磯村勇斗、福山翔大、内山拓也監督が
大阪で舞台挨拶に登壇！
映画『若き見知らぬ者たち』大阪舞台挨拶レポート

『佐々木、イン、マイマイン』で話題となった、内山拓也監督の商業長編デビュー作となる人間ドラマ『若き見知らぬ者たち』が、T・ジョイ梅田ほか全国にて上映中。亡き父の借金を抱え、母の介護をしながら昼夜問わず働く青年が、疲弊する生活の中で、家族の問題と自分の人生の間で苦悩しつつ、幸せを掴もうともがく様を描く。

磯村勇斗が主演を務め、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、霧島れいからが共演に名を連ねる話題作だ。そんな本作の公開を記念し、10月14日(月・祝)、T・ジョイ梅田で、母の介護と仕事に追われる主人公・風間彩人を演じた磯村勇斗、父の影響で始めた総合格闘技の練習に明け暮れる彩人の弟・壮平に扮した福山翔大、そして内山拓也監督が上映前に舞台挨拶を行った。

まずは、主人公・彩人の役のオファーを受けた時の心情について磯村は「監督とお話した時に、脚本についての疑問点を監督に投げると僕の想像以上の答えが返ってきた」と振り返り、「その言葉に全く嘘がなくて、この作品を絶対に作りたいという思いを感じた。彼の作家性や視点、どんな風に世の中を切り取って見ているのかに共鳴できたので、この作品に彩人として参加したいと思った」と作品に参加した思いを明かした。

また、壮平役のオファーを受けて引き受けた理由について福山は「最初にこのお話を聞いたのが8年前だった」と前置きし、「8年間、この物語を練り上げ続けた監督の信念に強く感動した。監督から満を持して「壮平役をお願いします」とお話を頂いたので、ひとつ返事で「人生かけて臨ませていただきます」と回答しました」と監督の信念に賛同したことが理由だったと語った。

この映画の出発点について監督は「2016年に自主映画の『ヴァニタス』で海外の映画祭を周って、お客さんにこんなにも伝わるんだ、映画と向き合うことは大変なんだと23歳で初めて知った」と振り返り、続けて「この映画の主人公はヤングケアラーですが、僕自身がヤングケアラーだった」と明かし、「もうひとつは、本当にあった友人が経験した事件に映画監督として向き合わなければならないと思った。そのふたつのことを軸とした物語を届けたいと思ったのがきっかけだった」と、作品への思いを語っていた。

彩人と壮平という兄弟を演じたふたりに、事前にやり取りがあったのか尋ねると磯村は「全く話さなかった」と言い、「クランクイン前にご飯に行って、十分に関係性を作り上げることができていた。兄弟というよりは彩人と壮平としての関係を作ることができていたので、ふたりの間に流れる時間を大切にして撮影できた」とふたりの関係性について話した。

福山は「僕が2歳下ですが、世代のトップを走る俳優さん。いつかご一緒できたらと思っていた」と磯村への思いを語り、今回は「兄弟役でお芝居ができるチャンスを頂いた」と思っていたそう。「焼肉に行ったんですが、1枚目の肉を焼く時にはお互い笑顔で話せるようになっていた。磯村さんが心を開いて接してくださったので、より、リスペクトが増しています」と磯村へのリスペクトを語っていた。

劇中で披露される総合格闘技の練習について福山は「撮影が始まる1年前から総合格闘技のスキルを獲得するために、ジムで練習を重ねた」と振り返り、「壮平が1発1発にどんな思いを込めて戦っているのか。生きるということに立ち向かっていくのか。そういうことを育むための大切な1年間だった」と思いを述べた。

そんな福山について磯村は「こんな役者いない」ときっぱり。「ひとつの作品に向けて1年かけて役作りができる精神がすごい。犠牲にしたものもたくさんあると思う。いい意味で役者馬鹿だと思ってる。そういう役者が近くにいるということは僕にとっても刺激になる。日本でここまでやってる役者はいない。彼のことは尊敬してます」と、言葉を尽くして称賛していた。

さらに、今回初めて共演した染谷将太について磯村は「彼が子どもの頃から役者として見ていたので、現場でお会いできるのを楽しみにしていた」と念願の共演だったと明かし、「ふたりは親友なので、そのシーンは彩人が和らいでいる表情が見える。どうしようかと考えて、初めて染谷くんに会った時に、ストレートに「好きです」と伝えた。そこからどんどん会話が弾んで、そのおかげでスムーズに撮影が進んだ」と振り返っていた。

最後に、福山が「大切な方にこの映画のことを届けていただけたら嬉しいです」、監督が「自分がたったひとりだと孤独を感じている人はたくさんいるのかもしれない。映画館を出た後に、そういう方々に届くように力を貸していただけたら嬉しいです」と作品をPRした後、磯村は「大阪なので一言二言面白いこと言えよと思われているかもしれません。大阪に来るとそういうプレッシャーを感じるんです」と笑わせ、「そういう大阪の血は僕たちを奮い立たせてくれるので、また東京とは違う空気で非常に楽しく過ごしてます。とにかく、この映画を楽しんでもらえたら僕たちは嬉しいです」と笑顔で語り、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2024年10月14日更新）