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「女性の隠れた熱情が描かれる2作品」
世界が注目する映画人・杉野希妃
監督作&主演作が関西で同時公開

 
 主演兼プロデュースを務めた映画『歓待』(深田晃司監督)で注目を集め、女優、プロデューサーだけでなく、監督としても新人とは思えない手腕を発揮し、その才能に期待が集まっている杉野希妃。東京国際映画祭や台北映画祭で出演作が特集上映され、ロッテルダム映画祭では日本初の審査員を務めるなど、国際派映画人としての活躍も目覚ましい杉野が監督として、また主演女優として男女の性や生に向き合った2作品『欲動』、『禁忌』が12月20日(土)より、大阪九条のシネ・ヌーヴォで同時公開される。
 
 
 杉野が監督、出演した『欲動』は、三津谷葉子×斎藤工をW主演に迎え、心臓に重い病を持ち、生死の狭間を彷徨う夫と、夫を支えながらも孤独を感じる妻の姿を通して、男女の性愛とヒトの生死をオールバリ島ロケで描き、10月に開催された釜山国際映画祭で、Asia Star Awards2014 最優秀新人監督賞を受賞した。三津谷は、夫・千紘とのすれ違いから、現地のジゴロとの情事を経て、奥底に眠っていた自らの性の欲動に目覚めるヒロインを、体当たりで熱演。斎藤も、葛藤を抱えた千紘が夫婦の絆を取り戻すまでを繊細に演じている。
 
 

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 監督デビューを果たす前から、バリ島で監督作を撮ることを切望していたという杉野。その構想が形になったのは、ヒロインを演じた三津谷葉子との出会いがきっかけで「三津谷さんとお会いすると、人間的に素晴らしく、とても真面目な方で、直感的にこのバリの話を一緒にできれば絶対に面白くなるし、三津谷さんの今までにない姿を焼きつけられる作品になると思いました」と話す。その三津谷は、撮影に入る1年前の脚本作成段階からプロジェクトに参加し、杉野や脚本家と共に作品についてアイデアを出し合ってきたという。「日ごろの三津谷さんは陽の部分が100%と思えるぐらい明るい方。彼女が演じるユリという役は陰の部分を背負った役柄で、一緒に脚本を企画開発したときから、本当に気合を入れて臨んでくれました。ユリ役を演じるにあたっての覚悟は、並々ならぬものがあったと思います」。撮影スタッフをはじめ、半分以上がインドネシア人スタッフという国際的なプロジェクトだった本作には、バリ島ならではの音楽や祭り、風景が随所に登場。ハプニングの連続でありながら、だからこそ神秘的なバリ島らしさを感じる映像が撮れたという。撮影現場については「人間は自然に翻弄されながら生きていることや、動物・植物や現地の人と共生しながら生きていることを考えさせられる現場でした」と、貴重な体験であったことを明かした。神聖な島、バリの自然の中に投げ出された男と女が、何に目覚め、何を取り戻したのか。三津谷をはじめとするキャストや杉野監督の情熱がほとばしる一作だ。
 
 

 同時公開される『禁忌』は、杉野演じる美人教師と、複雑な事情を持つ少年を主人公に、監禁、レイプ、同性愛、少年愛とセクシャルマイノリティーの世界が描かれる意欲作。本作が初の商業長編監督作となる和島香太郎が監督を務めている。モーツァルトの調べにのせて、それぞれの欲望が時には加害者と被害者を生み出し、時には純愛のようなひたむきさを見せる。本作のプロデューサーでもある杉野は企画の意図を、「マイノリティーの方々に寄り添うというよりは、むしろ俯瞰的に描きながら、彼らの孤独や欲望を突き詰めた先に、何が起こるのかという部分まで描いてみようと思いました」と語る。杉野が演じる女子高の教師サラは、同性愛、監禁、レイプ、少年愛と一人で全てを体現する難役だ。杉野は、「キャラクターも性格も全然違う役に対して、自分で作り込み、役に入っていかなければなりませんでした。挑戦しがいがある反面、難しさも感じました」と感想を語る一方、共演した少年望人(モト)役の太賀について「望人は、ひどい目に遭ってきたけれど、とても純粋な内面を持つ役。大賀さんは20代ですが、とても少年らしい仕草で演じてくれ、大賀さんでなければできないような細やかな表現力を見せてくれました」と称賛を惜しまなかった。サラと望人のねじれた愛の行方にも目が離せないはずだ。

 
 
 最後に「両作品とも女性の隠れた熱情が描かれている作品です。激しい描写や、究極の設定になっている部分はありますが、女性、男性問わず、自分にもこういう部分があるのではないかと思わせる部分が、必ず映画の中に入っています。いろいろな方に観ていただきたい」とメッセージを寄せてくれた杉野。彼女の初監督公開作を含めた2作品をぜひ堪能してほしい。
 
 
(取材・文/江口由美)



(2014年12月18日更新)


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杉野希妃 Profile(公式より)
すぎの・きき●1984年広島県出身。 慶應大学在学中に留学先の韓国で女優デビュー。『歓待』(10/深田晃司監督)、『おだやかな日常』(12/内田伸輝監督)、『ほとりの朔子』(14/深田晃司監督)等で女優兼プロデューサーとして数々の映画祭に招待され、国内外で脚光を浴びる。東京国際映画祭(11)と台北映画祭(13)で特集が組まれる他、ロッテルダム国際映画祭(14)に日本初の審査員として招待される。初監督作『マンガ肉と僕』が東京国際映画祭、監督第二作『欲動』が釜山国

Movie Data

©2014『欲動』製作委員会

『欲動』

監督:杉野希妃
出演:三津谷葉子/斎藤工/杉野希妃/コーネリオ・サニー


 

©2014『禁忌』製作委員会

『禁忌』

監督:和島香太郎
出演:杉野希妃/太賀/佐野史郎


●12月20日(土)より、シネ・ヌーヴォ、
 2015年1月17日(土)より
 京都みなみ会館、元町映画館にて公開

【公式サイト】
http://www.u-picc.com/taksu_sala/

Event Data

舞台挨拶&トーク決定!

日程:12月20日(土)
●『欲動』10:50の回上映後、ミニトーク
ゲスト:杉野希妃監督&板倉善之監督(『にくめ、ハレルヤ』『邪魔するな』)
●『禁忌』12:50の回上映前、舞台挨拶
登壇者:杉野希妃(主演)
●『欲動』14:25の回上映前、舞台挨拶
登壇者:杉野希妃監督
会場:シネ・ヌーヴォ
料金:通常料金