監督6作目にして
「やっと自信を持って「できた」といえる」(三谷)
三谷幸喜監督&大泉洋
『清須会議』会見レポート
数々のヒット作をおくり出してきた三谷幸喜が、自身が手がけた同名小説を映画化。三谷初の時代劇となる映画『清須会議』が、11月9日(土)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて公開に。そこで先日、羽柴秀吉を演じた大泉洋と三谷監督が、秀吉の本拠地である大阪城を訪れ、普段は非公開となっている旧第四師団司令部庁舎の屋上で天守閣をバックにPRイベントを行った。
本作は“会議で歴史が動いた”と言われる清須会議をテーマに、明智光秀の謀反によって織田信長がこの世を去った後、彼の跡取りとして名乗りをあげたふたりの男、猛将・柴田勝家と後に天下を統一する羽柴秀吉を主人公に、彼らが清須城で繰り広げる頭脳戦とその時代を懸命に生きた人々の可笑しくも愛おしい姿を描いた群像劇。
場所を移し行った会見で初の時代劇について聞かれると「司馬遼太郎原作のNHK大河ドラマ『国取り物語』(1973)を見て、戦国ファンになった」と三谷監督。しかし戦国ファンと言っても「合戦やアクション的なものではなく、人間と人間のぶつかり合いのようなものが好きだった」と話し、当時「親戚が見ていたビジネス書の“会議”について書かれているページで“清須会議”という言葉を見つけ、それで調べていくうちに、戦国武将が戦ではなく会議で何かを決めていたという話が自分にフィットして“清須会議”のことが頭から離れなくなった」と、本作の題材との偶然にして運命的な出会いを明かした。また「構想40年。いつか何らかの形にしたいとずっと思っていました」と本作への思い入れは特に強いようで、監督6作目にして「やっと自信を持って「できた」といえる作品が完成した」と胸を張った。
そして、三谷映画と言えば錚々たる豪華キャストも見どころのひとつ。今回の出演者について三谷監督は「子どもの頃から人名事典の肖像画を見続け、声も聞こえてきそうなぐらいの確固たるイメージがあった」と歴史が本当に好きだった子ども時代を振り返り、「今回そのイメージどおりの方にお願いして出ていただけた」と満足げな表情を浮かべた。
となると気になるのが、秀吉役を大泉にしたポイント。「大泉さんはバラエティタレントや芸人に思われがちですが、舞台で一度お仕事をご一緒していて役者として本当に素晴らしい方だと知っていました。秀吉という役は、明るくて茶目っ気があってみんなの心をつかむ。だけど、裏では嘘をついたりクールで邪まな部分も持っていて、尚且つ奥底には燃える魂を抱えているような割と複雑な役なので、大泉さんにと思った」と、大泉を大絶賛! しかし、続けて「“サル”と呼ばれたことで有名な秀吉ですが、信長は秀吉を「ハゲネズミ」と呼んでいたという記述が実際に残っていて、そのビジュアルにしたいという思いもあった」と付け加え、「以前『ゲゲゲの鬼太郎』でネズミ男を演じた大泉をイメージした」とキャスティングの経緯を明かした。

それを受けて大泉は今回演じた秀吉という役について「大きな役ですから以前から憧れもありましたし、今まで様々な作品で秀吉を演じてこられた方々の格好いいイメージがありました。なので、僕も格好よく演じたいなと思っていたんですが、扮装してズラを付けたら自分のイメージと違いました」と苦笑い。しかも、その特殊メイクを施したスタッフは「偶然にも以前ネズミ男を演じたときと同じ方だった」とのこと。
演じる上での役作りとしては「監督から悪役になっていいと言われていたので、自分の野心に向かって素直に突き進む気持ちで挑みました。だけど、映画を観てみるとどこか嫌いになれないキャラクターに映っているんです。これが三谷さんのすごいところだと思います」とコメント。また大泉は「三谷さんの緻密な脚本が大好き。三谷さんにしか書けないストーリーだと思う。三谷さんの作品の中でも、本当に僕は最高傑作じゃないかなと思っています」と絶賛した。
(2013年11月 9日更新)
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