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撮影中の凶悪犯たちは和気あいあい!?
人間の闇にせまる社会派問題作『凶悪』
山田孝之、白石和彌監督 舞台挨拶レポート

 2007年に発表され大反響を呼んだベストセラー・ノンフィクション『凶悪-ある死刑囚の告発-』(新潮文庫刊)を、白石和彌監督が映画化した社会派問題作『凶悪』が、9月21日(土)より、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマほかにて公開。本作は、“明潮24”編集部が死刑囚の告発をもとに取材を重ね、ペンの力で警察を動かし凶悪な殺人事件の首謀者を逮捕するまでが描かれる。山田孝之が事件の首謀者を追うジャーナリスト・藤井を、ピエール瀧が死刑囚・須藤を、そしてリリー・フランキーが事件の首謀者である木村を演じるなど個性的な俳優陣のキャスティングにも注目が集まっている。公開を前に行われた有料先行上映会では、主演の山田孝之と白石和彌監督が来阪し、舞台挨拶を行った。
 
――まずは、ご挨拶から。
山田孝之(以下、山田):結構ドシンとくる作品ではありますが、この映画には今社会が抱えている問題点が多く提示されています。答えは出なくてもいいので、そういうところを観て、感じて、考えるのが大事だと思います。そのきっかけになればいいなと思っています。
 
白石和彌監督(以下、白石監督):観終わった後、スッキリとはしないかもしれません。ただ、観た後スッキリすることが、映画に必要とされていることなのか? と思っているところもあります。そういう意味では、今なかなか邦画の中でこういう映画がないので、今まで観たことのない映画体験ができるのではないかと思います。観終わった後「面白いと言い辛い」と言われたりもするのですが、いや面白がっていいですよと言いたいです。
 
――ご挨拶から「重い」「辛い」と言う言葉が出てきておりますが、脚本を読まれて、一番感じられたことは何ですか?
山田:いろいろあるので一番というのは難しいですね。実際の事件が元になっているので、「面白い」とは言い難いかもしれません。でも、あくまでもフィクションで、映画としてすごく面白い作品です。僕の演じた藤井というキャラクターが人としてどうなっていくのかという気持ちの変化を意識して演じましたので、その点も観てもらいたいと思っています。この後、食事とか、タイミング悪く誕生日パーティーがある人には本当に申し訳ないですが、今まで宣伝期間の間に「パーティーの前には絶対に観ないでください」と注意をしてきたので、その後の友達関係がどうなろうとあなた方の責任です(笑)。そのぐらい破壊力がありますが、本当に面白いですし、意味がある作品だと思っています。
 
――観終わった後、この映画について友達とお話をしていただくのもいいですね。
山田:そうですね。こういうものを観た後で、ちゃんと話ができる関係性こそ、大事な関係だと思います。マジメに言ってしまった(笑)。
 
――では、撮影時のエピソードを聞かせていただけますか?
白石監督:リリー・フランキーさんは、自身が演じる役について「こいつ、ひどいですよね。でも淡々と面白おかしく殺せばいいんですよね」と、いつもの飄々とした感じで言っていたんですが、撮影が終わりかけたときに、「昨日飲みに行ったんですけど、(店の)マスターに「そいつぶっこんじゃえよ(※殺しちゃえよ)」といつの間にか言っていた」という話を聞かされ、普段と変わらず自然体に見えたリリーさんも、それだけ役に入り込んでいらっしゃるんだなと思いました。
 
――リリー・フランキーさんとピエール瀧さんは仲がいいそうですね。
白石監督:20年来のお付き合いと聞いています。普段からよくお酒を飲んだりされているそうです。現場では、撮影中は人を殺しながらも、休憩になると控え室に行って、ふたりで(ゲームの)「どうぶつの森」をやっていたようです(笑)。
 
山田:僕も誘われました。お断りしましたけど(笑)。リリー・フランキーさんとピエール瀧さんに「どうぶつの森」を勧められるという状況はすごく面白かったんですが、お断りしました(笑)。あと、現場で瀧さんがWii Uをアマゾンで買って、「山田くんも一緒にドラクエ10やろうよ、買いなよ」と言われたりもしました。そのときは1日渋って、翌日見たら値段が上がっていて。「だから言ったじゃん、早く買わないとまた値段が上がるから、買いな」と瀧さんに言われて、僕も買いました。何の話してるんでしょうね(笑)。ま、いっか。連絡先も交換して「一緒にやろう!」と言われたはずなんですが、まだ1回も使っていなくて、家のインテリアになっていますね…。どうでもいい話でしたね(笑)。
 
――リリー・フランキーさん、ピエール瀧さんとの共演は今回が初めてですか?
山田:おふたりともお会いしたことはあるんですが、共演は初めてです。今までいろいろな作品でいろいろな役者の方々と共演してきましたが、今までに感じたことがない、おふたりそれぞれ新鮮なものがありました。
 
――山田さんにとって大阪とは?
山田:今日は日帰りですが泊まりの時は、知り合いもいるので飲みに行ったりします。ミナミを歩いたこともありますし。「たこ焼きくれー!」とか言って(笑)。そこへ行ったらそれを食べるみたいなことはあまり好きではないのですが、仕事で来ると、やっぱりたこ焼きやお好み焼きを出してくれるんですよね。それで、食べるとまた違うたこ焼きも食べたくなってしまって。結局、“大阪=たこ焼き”になってしまうんですかね。
 
白石監督:僕は串カツですね。ソースを二度づけして怒られたことがあります(笑)。
 
――では、最後のメッセージをお願いいたします。
白石監督:凄惨な事件を描きつつ、でもこれぞエンタテインメントという作品を作りました。観始めるときと観終わったときでは自分の中の感情が違うところに行くかと思います。その感情をどこに置いたらいいか、皆さんも観終わった後探してみてください。よろしくお願いします。
 
山田:人それぞれ好みがあるので、この映画を観て合わないなと感じる人もいると思います。好みに合わなければ、それは心に留めておいていただいて、もしかしたらこういう映画が好きかも! という人に勧めていただけるとありがたいです。メッセージ性の強い、こういう作品だからこそ、多くの人に観てもらいたいです。よろしくお願いします。



(2013年9月19日更新)


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山田孝之
白石和彌 監督

Movie Data


(C)2013「凶悪」製作委員会

『凶悪』

●9月21日(土)より、大阪ステーションシティシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://www.kyouaku.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/161371/