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ホーム > NEWS > 中村梅雀、柄本佑、安藤サクラが舞台挨拶に登壇! 「井上監督の作品でこの脚本だったら」 柄本佑と安藤サクラが夫婦で恋仲を演じた『殺すな』 京都ヒストリカ国際映画祭舞台挨拶レポート


中村梅雀、柄本佑、安藤サクラが舞台挨拶に登壇!
「井上監督の作品でこの脚本だったら」
柄本佑と安藤サクラが夫婦で恋仲を演じた『殺すな』
京都ヒストリカ国際映画祭舞台挨拶レポート

京都文化博物館で開催中の、歴史映画・時代劇にフォーカスにした世界で唯一の国際映画祭《第14回京都ヒストリカ国際映画祭》で、《ヒストリカ・スペシャル》として「愛と映画に生きた93年~追悼・監督 井上昭特集~」が企画された。井上昭監督の遺作となった、藤沢周平の短編集「橋ものがたり」に収録された同名小説を、井上昭監督が実写映画化した時代劇『殺すな』が、11月6日(日)に上映された。

市井の人々が行き交う江戸の橋を舞台に、過去を悔いている浪人と、同じ長屋に住む訳ありの男女3人の心模様を描き出す。主演は、『孤狼の血 LEVEL2』の中村梅雀。柄本佑、中村玉緒、本田博太郎、安藤サクラらが共演した。そんな本作の上映に合わせ、中村梅雀、柄本佑、安藤サクラが登壇し、上映後に舞台挨拶を行った。

まず、井上昭監督について中村に尋ねると「監督の作品だったら脇役でもいいから、どんな通行人の役でもいいから出させてほしい」と熱烈にお願いしていたそうで、井上監督とは藤田まことさんの「剣客商売」の最終バージョンで意気投合し、『鬼平外伝』から本格的な付き合いが始まったとのこと。井上監督について中村は「少年のような好奇心を持ってらして、ジャズが大好きで車のminiが大好きで話し出すと止まらなかった」と人柄について語っていた。

そして本作のオファーについて中村は「2016年に脚本を読んでおいてくれないかと手書きの本を渡された」そうだが、実現までには時間がかかったよう。ようやく実現することを聞いた時は「ついに来たかと有頂天になった」と喜びを語っていた。実は、その前に自宅近所の日本料理屋で食事をしていたところに藤沢周平さんのお嬢さんから声をかえられ、そこから本作の話が進んだそう。「神様が引き合わせてくれた」と縁を語ると、柄本も安藤も驚きの声をあげていた。

井上監督とは2度目のタッグとなった柄本も「結構前に本をもらっていて、梅雀さんが出られるのは聞いていた」と言い、「実現に向けて話が進んだのは嬉しかった」と喜び、中でも「脚本のシンプルさ、シンプルな中にある奥深さ、鋭さ、豊かさがあって。やれることになってとても嬉しかった」と語っていた。

井上組には初めての参加となった安藤は「柄本家がとにかく(井上)昭さんのファンなので、家族行事のように井上監督の作品を観て、私もすっかり惹かれて。佑くんが『遅いしあわせ』に出ることも家族の中ではビッグニュースになっていましたし、監督の作品に出ることはすごいこと」と話し、「私は今まで時代劇に出た経験もなく、ハードルが高かった」と言うものの、オファーを受け「他の作品だと夫婦で恋仲というのは避けると思うんですが、井上監督の作品でこの脚本だったら絶対出なきゃ」と出演に至ったそう。

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また、井上監督の撮影現場の様子を聞かれると、中村と柄本は声を揃えて「監督の「用意スタート」と「カット」はしびれる」と称賛。特に柄本は「映画だな、という瞬間を感じました。止まっていたものが動きだすような瞬間を感じて痺れた」と井上組の空気感に特別なものを感じていたようだ。井上組初体験だった安藤は「めっちゃハンサムでかっこいい」と称賛し、「ドキドキしていました」とはにかんでいた。

そして、俳優としての柄本と安藤の印象を中村に尋ねてみると、「佑くんは集中力と本番に入った時の瞬発力がすごい。さすが柄本家の血だな、と共演しながら観客になるような瞬間もあった」、「サクラさんは佇まいから役そのもの。存在感がふたりとも特別で、呼吸や視線の角度、瞬きひとつとってみても、匂いや空気を感じてすごい女優さん」と絶賛していた。

最後にヒストリカ国際映画祭が時代劇に特化した映画祭であることから、時代劇の魅力について3人に聞いてみると、中村は「不自由さ、かな。身分や階級が違うと付き合うこともままならないですし、連絡を取ろうと思っても電話もない。手紙を書いても届くかどうかわからないし、読めないかもしれない。いろんな不自由さがある中、制限された中では命がけになってしまう。ちょっとしたことがとんでもない大事件になる可能性があるところが時代劇の魅力」と真摯に語っていた。

柄本は「難しい質問ですね。梅雀さんさすがです」と言いながらも「やる側も観る側も時代劇の方が自由になれる気がする。知らない、わからない世界に連れていってくれて発見することも多い。その一方で現代と変わらないところもあって。新たな発見もあって自由度の高いところが魅力」とまた違った視点で語り、安藤は「今回、生活に寄り添った所作を学んで、時代劇を演じる面白さに初めて気づくことができました。理由はわからないけど時代劇はときめきます」と語り、舞台挨拶は終了した。

取材・文/華崎陽子




(2022年11月 6日更新)


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(C)「殺すな」時代劇パートナーズ

Movie Data

『殺すな』

出演:中村梅雀 柄本佑 中村玉緒(特別出演) 本田博太郎 安藤サクラ
原作:藤沢周平「殺すな」
脚本:中村努
監督:井上昭

【公式サイト】
https://www.jidaigeki.com/korosuna/

【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/221439/index.html