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監督・主演を務めた須藤蓮&
共同脚本の渡辺あやが登壇!
映画『ABYSS アビス』大阪舞台挨拶レポート

渋谷の喧騒の中を行き交う若者に焦点を当てたラブストーリー『ABYSS アビス』が、シネ・リーブル梅田ほか全国にて上映中。兄の葬式で出会った兄の元交際相手に惹かれていく青年の姿を描く。

『逆光』などで知られる須藤蓮が監督・主演を務め、『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あやが共同脚本を務めている。そんな本作の公開を記念し、10月21日(土)、シネ・リーブル梅田で、監督・主演を務めた須藤蓮と共同脚本を務めた渡辺あやが上映後に登壇し、舞台挨拶を行った。

まずは、須藤は「本当に作るのが大変な映画でした。関西で『逆光』の上映活動をしていた時は、この作品は完成できるのかという危険な状態だったので、今堂々とスクリーン前に立てているのが有難いと思っています。関西で初日を迎えられて嬉しいです」と関西での公開を迎えた心境を感無量の面持ちで語り、渡辺が「梅田ガーデンシネマ時代に、デビュー作の『ジョゼと虎と魚たち』を上映してくださった劇場さんなので、とても思い出深い場所にお邪魔できて嬉しいです」と、思い出を振り返りながら挨拶し、舞台挨拶は始まった。

須藤について渡辺は、「この作品は4、5年前、駆け出しの俳優だった彼がなぜか急に私に脚本の切れ端みたいなのを送りつけてきて」と驚きの発言、「私も忙しいからと突っ返したところから始まった」とふたりの関係について振り返った。「読んでください」と脚本を送られることは多々あるそうだが、「私が厳しいことを言うと大体の方はそれっきりなのに、須藤くんだけは書き直して送り返してきた」そう。そこで渡辺が歯に衣着せぬことを言っても何回も直して送ってきたことで、「なかなか根性があるな」と思うようになったとのこと。

続けて渡辺は、「書かれていることが、おさまりのいい優等生的なものではなく、彼自身の生々しい体験や自分の知っている人たちのことを書こうとする意欲が伝わってきた」と言い、「そういうのは面白くなる可能性がある」と感じ、「やり取りをしながら1本の脚本に仕上げた」そう。結局、須藤が撮ることになったものの、やはり大変だったようで、渡辺は「彼は課題を自分で設定して、ぼろぼろになりながら登っていく性質がある。それでも、私の想像を遥かに超えた作品になった」と称賛していた。

それを聞いた須藤は「僕もなんで監督と主演をやれると思ったかは謎ですが、本当に大変でした。でも、僕は1日で辛かったことを忘れちゃう性質で、そのお陰で生きていると思います。普通だったら折れそうなタイミングは10回、20回はあった」と振り返っていた。

また、MCから監督・脚本・主演の大変さを尋ねられると、須藤は「脚本に関しては渡辺あやさんがいたからできただけで。僕が書いたとは言えない。渡辺あやさんありきの脚本なので。監督と主演に関しては、頭で考えるとやれるかな? と思ったんですが、やってみると難しい」と言い、「バランスがとれてなくて、現場ではパニックが起きてくる」と苦笑いしながら話していた。

すると渡辺は「とんでもなく難しいことなんですよ、監督と主演をやるのは」と切り出し、「日本だと北野武さんとか巨匠と呼ばれる特別な方にだけ許されたことのはずなのに、やるって言いだして...」と言いかけると、須藤は「元々、芝居がしたいから書いた脚本なので、自分が出ないという選択肢がなかった」と言い、「『逆光』という映画を作って監督もやってしまったので、そうせざるを得なかったというのが正直なところ」ときっぱり。

最後に須藤が、「自分の中で消化しきれていない体験や感じていることを詰め込むだけ詰め込み、そぎ落とすだけそぎ落として作った作品です」、渡辺が「脚本家を始めて20年ぐらい経ちますが、彼のことは、そのキャリアの中でも珍しい才能を持った人だと感じています。成功する時も華々しく成功するんですが、失敗する時も派手に失敗しますので、見かけられたら温かく見守ってもらえたらと思います」と語り、舞台挨拶は終了した。

取材・文/華崎陽子




(2023年10月21日更新)


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(C) 2023『ABYSS アビス』製作委員会

『ABYSS アビス』

▼シネ・リーブル梅田ほか全国にて上映中
出演:須藤蓮 佐々木ありさ 夏子 松本亮 浦山佳樹 三村和敬 二ノ宮謙太
監督:須藤蓮
脚本:須藤蓮/渡辺あや(共同脚本)

【公式サイト】
https://abyss-movie.jp/

【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/281928/index.html