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ホーム > NEWS > 「ロックする」とは何か? “才能”という言葉への疑問と挫折。 それでも表現しようとする大木監督自身の思いが 描かれる青春ロードムービー『花火思想』 上映情報&大木萠監督からの動画コメント

「ロックする」とは何か?
“才能”という言葉への疑問と挫折。
それでも表現しようとする大木監督自身の思いが
描かれる青春ロードムービー『花火思想』
上映情報&大木萠監督からの動画コメント

 ある出来事を機に、ギターを弾くことをやめてしまった元バンドマンの青年の姿を描く青春ロードムービー『花火思想』が、4月26日(土)~5月9日(金)大阪十三の第七藝術劇場、5月10日(土)~23日(金)京都の立誠シネマにて公開される。そこで、本作が長編デビュー作となる大木萠監督がぴあ関西にPRのため来社、少し話を訊かせてもらった。
 
 もともとビデオジャーナリストを目指していた大木萠監督は、日本ジャーナリスト専門学校を卒業後、バラエティ番組のADを経て、同校で講師を務めていた井土紀州監督の誘いで助監督を経験。「映画のことなんてまったく知らなかったけど、暇だったので」と、流れに身をまかせるように映画の世界への一歩を踏み出す。その後もほかの自主映画を少し手伝う機会などが増えるようになるが、それでも自分で映画を撮りたいという気持ちはなかったという。
 
 そんな彼女が映画に目覚めるのはその後、「誘われて参加したある映画祭での屈辱からなんです」と衝撃の告白。共同監督として作った短編映画が自分では納得がいくものではなかった。でも、その状態で上映されることが自分にとって屈辱だったというのだ。そして、「期限を越えてでも納得いくものを撮りたい。自分が映画を撮るならこうしたい!」というような思いが彼女に生まれる。そんなときに、この『花火思想』の脚本に出会い「絶対に納得のいく長編を1本撮って、自分たちで劇場を決めて上映までこぎつけたい!」と、どこか“怒り”に似たパワーのみで本作を撮りあげたのだ。「物語自体はベタだし、使い古されたような気恥ずかしいテーマ。だけど、これをあえて今書いているんだろうなと。昔から自分が思っていたことを先に言われたような気がした」と深い共感とショックに似た感覚を受けたと脚本を最初に読んだ当時を振り返った。
 
 印象的なのが、岡林信康とはっぴいえんどの『私たちの望むものは』が爆音で流れるラスト。「この作品を撮ろうと思ったポイントの“才能とは何か”“今の自分の立場からの脱却”とかそういう普遍的な若者の怒りが、70年代のフォークロックに繋がっている部分があって、それを突き詰めたら岡林信康さんとはっぴいえんどの『私たちの望むものは』に行き着きました」と映画にこめた情熱と見事にマッチした曲の使用に関する経緯を明かした。このラストシーンは観る者の心を鷲づかみにし、深い余韻を残すものとなっている。
 
 また、「わたしの中でロックって「続けること」なんじゃないかなと思っています。下手でも嫌でも続けることなんではないのかな」と語った大木監督。「ロックする」とは何か? “才能”という言葉への疑問と挫折。それでも表現しようとする大木監督自身の思いが反映されながらストレートに描かれる『花火思想』に自分を重ねてしまう人も多いかもしれない。第七藝術劇場では、4月26日(土)14:40の回と5月9日(金)16:20の回に、大木萠監督と主演の櫻井拓也による舞台挨拶も予定されている。最近のインディーズ映画にはめずらしいこの熱い思いがこもった青春ロードムービーを是非劇場でご覧いただきたい。



(2014年4月24日更新)


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Movie Data


『花火思想』

●4月26日(土)~5月9日(金)、第七藝術劇場
 5月10日(土)~23日(金)、立誠シネマ にて公開

【公式サイト】
http://hanabishiso.jimdo.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/163923/