳優として、夢を心の奥にしまわざるを得なかった若者をどのように受け止めて演技に反映させたのかという質問には、「きっと田丸も吉敷も、本作に登場するキャラクターは皆、故郷で目指すものや目的があって、過酷な状況を生き延びていたと思う。言葉では国のために勝つと心を奮い立たせてるけど、心の奥では平穏な日常に戻れた時の夢を支えに、あの場にいたと思う。皆さんも夢に向かって頑張ってらっしゃると思いますが、そことどうシンクロさせられるかという気持ちで演じてました」と明かしていた。
また、本作に携わって、戦争や平和についての考えに変化はありましたか?という質問に対しては「ここ数年、いろいろな国での惨事が連日報道される中で、戦争がノンフィクションとして迫ってきている感覚があった。戦争のことも知らない自分に何ができるんだろう?と思っていた時に、この作品の話をいただいた。この作品に携わって初めてペリリュー島のことを知って、この作品で知るきっかけをもらったので、この作品を観てくださった方が知るきっかけになれば。若い世代の我々にできることは、知ることの連鎖を生み続けるようにアクションを起こすことだと思いました」と、本作が戦争を身近なこととして考えるきっかけになったと語った。
最後に、板垣が「劇中の描写に怖いと感じたり、目を背けたくなった場面もあったかもしれませんが、そういう感覚を大事にしてほしいと思ってます。知ることだけでも大きな一歩だと思うので、この作品が知ることの連鎖を生むきっかけになればと思っています。この作品の最後に、田丸が両親に「ただいま」と言って終わりますが、「ただいま」と言える今の現実がすごく尊いことなんだと、この作品に関わって強く感じたので、そういうところにも思いを馳せていただけたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。
取材・文/華崎陽子
(2025年12月 1日更新)
▼12月5日(金)より、T・ジョイ梅田ほか全国にて公開
声の出演:板垣李光人 / 中村倫也
天野宏郷 藤井雄太 茂木たかまさ 三上瑛士
監督:久慈悟郎
脚本:西村ジュンジ・武田一義
主題歌:上白石萌音「奇跡のようなこと」
【公式サイト】
https://peleliu-movie.jp/
【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/398677/index.html