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ホーム > NEWS > 「映画って不思議なもので、  自分たちの歩んできた道とは別物だけど、  人生の中に生々しく残っているんですよね」 『花とアリス殺人事件』 岩井俊二監督が登壇した舞台挨拶レポート

「映画って不思議なもので、
 自分たちの歩んできた道とは別物だけど、
 人生の中に生々しく残っているんですよね」
『花とアリス殺人事件』
岩井俊二監督が登壇した舞台挨拶レポート

 2月20日(金)より梅田ブルク7ほかにて上映中の長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』で、監督を務めた岩井俊二が21日(土)に来阪。舞台挨拶を行い、作品に込めた思いなどを語った。
 
 本作は、岩井監督が花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)の日常、友情、そして恋に揺れる姿を瑞々しく描いた『花とアリス』(2004)の前日譚となる作品。鈴木と蒼井が花とアリスの声を演じているほか、相田翔子、平泉成、キムラ緑子、木村多江、勝地涼、黒木華、鈴木蘭々、郭智博らが声のキャストとして参加し、ハナとアリスが出逢い、友情を深める姿が美しい映像で綴られていく。
 
 世界的に活躍する映画監督の岩井俊二だがアニメーション作品を手がけたのは今回が初めて。「細かいところでいっぱい問題が発生するのがアニメの恐ろしいところ」と苦笑しつつ、「でも、そんな作業が新鮮で、日々、試行錯誤しました。実写ではコマ単位を気にしたことはあまりないけど、アニメはコマ単位で作品に触れることができる。毎日1コマづついじり倒しているような状況で、えも言われぬ快感がありました」と、充実した制作作業について振り返った。
 

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 『花とアリス』(2004)から10年の時を経て公開された本作だが、企画自体は2004年の段階から出ていたという。しかし、2004年といえば岩井監督作品には欠かせない存在だった撮影監督の篠田昇が亡くなった年でもある。「闘病中だった彼にこのシナリオを書き上げて届けようと急いだんですが、徹夜で書き上げたその日の朝に彼が亡くなったという連絡がきました」と明かし、当時の心境としては「この作品は彼に捧げるというよりも、そんな状況でもシナリオを書いていた自分に“作家の業”のようなものを感じていた」と話したが、「10年経ってこういう形になって残っているということは結果的に彼に捧げられたのかなとも思います。改めて、作家ってこういうものなのかなと思いました」と感慨深げに語った。
 
 そして、主人公ふたりの声優を務めるのは鈴木杏と蒼井優。そのふたりを含め、10年ぶりに自分たちが演じた役を再演するキャストらも話題だ。岩井監督は「映画って不思議なもので、自分たちの歩んできた道とは別物だけど、人生の中に生々しく残っているんですよね。今回、キャストのみなさんとは久しぶりの再会のはずだったんですが、(10年前の)『花とアリス』の撮影現場から、1週間ぶりくらいの再会のような感じで。懐かしいというより、あっという間に昔に戻っていたというような感覚でした」と笑顔でコメントした。
 
 昨日、東京で行われた初日舞台挨拶で、蒼井がふたりの成長後など続編を希望している発言をしたことについては、「腐れ縁の悪友みたいなふたりの話なので、ストーリーはいくらでも出てきます。機会があれば、続編も作れたら楽しいなと思います」と、期待の持てる返答をした。
 
 最後に「長い時間をかけて作った新作です。制作だけで1年半くらいのめり込んで、死ぬ思いをしながら作りました。でも“死ぬ思い”と言いつつ、可愛らしい物語が出来たと思っています。みなさんのいい思い出になる作品になればいいなと思います。是非、よろしくお願いします」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。



(2015年2月21日更新)


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Movie Data


©花とアリス殺人事件製作委員会

『花とアリス殺人事件』

●梅田ブルク7ほかにて上映中

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http://hana-alice.jp/

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