ホーム > NEWS > 主演の吉沢亮、李相日監督が大阪で舞台挨拶に登壇! 『国宝』特大ヒット記念舞台挨拶 in 大阪レポート
李相日監督が、吉田修一の同名小説を吉沢亮主演で映画化した『国宝』が、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて大ヒット上映中。組織同士の抗争で父親を失った任侠一門の息子が、上方歌舞伎の名門当主に引き取られ、歌舞伎の世界で出会ったライバルの御曹司と共に切磋琢磨しながら成長していく様を描く。
主演の吉沢をはじめ、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、田中泯、渡辺謙ら豪華キャストの共演も話題を呼んでいる本作。公開から日を追うごとに観客動員、興行収入ともに伸び続け、興行収入135億円を突破した『ボヘミアン・ラプソディ』に並ぶ4週連続土日前週比超えという、異例の興行収入を記録。
そして、8月6日(水)までで観客動員数629万人、興行収入88億円を突破し、2025年公開の実写No.1(※興行通信社調べ)を記録するなど、社会現象となっている。そんな本作の特大ヒットを記念し、8月10日(日)、TOHOシネマズ梅田で、上映後に主演の吉沢亮と李相日監督が登壇し、舞台挨拶を行った。
まずは、吉沢が「撮影場所でもある関西で舞台挨拶ができるのが非常に嬉しいです」、監督が「お越しいただきまして、ほんまおおきに」と関西弁で挨拶し、「関西を中心に大阪でも撮影していました。関西の方にエキストラとしてたくさん来ていただいたので、感謝を述べられる機会をいただけて嬉しいです。本作は、上方歌舞伎が題材なので、大阪が発祥の物語。ようやく大阪に来られたという気持ちと緊張感もありながらこの場に立っております」と感謝の思いを述べて舞台挨拶は始まった。
早速、ティーチインに移ると大阪でのロケ場所についての質問が。監督は「大人の春江が出てくるキャバレーは、今も営業している十三のお店で、喜久雄と俊介が話すシーンの赤いつり橋のように見える橋も大阪です」と言い、さらに「重要なポイントとして大阪の文楽劇場」が使われていることを明かし、「喜久雄が「鷺娘」の衣装で廊下を歩くシーンで、廊下は東京の国立劇場ですが、地下の奈落と奈落を上がってくるまでが大阪の文楽劇場、上がりきったら京都のセットです。彼の過去を遡って暗い道を歩いていく画になったのは大阪の文楽劇場のおかげです」と明かすと、場内からは驚きの声が。
そして、好きな演目を尋ねられると、吉沢は「一番、内面で踊ったのが最後の「鷺娘」だった」と振り返り、「体力も集中力も必要な演目で、綺麗に踊れるように一生懸命練習した。いざ本番になると綺麗に踊るというよりも喜久雄の蓄積が一気に解き放たれる瞬間だった。今までの喜久雄の感情を爆発させながら踊ったので、滅茶苦茶大変だったけど、気持ちよかった。やってて一番良かったのは「鷺娘」かもしれない」と心境を明かすと、監督も「それは傍から見てても伝わってきた。喜久雄が最後に見る風景を疑似体験したような瞬間だった」と振り返っていた。
また、「歌舞伎役者と俳優どちらが大変だと思いますか?」という質問に吉沢は「歌舞伎役者だと思います」と即答し、「歌舞伎役者さんは何百年も続く芸を生きてる。下手が許されないというか、味にならない世界。演じていて、その厳しさをすごく感じた。先代のとんでもない人たちが演じてきた演目を演じる覚悟は相当なものだと思う」と思いを語っていた。
さらに、エキストラに10回以上参加したという方から「花吹雪と雪と光がポイントだったのでは?」という質問について監督は、「雪に象徴される白は「無」で、死も意味していて。白い雪が示すのは、喜久雄から見た「死」の情景で、同時にすごく気をつけていたのは赤色。赤は「血」の色でもあるし、生命の根源でもある。赤と白で生と死を色味や光でどのように表現するか考えながら撮影していた」と色味に込めた思いを語った。
一方、ラストの「鷺娘」のシーンについて吉沢は「やっている時は踊りに集中しきってたので、雪は意識してなかった。父の死のシーンも雪が降っていたように、雪が象徴的なシーンに出てくる。喜久雄にとって景色はすごく重要なので、彼の目線の先にある印象的なものとして雪が大事なものだと感じていた。映像で観ると、改めて美しいシーンだと感じた」と語っていた。
本作の大ヒットについて監督は「日常生活にそんなに影響はない(笑)」と苦笑いしながら、「東宝という大手の映画会社で初めて僕が作品を作ることになって、吉田修一さんと『悪人』の脚本を書いていた時に「我々の感性は消費税だよね」と話していた」と振り返り、「消費税は当時8%でしたが、8%の人に届くような掘り下げるものをやりたいふたりが、大きなマーケットを担うことになったんですが、『悪人』も『怒り』も『国宝』も、50%を目指したわけではない。伝わる人に深く伝わる映画を作ろうという思いでやってきた。だから、この状況に僕が一番驚いてます。この作品を「美しい」と言ってくださる観客の方の感性が美しいし心が美しいと思う」と観客への思いを述べていた。
最後に吉沢が「公開から2か月以上経った今もたくさんの方に劇場へ足を運んでいただいて、多くの方にこの作品が愛されてることを非常に嬉しく思ってます。監督と同じように、人の心に深く届く作品になればいいなと僕もずっと思っていた。深く刺さっている方がこんなにたくさんいらっしゃるということに驚きながら嬉しく思ってます。この作品を作ってよかったと日々、実感しております。この作品を皆様とともにもっと盛り上げていけたら嬉しいです」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。
取材・文/華崎陽子
(2025年8月10日更新)
▼TOHOシネマズ梅田ほか全国にて上映中
出演:吉沢亮
横浜流星/高畑充希 寺島しのぶ
森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎/田中泯
渡辺謙
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
脚本:奥寺佐渡子
監督:李相日
【公式サイト】
https://kokuhou-movie.com/
【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/370582/index.html