大東駿介、齊藤勇起監督が登壇！
映画『罪と悪』大阪舞台挨拶レポート

『横道世之介』の高良健吾が主演を務める本格ミステリー『罪と悪』が、大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中。13歳の時に同級生を殺した犯人を死に追いやった幼なじみたちが、20年ぶりに再会した後に、過去と同じような殺人事件が発生する。

高良健吾とともに、大東駿介と石田卓也が幼なじみの同級生を演じ、村上淳、佐藤浩市、椎名桔平らが物語の鍵を握る人物を演じている。そんな本作の公開を記念し、2月10日(土)、大阪ステーションシティシネマで、主人公の幼なじみのひとりで刑事の晃を演じた、大阪府出身の大東駿介と齊藤勇起監督が上映前に登壇し、舞台挨拶を行った。

出席予定だった高良健吾が欠席となったことを受け、まずは大東が、「高良健吾は来ないのか、高良健吾を見に来たんだという方もいらっしゃると思います。そこは僕たちに気を使ってもらって、無理して盛り上がってもらえれば(笑)」と挨拶し、舞台挨拶は始まった。

監督のデビュー作である本作。オファーを受けた時の印象を聞かれた大東は、「初めて僕たちがこの映画の話をしたのが3年前で、『草の響き』という映画を函館で撮っていた時。過酷な現場だったんですが、齊藤監督が助監督として現場をスムーズに回していた。よく行っていたスナックのカウンターでふたりで話していた時に「齊藤監督が映画を撮るなら出させてほしい」と。「台詞のない役でも」と言っていたら、これだった」と振り返った。

さらに、オファーを受けた時は「めちゃくちゃ嬉しかった」と言い、「台本を見て、どんなところにちょろっと出てるのかと思ったらずっと出てる(笑)。腹を決めてオファーしてくれたんだな、と」と監督の思いを感じたよう。監督は「思い描いていたキャラクターに大東さんがぴったりだった」とオファーの思いを明かした。「その瞬間に覚悟を決めた」という大東は「監督の望んでいる以上のことをどうやったらできるかなという気持ちになった」と監督の熱い思いに応えたい気持ちが芽生えたよう。

すると監督は「オファーに対する大東さんからのレスポンスがすごく早くて嬉しかったんですが、ひとつ確認したんです。『草の響き』が斎藤久志監督で、僕の名前もの齊藤なので、名前を間違えてるんじゃないかと(笑)」と振り返ると、大東は「どっちの斎藤さんでも即決でした」と笑った。

続けて大東は、「佐藤浩市さんも、(椎名)桔平さんも、村上淳さんも、助監督として監督と出会ったからこそ、強い思いを持って参加されていた」と明かし、「浩市さんに至っては僕と同じようなこと言ってましたよね。元々は台詞のない役でも出ると」と監督に話を振ると、「新人監督を応援したいという熱い思いを持った俳優さんたちなので、若手の映画監督の作品の力になれるならという思いで受けてくれて。それに甘えて浩市さんはだいぶページ数を増やしました」と語った。

また、出身地である大阪での舞台挨拶となった大東は、「この前、見取り図の盛山くんとさらば青春の光の森田さんとテレビ番組で一緒だったんですが、全員堺市出身だったんです。堺市民は堺愛が強い」と言い、「僕は金属バットという芸人の小林と同級生で、小林が高校時代にバイトしてた一条通のマクドナルドの、道路をはさんだ向かいのうどん屋さんがめっちゃ美味しい。調べてみてください(笑)」とにこやかに観客に語りかけていた。

ここで、高良健吾からの手紙が届き、「今日は出席できず申し訳ありません。舞台挨拶に来られた皆さんと顔を合わせられなくて残念です」と詫び、「『罪と悪』は親切な映画ではありませんが、観客の想像力、考える力を信じている作品だと思います。皆さんの心に委ねることで、皆さんそれぞれの心の中で育っていく作品だと思います。インフルエンザでダウンしていますが、回復したらどんな形でも皆さんの前で挨拶ができたら嬉しいです」と思いが語られ、会場からは拍手が起きていた。

最後に、大東が「劇場はすごくロマンがある場所です。映画は、前日からワクワクしてたくさんの人と劇場で観るのが醍醐味だし、その時間全てが映画なので、これからも劇場に足を運んでいただければ嬉しいです」、監督が「複数ある作品の中からこの映画を選んでいただきありがとうございます。これは僕のデビュー作なので、この経験も財産になると思っています。映画について語り合う時間も含めて映画の時間。観終わった後に、この映画のことをまた考えてもらえたら、これ以上ない幸せですし、心の片隅に残る映画になったら幸いです」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2024年2月10日更新）