松山ケンイチ＆長澤まさみが登壇！
お互いを“けんちゃん”“まーちゃん”と呼ぶ
息ぴったりの掛け合いで観客を魅了！
映画『ロストケア』大阪舞台挨拶レポート

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた、葉真中顕の同名小説を映画化したサスペンス『ロストケア』が、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて上映中。殺人を犯した介護士と対峙する検事が、介護現場の現実を目の当たりにしながらも事件の真相を追う様を描く。

松山ケンイチが、介護士でありながら42人を殺めた殺人犯・斯波宗典を演じ、長澤まさみが斯波を裁くために対峙する検事の大友秀美に扮している。そのほか、鈴鹿央士、坂井真紀らが出演し、『そして、バトンは渡された』の前田哲が監督を務めている。そんな本作の公開を記念し、3月26日(日)、TOHOシネマズ梅田で、松山ケンイチと長澤まさみ、前田哲監督が上映後に登壇し舞台挨拶を行った。

まず、公開を迎えてどんな感想が寄せられているか聞かれると、松山は「皆さんの背中をさすってあげられるような作品だと思っているので、そういう感想があって嬉しかった」と真面目にコメント。その上で「個人的には」と前置きし、「「『ロストケア』で検事を演じた長澤まさみが、『シン・仮面ライダー』でサソリオーグという怪人を演じてるギャップに驚いた」という感想がすごく面白かった」と笑わせ、「その感想が一番観たくなる。どんなギャップなんだろうって。セット上映してほしい」と重ね、場内からは大きな拍手が起きていた。

長澤も「いい映画を作ったねと褒めてもらうことが多い」と言い、「響くものがたくさんあったと言われるたびに、この作品に関われて良かったと思う」と語っていた。一方、監督は「松山ケンイチと長澤まさみがすごい芝居をしているという声だけ。僕を褒めてくれるものは全然ない」と自虐的にコメント。すかさず松山が、「そのシーンを作ったのは間違いなく監督ですから」とフォロー。会場からも大きな拍手が。すると監督は、「現場で一番間近に見ていたのは僕なので。ふたりの芝居に震えていました。その生の空気をなんとかして届けたいと思った」と現場で体感したふたりの芝居に圧倒されていたよう。

また、大阪での舞台挨拶について聞かれると、松山は「上映後なので、どんな風に迎えてくれるんだろうと考えてものすごく緊張する」と舞台挨拶に向かう心境を吐露。「だから緊張を紛らわせるために、裏でまーちゃんに「イカ焼きでーすって言ってよ」って言ってました」と裏話を披露。すると長澤は、「イカ焼きでーす」と言いながら、フリルのついた襟をふわっと広げて一回転。会場からは笑い声が起き、松山も「やっていただいてありがとうございます」と感謝の言葉の述べ、「おかしくなったとは思われてないと思うよ」とフォロー。長澤も「突然やれって言われたので、おかしくなったと思われたら困るんだけどって言ってたんです」と苦笑い。

そして、本作が初共演となった松山と長澤に感想を尋ねると、松山は「話したことがなかったので、それをきちんと使いたいと思った」と言い、「お互いのバックグラウンドがわからない状態で、本番の台詞や目線で生まれてくるものがあると思ってやっていた」と現場の雰囲気を明かした。

一方長澤も、「けんちゃんと共演するのはすごく楽しみだった」と明かし、「憧れていた先輩なので、緊張する半面、怖気づかずにやりたいと思った」上で、「(共演が)今で良かったし、運命を感じている。初めて会話することが台詞であって良かった。それが映画に焼き付いてると思う。だからこそ、どうやったらたくさんの人に観てもらえるのかたくさん話したし、こんな作品はなかなかないので、そういう時間も私にとってもかけがえのないもの。作り手の思いが詰まった作品なので、ぜひ映画館で観てもらいたい」と作品への思いを熱弁していた。

そこでMCが松山と長澤がお互いのことを「けんちゃん」「まーちゃん」と呼ぶことに触れると、監督が「撮影中は距離を置いていて全然しゃべってない」と裏話を語り、「撮影が終わってから、けんちゃん・まーちゃんと呼ぶようになって、漫才コンビでデビューするらしい」と笑わせると、松山は「まーちゃん・けんちゃん・てっちゃんでしょ」とフォロー。すると監督は「ふたりの相性がすごくいい。だから、しゃべってなくてもこんな芝居ができたんだと思う」とふたりの演技力を絶賛し、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2023年3月26日更新）