「京都は“湯道”発祥の地であり撮影した土地、
まさに聖地です」
生田斗真、小山薫堂らがロケ地・京都に凱旋！
映画『湯道』京都舞台挨拶レポート

『おくりびと』で脚本を務めた小山薫堂が提唱する、日本人の入浴に対する精神をつきつめた"湯道"を、鈴木雅之監督ら『HERO』シリーズのスタッフ陣が映画化した人間ドラマ『湯道』が、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて上映中。事故で怪我を負った弟・悟朗の代わりに実家の銭湯「まるきん温泉」の店主として過ごすことになった兄・史朗と銭湯の看板娘、そして常連客たちとの日常をハートウォーミングに描く。

生田斗真が主演を務め、弟・悟朗を濱田岳、「まるきん温泉」の看板娘・いづみを橋本環奈、さらに、小日向文世、戸田恵子、寺島進、柄本明ら豪華俳優が名を連ね、窪田正孝も特別出演する。そんな本作の公開を記念し、3月3日(金)、T・ジョイ京都で、生田斗真と企画・脚本を務めた小山薫堂、そして鈴木雅之監督が上映前に登壇し舞台挨拶を行った。

生田は、「ここ京都は"湯道"発祥の地で撮影した土地。まさに聖地と言っていい場所です。京都の皆さんにこの映画が心の奥底まで届くことを心より願っております」と挨拶。小山が挨拶しようとすると、客席から「よ！家元！」と声がかかり、少し戸惑いながらも小山は「いつも京都の皆さんにはお世話になっております。京都で生まれ、京都に育てられたのが湯道です」と挨拶。監督は「ぜひとも京都からこの映画を沸かしていただきたい」と挨拶し、舞台挨拶は始まった。

公開から1週間経ったことから、周囲の反応について生田は、「ほんとにいい映画でしたね、ほんとに感動しましたという声ばかりが届いております」と笑いながらコメント。会場からは大きな拍手が起こっていた。小山は「豪華なキャスティングですねとは聞きますが、本がいいという話をあまり聞かない」と恨み節を言いながらも、一番多いのは「観てお風呂に入りたくなったという声」とのこと。「この映画をきっかけにお風呂の見え方が変わって、お風呂っていいなと思ってもらえたら」と願いを語った。

京都での撮影について生田は、「違う土地で映画のことだけを考える日々は本当に贅沢なこと。いいのかな？と思うぐらい幸せだった」と語り、京都での思い出を問われると「監督と一緒にお風呂に入ったこと」だそう。「薫堂さんのおすすめのお風呂にみんなで入った」ようで、それによって、「昨日よりもその人のことを好きになったし、よりその人のことを深く知れたような気がした」と言い、「お湯の魔力に出会った気がした」とまさに"湯道"に触れたようだった。

また、お風呂にまつわる思い出について生田は、「この映画を通して、出身地の北海道で祖父に銭湯に連れていってもらったことを思い出した」と言い、「すごく寒い中、歩いて銭湯に行って、ぽかぽかに温まった身体を冷やしながら、おじいちゃんと手をつないで帰ったのがすごく楽しかった」としみじみと思い出を語っていた。

さらに、お風呂の話は続き、生田が「日本にいるとお風呂があるのが当たり前だから、遠ざかる時間がない。(濱田)岳くんが言ってましたが、しばらく日本から離れていると、お風呂に入りたくてたまらなくなるみたいで。日本に帰ってきて湯船につかると「これがないと生きている気がしない」と思う」と言い、「みんなアフリカに行けばいいと思います。お風呂に入りたくてたまらなくなるはず」と笑わせると、小山は「日本人はお風呂に入るのが当たり前すぎて」と返していた。

重ねて生田は、「海外のホテルだと、これぐらい低い湯船しかない時があって」と舞台に寝転がる勢いで身振りをつけて語り、「僕はなんとかして入ります」と熱弁していた。

また、本作のタイトル『湯道』にちなみ、"道"と言えるほど突き詰めていることを聞かれ、生田が考えていると、客席から「カレー」と声が上がり、生田は「小さい声で「カレー」って(笑)。ありがとう！」と返した上で、「カレーですね」と返答。「カレー好きなんです。それぞれの場所でいいカレー屋さんないかな？ と探しています」と言い、「ぐちゃぐちゃに混ぜるわんぱくカレーが好き」と今の推しを語っていた。

最後に、生田が「この映画を京都から全国各地に届けていきたいと思っています。薫堂さんもおっしゃっていましたが、この映画をきっかけに毎日のお風呂がもっともっと楽しくなることを心より願っております」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2023年3月 3日更新）