役所広司、土屋太鳳、曽利文彦監督が
大阪で舞台挨拶に登壇！映画『八犬伝』
舞台挨拶付きプレミア上映会 in 大阪レポート

『南総里見八犬伝』の世界と、滝沢馬琴・葛飾北斎の世界が交錯する、山田風太郎の同名小説を曽利文彦監督が映画化したファンタジックな時代劇『八犬伝』が、10月25日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて公開される。江戸時代の人気作家・滝沢馬琴が友人の絵師・葛飾北斎に、呪いを解く運命に導かれた剣士たちの物語を語る様を描く。

役所広司が主演を務め、内野聖陽、土屋太鳳、磯村勇斗、黒木華、栗山千明、寺島しのぶらが共演に名を連ねる話題作だ。そんな本作の公開に先立ち、10月7日(月)、TOHOシネマズ梅田でプレミア上映会が開催され、滝沢馬琴を演じた役所広司、「八犬伝」の伏姫に扮した土屋太鳳、そして曽利文彦監督が上映後に舞台挨拶を行った。

まずは、役所が「大阪は笑いに関しては厳しいと聞きます。笑えるシーンは少なかったと思いますがお楽しみいただけましたでしょうか？」と観客に呼び掛けると、観客からは大きな拍手が起こっていた。さらに、「(大阪は)拍手をしてくださる熱が違う。気をいただいた気がします」と笑顔で話すと、土屋も「迎えてくださる圧というか(笑)、熱を感じます。笑い声も新喜劇で鍛えられてる」と大阪の印象を語っていた。

すると役所は「昔、舞台で全国を周っていた時に、大阪は特に笑いに厳しかった」と振り返り、「九州辺りでは陽気に笑ってくれたんですが、大阪に来ると笑いが薄かった(笑)。厳しいなと(笑)」と笑わせた。

大阪出身という監督は「大学まで茨木市にいました。笑いが好きで温かい感じは変わらない。さっき、大阪に着いたら雨が降ってて。『ブラックレイン』だと思いました」と名作と重ね合わせていた。

そして、『八犬伝』で滝沢馬琴を演じた役所に役作りについて尋ねると、「(馬琴さんの)28年間の変化をメイクさんや衣装さん、美術さんが丁寧に作ってくださったので、扮装で老けていくと年齢が身体に染み込んでくる感覚があった。すごく楽に役に入ることができた」と明かしていた。

伏姫を演じた土屋は「伏姫は物語のきっかけとなるお姫様。この物語に参加すること自体が憧れだった」と明かし、「役所さんと同じように、メイクさんや美術さん、衣装さんたちによって魔法がかけられた感覚で演じ切ることができた」と語っていた。

本作が念願の企画だった監督は、「親子の物語は「八犬伝」の中にたくさん出てくるので、映画の中でも親子の繋がりを深く描いたつもりです」と映画に込めた思いを話し、「ようやく完成して皆様に観ていただけると思うと胸が熱いです」と熱く語っていた。

また、観客からの質問タイムに移り、「印象に残っているシーン」を聞かれると役所は「「実(馬琴の物語)」では、愛するひとり息子が身体を壊して弱っていく。そのホームドラマの部分が特に印象に残ってる」と語り、「磯村くんが撮影中に相当過酷な減量をして、日に日に瘦せていく姿を見ていると辛い思いをしました」としんみりと語った後、「虚(八犬伝)」の方は、八房に乗って去っていく伏姫の姿ですね(笑)」と話すと場内からは笑い声が起きていた。

さらに、苦労したことを聞かれると役所は、「メイクの扮装に3時間ぐらいかかった。仕事をする上では助けになったけど大変だった」と明かし、土屋は先ほどの役所のコメントを受け、「八房をやっていたのが助監督さんだったので、感情を込めるのが大変だった」と言って笑わせた。

最後に、土屋が「どんな時代も変わらない愛情や人情、悩み、葛藤が描かれた作品です。皆さんの心や未来を温めるような作品になったら嬉しいです」、役所が「自分の出ている映画はなかなか冷静に観られないものですが、この映画は家族で観られるといいのかな。正しいものが報われる、正義とは何かについて親と子で会話できる映画だと思います」、監督が「2本分の映画を作る大変さがあった。いろんなものをぎゅっと凝縮して作りました。もう1度観ていただくとまた新しい発見があると思います」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2024年10月 8日更新）