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ホーム > NEWS > 直木賞作家・島本理生の傑作恋愛小説を映画化! 主演・松井玲奈&中島歩が9月末に閉館する テアトル梅田で舞台挨拶に登壇 映画『よだかの片想い』大阪舞台挨拶レポート


直木賞作家・島本理生の傑作恋愛小説を映画化!
主演・松井玲奈&中島歩が9月末に閉館する
テアトル梅田で舞台挨拶に登壇
映画『よだかの片想い』大阪舞台挨拶レポート

直木賞作家・島本理生の傑作恋愛小説を、長編2作目となる安川有果が監督を務め、城定秀夫が脚本を手掛けて映画化したラブストーリー『よだかの片想い』が、テアトル梅田ほか全国にて上映中。顔にアザがあることから人付き合いに消極的だった大学院生・アイコが、ルポルタージュの取材をきっかけに紹介された映画監督の飛坂に心惹かれていく様を描く。松井玲奈が主人公のアイコを演じ、『偶然と想像』の中島歩が飛坂に扮している。
 
そんな本作の公開を記念し、9月30日(金)で32年の歴史に幕を下ろすテアトル梅田で、9月18日(日)、ロードショー作品としては最後となる舞台挨拶が行われ、主演を務めた松井玲奈と映画監督の飛坂を演じた中島歩、そして安川有果監督が登壇した。
 
まずは役作りについて松井が「現場にも原作を持って行って、脚本と原作を照らし合わせながらアイコの心境を確認していました」と原作を愛する松井らしく熱く語ると、中島は「台詞をすごく覚えました」とシンプルにコメントし、観客を沸かせたうえで「松井さん演じるアイコの心を開かせよう、開いてほしいなと思いながら演じていました」と訥々と話していた。
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そんなふたりのコメントを受け演出について聞かれた監督は「アイコが自立した女性に見えるように、松井さんの凛としたイメージを活かして、原作と松井さんの中間を狙って演出した」と言い、中島が演じた飛坂については「すごく難しい役」と前置きし、「映画化したいという仕事の話と恋愛を同時進行させるので、昨今の流れとしても危うさを感じて、脚本家の城定さんと悩みました。その両面を中島さんが体現してくださって。飛坂は1歩間違うとめちゃくちゃ軽いし気持ち悪い(笑)。その絶妙な塩梅を中島さんにしか出せない味で演じてくださって、中島さんじゃなければ大変なことになっていた。本当にその場で思っているように飛坂の言葉を話してくれた」と絶賛。
 
それを受けて中島も「ありがとうございます。台詞をちゃんと覚えたので」と笑わせ、その後は真剣に「台詞を覚えるのには段階があって、掃除機をかけながら言えるぐらいになると、その場で自由に変化させられるし、どんな芝居が松井さんから飛び出そうとも返せるようになる。だから、台詞はちゃんと覚えた方がいい」とオチをつけた。
 
続けて、好きなシーンを聞かれると松井は「最後にアイコが飛坂さんに電話をするところを映像で観たいと思って映画化したいと思ったので、そのシーンです」、中島は「ラストシーンですね。こんな風になるとは思ってなかったのでびっくりしました。元々は文学作品で言葉の芸術ですが、映画は映像的な説得力が魅力で、言葉ではなく身体で表現したことにこの映画の落としどころを感じました。このシーンで映画が50点ぐらい上がった感じがある。ラストシーンによって小説から映画が解放されたし、アイコは飛坂から解放されて万々歳のシーンです」と称賛していた。
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監督は「好きなシーンをあげるのは難しい」と前置きし、それでも「ふたりがボートに乗っているシーンは素が垣間見えて好きです。険しい表情をしていることの多いアイコが唯一、可愛らしい笑顔で」と話すと中島が「あのシーンは台詞がなかったので、ふたりきりになって照れていたんだと思います」と真相を語ると、ふたりの会話をイヤホンで聞いていた監督は「すごい渋い会話が聞こえてきた(笑)」と言い、「手が乾いてスーパーの袋が開かない時にどうやって開けるかわかりますか?って(笑)。何の話をしてるんだろうと思った」と笑わせた。
 
また、下手くそだけど私らしくがテーマの本作にちなみ、下手だと思うことを問われた松井が「話すのが下手なんです。会話のキャッチボールがうまくできない」と言うと、中島が思わず「あぁ」と声をもらし、客席からは笑い声が。「自己完結してしまう。相手とちゃんとキャッチボールしながら話すことがなんでできないんだろう。30年も生きていて」と自虐的に話していた。一方、中島は「最近、映画で「SEXが下手」と言われる役をやったので、それを思い返してドキっとします」と笑わせた。
 
最後にテアトル梅田が9月末で閉館することにも触れながら、松井が「私の人生においてこの作品がとても大切な作品になっています。閉館は寂しいですが、最後に『よだかの片想い』を上映していただけて嬉しいです。『よだかの片想い』をずっと大切に思ってもらえると嬉しいです」、中島が「最後になってしまうのは寂しいですが、この劇場とともに映画を焼き付けてもらえると嬉しいです。顔にアザがある女性が主人公ですが、それをメタファーだと考えると、誰しもが何かコンプレックスを抱えていると思うので、この映画はみんなの映画だと思っています。みんなでみんなの映画にしてもらえれば」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。
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取材・文/華崎陽子



(2022年9月18日更新)


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Movie Data



(C)島本理生/集英社 (C)2021 映画「よだかの片想い」製作委員会

『よだかの片想い』

▼テアトル梅田ほか全国にて上映中
出演:松井玲奈、中島歩、
藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐、三宅弘城
原作:島本理生「よだかの片想い」
監督:安川有果

【公式サイト】
https://notheroinemovies.com/yodaka/

【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/210449/index.html