５代目・長谷川平蔵に松本幸四郎(十代目)を迎え、
“新たな鬼平”が始動！　松本幸四郎をはじめ
市川染五郎、仙道敦子ら主要キャストが登場！
『鬼平犯科帳』レギュラー出演者発表会見レポート

2023年に生誕100年を迎えた時代小説の大家・池波正太郎の代表作「鬼平犯科帳」。累計発行部数3000万部を超える大ヒットベストセラー時代小説で、これまでテレビドラマ・映画をとおして4度映像化されてきた、不朽のエンタテインメント作品だ。初代・長谷川平蔵は、池波正太郎たっての希望で、松本白鸚（初代）が演じ、以降、丹波哲郎、萬屋錦之介と続き、1989年からは、中村吉右衛門(二代目)が28年間、4代目・長谷川平蔵を務めてきた。

そして、5代目・長谷川平蔵に松本幸四郎(十代目)を迎え、"新たな鬼平"がついに始動！ 6月7日(水)、京都・松竹撮影所にて、「鬼平犯科帳」レギュラー出演者発表会見が行われ、松本幸四郎を筆頭に、仙道敦子、中村ゆり、火野正平、本宮泰風、浅利陽介、山田純大、久保田悠来、柄本時生ら同心・密偵をはじめ主要登場人物を発表、さらに"本所の銕"こと、若き日の長谷川平蔵(長谷川銕三郎)を演じる市川染五郎も登壇した。

まずは、新たな長谷川平蔵に扮する松本が「鬼平犯科帳は時代劇の傑作です。この傑作を最強のメンバーで撮影しています。今日はよろしくお願いします」と挨拶。撮影が始まった現在の心境について聞かれると松本は「同心、火付盗賊改というのは警察ではない。それ以上の凶悪犯罪を取り扱う専門グループなので、それだけの力を持った集団です。だからこそ、熱さ、剣の強さ、重さが必要な役職なので、撮影に入る直前に合宿をして殺陣の稽古をしました。撮影に入っても、その熱さを維持しつつ、さらに熱くなっています」と撮影の実感を語りながらチームワークを自画自賛。

そして、若き日の長谷川平蔵(長谷川銕三郎)演じる市川染五郎に演じた心境を尋ねると、「"本所の銕"と言われ、後に鬼の平蔵と言われ、人情深いところもありながら、やんちゃをしていた人。今までやったことのない新境地の役に挑戦できて嬉しかった」と静かな語り口に熱意を込めて語っていた。

次に、歴代の名優たちが演じてきた鬼平を演じることへの意気込みを聞かれた松本は「主に叔父の「鬼平犯科帳」を見ていた」と振り返った上で、「ぜひ比べていただきたい。今までの鬼平のイメージに真正面からぶつかっていくつもり」ときっぱり。続けて、「だから鬼の平蔵と言われるようになったんだと納得してもらえるような演技を見せることが目標」と力強く語っていた。

また、密偵・相模の彦十を演じた火野正平と密偵・おまさを演じた中村ゆりに密偵という役柄について質問が及ぶと中村は「今よりも身分の違いがある時代に、密偵は裏の社会でしか生きられない。そんな中で鬼平との出会いは強烈な人生を変えるもの。きっと、おまささんにとって鬼平は命よりも大事に思える存在だったと思う」と役柄への思いを語ると、火野は「池波正太郎さんが火野正平という名前をつけてくれたので、ようやく縁がきたと思った」と裏話を語ると、登壇者からも驚きの声が。続けて火野は「幸四郎さんってどんな人かなと思ったら、いつもニコニコ笑っていて優しくてお茶目」と、座長である松本の人柄を称賛していた。

共演シーンはないものの、父親と同じ作品に出演する市川に撮影中の心境について尋ねると、「吉右衛門の叔父様が演じられた、短い鉄三郎のシーンの中から膨らませて、人物像を思い浮かべている」と役作りについて語り、「父が平蔵の服装で現場にいると、実際は父ですが、役としては同一人物なので。自分の役の未来の姿が目の前にいると思うとタイムスリップしたような気分に。同じシーンはないが、撮影の日が被ると不思議な気持ちになる」と、父親と同一人物を演じる心境をしみじみと語っていた。

さらに、平蔵の配下である同心を演じるメンバーに、松本演じる平蔵の印象を尋ねると、本宮は「元々鬼平犯科帳のファンで吉右衛門さんのをよく見ていた」と言い、「幸四郎さんが盗賊改の恰好で現れた時は痺れた」と称賛。浅利も「名乗るシーンは本当にかっこいいと思った」と称賛していた。

山田も「名乗られるシーンを見て、ゾクッときた」と言い、「幸四郎さんはシャープできりっとしてるけど、お茶目さもあってチャーミング」と松本の人柄も絶賛。柄本が「名乗られるシーンはこっそり隠し撮りしてお宝にしてる」と明かすと、松本自身も驚きの表情。「この座組に参加できてよかった」と満足げ。久保田は「殺陣で対峙すると包容力を感じる一方、普段の幸四郎さんはお茶目」と、それぞれの言葉で松本を称賛しながら「かっこいいです」という言葉で締めていた。

最後に松本が「「鬼平犯科帳」はいわば捕物帳。根幹の筋はありますが、ドラマとしては人の生き様を描いている。人と人の繋がりや絆、恋や愛が描かれた作品。時代劇を見ると、日本ってこんなに豊かで面白いと思ってもらえるはず。また新たに時代劇が盛り上がればと思っている」と意気込みを語り、「僕もそうですが、みんなかっこいい人ばっかりです」とお茶目に作品をPRし、会見は和やかに終了した。

取材・文／華崎陽子

（2023年6月 9日更新）