池波正太郎生誕100年を記念し、
新たな「仕掛人・藤枝梅安」が誕生！
主演・豊川悦司、田山涼成らが登壇した
映画『仕掛人・藤枝梅安』大阪舞台挨拶レポート

池波正太郎生誕100年を記念し『鬼平犯科帳』に並ぶ3大シリーズ「仕掛人・藤枝梅安」を映画化した『仕掛人・藤枝梅安』が、大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中(『仕掛人・藤枝梅安２』は4月7日(金)より全国公開予定)。江戸の町を舞台に、鍼医者という表の顔と冷酷な仕掛人という裏の顔を持つ男・藤枝梅安と彼を取り巻く人々の姿を描く。

豊川悦司が主人公の藤枝梅安を演じ、片岡愛之助が彦次郎に扮するほか、菅野美穂や天海祐希ら豪華キャストが名を連ねている。TVドラマ「桶狭間～織田信長覇王の誕生～」を手がけた河毛俊作監督と脚本の大森寿美男がタッグを組んだ。そんな本作の公開を記念し、2月4日(土)、大阪ステーションシティシネマで、主演の豊川悦司、料理屋・万七の主・善四郎を演じた田山涼成、そして河毛俊作監督が上映後に登壇し舞台挨拶を行った。

まず、豊川が「昨日は東京で舞台挨拶でしたが、寒い1日でした。大阪はちょっと温かいですよね？人も温かいし。僕はホームなので、ちょっと気が楽です(笑)。上映後ということで緊張しながら入ってきましたが、お顔を拝見すると大丈夫だったんじゃないかと思っています」と大阪出身の豊川ならではの気安さで挨拶。続けて大阪での反応については、「せっかちなのか、関西人の血なのか、大阪はレスポンスが早い気がします。」と語っていた。

昨日まで京都で仕事をしており、急遽登壇が決まった田山は、「自分が出ている作品だけど、素敵な作品でしたでしょう？」と客席に話しかけると大きな拍手が起こっていた。そして、梅安を演じた豊川についても「何人もの梅安を見てきましたが、豊川さんはぴったり。この体つきを見てください。簡単に殺されちゃいます。それに加えて冷たい眼差し。ぴったりだと思いませんか？」と語りかけると、こちらも大きな拍手が起こっていた。

そして、劇中での共演シーンは少ない豊川と田山だが、互いの役をどのように見ていたか聞かれると豊川は「第1作の中でも田山さんと天海祐希さんのシーンがすごく好き」と言い、「男と女の切なさがふたりの中に見えて、じーんときました」と称賛。

田山はその天海について、「携帯を持ち始めた時に初めて携帯番号を交換したのが天海さん」と言い、本作で夫婦役をもらって「嬉しかった」と喜びを語り、劇中、天海の胸に手を入れるシーンがあり、「絶対触りませんから」と田山が言うと天海は「大丈夫です。やってください」と返したそう。すると豊川も「男前な方ですから」と称賛していた。さらに田山は「どんな役をやられていても素敵な方だし、改めて美しい人だと実感した」と絶賛した。

また、本作に原作者である池波正太郎の哲学が込められていることについて監督は「人間は矛盾を抱えるグレーな生き物です。善悪をはっきりわけなければならない今の時代に、グレーな部分を抱えながら生きていく姿が何かを問いかけるんじゃないかと思う。正義の人だという顔を梅安も彦次郎もしない。自分のした行為によって、わずかながらでも誰かが救われるといいという謙虚なダークヒーロー。そこに池波先生の哲学があると思ったので、それを意識して作った」と作品に込めた思いを熱弁。

豊川も「人は昔も今もほとんど変わっていませんが、コミュニケーションは全く違う。人と人がちゃんと向き合って、お互いの体温を感じられる距離感で話したり行動することはすごく大事だと改めて思いました。もう一度原点に立ち返って、人と人が向き合う、出会う、会うという意味を大事にするべきだと思います」と、人と人との距離が密だった時代の良さを感じてほしいと語っていた。

最後に豊川がエンドロールの後に流れる、第二作の予告編に触れ「エンドロールの後に流れた、椎名桔平見ましたか？」と前置きした上で、「4月7日(金)に公開される第二作があります。第一作とは全く違う展開が待っていて、梅安さんと彦さんが旅に出て事件に巻き込まれていく、面白い作品になっています。２の方もよろしくお願いします」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2023年2月 4日更新）