NEWS

ホーム > NEWS > 是枝裕和監督と井浦新が登壇 『そして父になる』大ヒットを記念して 行われたティーチインレポート

是枝裕和監督と井浦新が登壇
『そして父になる』大ヒットを記念して
行われたティーチインレポート

 ある日突然、自分の子どもが病院で取り違えられたという事実を突きつけられた親の姿を通して、家族愛と絆を問いかけるヒューマンドラマ『そして父になる』が現在、大ヒット上映中。カンヌでの快挙に始まり、各国の映画祭でも絶賛を浴び、サン・セバスチャン映画祭、バンクーバー映画祭でも観客賞を受賞した。国内動員は11/27日時点で、266万人を突破。そんな『そして父になる』の大ヒットを記念して、大阪ステーションシティシネマにてティーチインが行われ、是枝裕和監督と井浦新が登壇した。
 

是枝裕和監督(以下、是枝):この10年くらいで、かなり役者としての活動の幅が広がってるんじゃないですか? 
 
井浦新(以下、井浦):思い起こすとティーチインというものを経験したのは、僕が始めて役者をやらせてもらった是枝監督との『ワンダフルライフ』(98)が初めてでした。もうあれから15年も経ったんですね。是枝さんの現場は緊張もしますが「帰ってきたな」という気持ちになります。初めてお会いしたときは役者志望でもなんでもない人でした。
 
是枝:キャストが集まって自己紹介する時に「洋服屋です」って言ったの今でも覚えてる(笑)。今だったら何って言うんですか?
 
井浦:何ですかね? 自分のやってることが収拾つかなくなってますが、やっとここ数年で「役者をやっています」と言えるようになりました。強がって言ってるような気がして、どこか恥ずかしいですけどね。『ワンダフルライフ』や『ディスタンス』(2001)の頃はお芝居をやらせてもらっていいのかなという感じで。どうしようかな。難しいな芝居って。芝居ってどうしたらいいんだろうなんてことを思いながら、あっと言う間に15年経って。いつの間にか自分でも「役者をやっています」という風に言えるようになりました。
 
是枝:最近は目を細めて、まぶしいものを見るように観てますよ(笑)!
 
~~ここから、ティーチイン開始~~
 
――映りこむすべては監督からのメッセージだと思って、目を皿のようにして観ました。ただの思い込みかもしれませんが、ピアノが印象的な映画なので映画に映る電線はもしかすると五線譜なのかなと思いました。何か実はこういうことなんだよというところがありましたら教えてください。
 
是枝:そう。それは五線譜なんです。電線が五線譜に見えると思ったので、あそこでピアノの音が入ると決めたんです。瀧本(幹也)さんのカメラがまたいいんですよね。とくに風景や物を撮ると色っぽくて。そこで強い芝居をしなくてもいいなと僕は感じました。瀧本さんは、車のCMもたくさん撮ってらっしゃって車好き(笑)。実は、車を撮るのにものすごくこだわっていて、時間をかけて撮影されているんですよ。
 
――この映画で子育てに対しての考え方が変わったようなところはありますか?
 
是枝:この映画でというか、(子どもと)一緒にいる時間って大事だよねというのは映画を撮る前から思い始めていたんです。そう思いながらも血の繋がりにこだわる男の話にしようと思って。そういう男の価値観がどのように壊れていくのかをちょっと意地悪く見てみようかなと。
 
井浦:僕はどんな状況でも大人の都合で子どもと接するのは無くして行きたいと思いました。この映画は、大人の考えで全てが動き、子どもは巻き込まれてしまったにすぎない。作品にじゃなくて自分の中で「どっちかじゃないよな」と思わされました。
 
――「スパイダーマンって蜘蛛だって知ってた?」というセリフが印象的でしたが、あの台詞について何か意味はあるんでしょうか?
 

sosite_sub5.jpg

 
是枝:あの台詞は衣装合わせの時にリリー(・フランキー)さんがもじもじしてた(子役の)慶太くんを和ませようとして言った言葉で台本にあったわけではないんです。それがとても良かったので台本に書きました。何がしたかったかと言うと、あの一言で慶太くんがどう結論を出すかではなく、ひとつの家族がひとつの家族を受け入れて、これからの人生を一緒に生きていく。そういうニュアンスを残したいと思ったんです。自分を導いてくれた一言を育ててくれた父親に返していく。その言葉が一人の男の子と父親を結んでいくイメージで。
 
 
意外と細かいこだわりはまだいろいろあるので、また映画館へ足を運んで頂ければと思います。



(2013年12月 7日更新)


Check

Movie Data



(C)2013『そして父になる』製作委員会

『そして父になる』

●大阪ステーションシティシネマ、MOVIX八尾、
 MOVIX堺、舞鶴八千代、シネ・リーブル神戸、
 プラット赤穂シネマ、彦根ビバシティシネマ、
 ジストシネマ御坊、ジストシネマ田辺、
 ジストシネマ南紀にて大ヒット上映中!!
 12月7日(土)より、福知山シネマ、シネ・ピピアにて公開

【公式サイト】
http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/161667/