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ホーム > NEWS > 「神戸との出会いでこの映画が出来た」(吉田) 宮沢りえ、池松壮亮、吉田大八監督が登壇した 『紙の月』舞台挨拶レポート

「神戸との出会いでこの映画が出来た」(吉田)
宮沢りえ、池松壮亮、吉田大八監督が登壇した
『紙の月』舞台挨拶レポート

 『八日目の蝉』の直木賞作家・角田光代の同名ベストセラー小説を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化した話題作『紙の月』が11月15日(土)より公開。その公開を前に、3日(月・祝)神戸で試写会、4日(火)大阪で先行上映会が実施され、宮沢りえ、池松壮亮、吉田大八監督が登壇する舞台挨拶が行われた。
 
 本作は、妻として銀行の契約社員として平凡な日々を過ごしていた宮沢扮する梨花が、池松扮する大学生・光太と不倫、職場の銀行で次々と横領を働くなど、後戻りできない転落の道をたどっていくさまを儚くも美しく、そしてスリリングに綴っていく。
 
 本作が7年ぶりの主演作となった宮沢は「30~40歳の10年間は舞台の場で学び、昨年40歳になった区切りで、映像の仕事もやっていけたらいいなと思っていたときに、このお話をいただきました。台本を読んで難しい役だなとは思いましたが、このタイミングで舞い込んできたお話が嬉しかったですし、吉田大八監督とお仕事がしたかったので、お引き受けしました」と笑顔で経緯を明かした。
 
 そんな宮沢の演技は先月行われた《第27回東京国際映画祭》でも高く評価され、最優秀女優賞を獲得。また、映画としても観客賞に輝いた。その受賞の感想を聞かれた宮沢は「今までいろいろ演じてきた中でも、本当に難しい役でしたが、わたしが梨花という役をおしみなく演じることができて、自分でも思いがけないような表情が映画に映っているのは、監督の細かく粘り強い演出があったからこそ。それと、池松さんのお芝居に対する誠実さと志しの高さによってわたしの役が飛躍できたところがありました。こんなにも、自分自身だけで獲ったような気分にまったくならない賞はほかにないくらい、みんなでもらった賞だと思っています」とコメントした。また、吉田監督は「観客賞というのは作り手にとって一番嬉しい賞です。それに、宮沢さんが女優賞を獲ったことは、そのままこの映画への評価とつながりますから、これからの公開に向けて最高のスタートが切れたように思います!」と本作への自信を覗かせた。その後、宮沢から「また絶対共演したいと思う俳優」と紹介された池松は「獲るべき人が獲って、獲るべき映画が獲った。この映画、今乗りに乗っているんです」と、重要な役どころで出演しながらどこか他人事のように言い放ち、集まった観客からは笑いが起きていた。
 
 本作は、今年の1月27日に神戸でクランクインし、神戸市営地下鉄「県庁前駅」「長田駅」「名谷駅」「西神中央駅」、そごう西神店、Kamine旧居留地店、ホテルオークラ神戸、三宮センターサウス通り、旧居留地内、神戸市役所1号館などで撮影が行われており、吉田監督は「東京にいるころから神戸は撮影するのに最高な町と聞いていました。普段、東京ではなかなか手に入らないような風景や町並み、人も含めて、撮影に対する理解のレベルが違う! お世辞でなく正直な気持ちで、神戸との出会いでこの映画が出来たと思っています」と話した。それを受けて宮沢も「クランクインが地方というのは初めてでした。神戸は、(居留地など)古い建物が愛されて残っているのと、海と町と山がとてもバランスよく存在している。ホテルから見える景色が美しく心が救われていました。初日の撮影が終わってホテルから見えた綺麗な三日月を勝手に縁起がいいと思って、写メを撮って当分の間待ち受け画面にしていました」と、神戸撮影の思い出を振り返った。
 
 最後に、「宮沢さんというヒロインを得たことで、梨花とかかわる映画オリジナルのキャラクターを登場させて、すべてのプレッシャーが梨花に集中するようにしました。小林聡美さんや大島優子さんを梨花にぶつけていますから、そこも楽しんでいただければと思います。決して優しい歯ごたえの映画ではありませんので、覚悟して楽しんでください」(吉田監督)、「神戸の力をお借りして、東京国際映画祭というところで意外とすごい賞を獲りました。観終わった後は月でも見ながら梨花へ思いを馳せていただけたらなと思います。肯定するも否定するも自由です」(池松)、「約2時間、かなりスリリングで勢いのある作品が、みなさんの心にぐいぐいせめていきますのでご用心ください。観る前に深呼吸でもして呼吸を整えてご覧ください。よろしくお願いいたします」(宮沢)と、それぞれPRしイベントを締めくくった。



(2014年11月11日更新)


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神戸
大阪

Movie Data

©2014「紙の月」製作委員会

『紙の月』

●11月15日(土)より、大阪ステーションシティシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://www.kaminotsuki.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/164641/