ホーム > NEWS > 主演の妻夫木聡と窪田正孝、大友啓史監督が 大阪での舞台挨拶に登壇! 映画『宝島』大阪舞台挨拶レポート
直木賞を受賞した戦後沖縄を舞台にした真藤順丈による同名小説を、大友啓史監督が映画化した『宝島』が、9月19日(金)より、T・ジョイ梅田ほか全国にて公開される。
アメリカに支配された沖縄で、混沌とした時代を全力で駆け抜けた"戦果アギヤー"と呼ばれる若者たちの姿を壮大なスケールで描く。主演に妻夫木聡を迎え、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太ら日本映画界を牽引する豪華俳優陣が集結した話題作だ。
そんな本作の公開を前に、7月4日(金)、T・ジョイ梅田で、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える"戦果アギヤー"だったが、刑事になったグスクを演じた妻夫木聡と、グスクの幼馴染であり、彼らの英雄的存在のリーダー・オンの弟でヤクザになったレイを演じた窪田正孝、そして大友啓史監督が上映後に舞台挨拶を行った。
大阪に来るのは「結構久しぶり」と言う妻夫木。「コロナ以降来てないかも...」と記憶を辿る一方で、「義理の両親がいるので、大阪にはよく来る」という窪田。好きな場所を聞かれると「オツボネ公園?」と発言すると、観客から「靭公園」と訂正され、「ヤバい、間違えちゃった。記事書かないで」と焦っていると、妻夫木は爆笑しながら、「『宝島』観終わってお客さん感動してるのに台無しだよ」と言い、窪田は「広くて気持ちいいんです!靭公園好きなので」と訂正していた。
本作が大阪で上映されるのは初めてであることがMCから告げられると場内からは大きな拍手が起き、妻夫木は「本当に嬉しい。皆さんの顔を見てると皆さんの人生の1ページとして『宝島』を成長させてくれるんじゃないかと希望まで感じさせてくれる。本当にありがとうございます」と、改めて観客に感謝の思いを伝えていた。
大友監督も「ここにたどり着くまで6年かかってます。映画は1度失敗すると立ち上がれないものなのに、この作品は2回も。この作品は破格のスケールなので、よく立ち上がれたなと思ってます。そういうプロセスがあったからこそ、皆さんひとりひとりに丁寧に伝えていきたいという思いが強いです。皆さん、来ていただいてありがとうございます」と感謝の思いを述べると、改めて大きな拍手が起きていた。
観客からの質問に答える場面で、「この映画ではそれぞれの正義が違った形で描かれていましたが、窪田さんの思う正義とは?」という質問に対して窪田は、「自分の意見が間違ってると思って口にしてる人は誰もいないと思う。それはその人にとっての正義だから。でも、自分の意見に対して反対する人は悪になってしまう。だから、僕は悪役をやる時も悪役だと思って演じてない。その人にはその人の信念があって、その人なりに世の中を変えようとしている。それがグスクとレイみたいなものだと思う。だから、世の中は正義で溢れていると思う一方で、そこに残る真実はひとつだという気もしています」と真摯に答え、「これ以上答えられない」と苦笑いすると、場内からは大きな拍手が起きていた。
本作のハイライトとも言える「コザ暴動のシーンをどのような気持ちで演じましたか?」という質問に対して妻夫木は「実際に参加された方に取材させていただくと、「怒りという言葉で終わらせてほしくない」と言われた」ことを明かし、「文献では怒りや憎しみで起こったと書かれていることが多いけど、それだけじゃない。その思いで取り組んできた。実際の撮影で監督は、エキストラの方ひとりひとりに丁寧に説明して演出されていた。混沌とした状況の中、いろんな方の感情が混ざって大河の様になったんだと思う」と振り返っていた。
さらに、「撮影が終わってみたら「俺たちはここで生きてるんだ」という皆さんの魂の叫びだったのかもしれないと感じた。グスクとしての沖縄やコザに向けた思いをそのままぶつけました。暴動のシーンで打ちあがる照明弾の明かりによって、走馬灯のようにオンちゃんとの歴史とかいろんな歴史が溢れた。あのシーンは言葉にならないものを表現しようとしていたし、一番時間も思いもかけたと言っても過言ではないシーンだった」と熱弁していた。
最後に、窪田が「映画というエンタテインメントを通して、日本の歴史を改めて感じてほしい。人と人が繋がっていくことで、すごく素晴らしいものが生まれていくんだとこの作品を通じて感じることができた」、妻夫木が「過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。過去は変えられないけど、未来は変えられることができる。命は繋がっていくもの。未来を生きる子どもたちに何を託すことができるのか、この映画を通して考えていただければ嬉しいです」、監督が「この映画を今に届けることがすごく大事なことだと考えて、キャストもスタッフもベストパフォーマンスをしてくれた。エンタテインメントとして皆さんにメッセージを届けながら、何か持ち帰っていただけるようにこの映画に取り組みました。『宝島』の輪を広げていただけると光栄です」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。
取材・文/華崎陽子
(2025年7月 5日更新)
▼9月19日(金)より、T・ジョイ梅田ほか全国にて公開
出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太
塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、ピエール瀧、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮、デリック・ドーバー
監督:大友啓史
原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
【公式サイト】
https://www.takarajima-movie.jp/
【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/356244/index.html