「ボク自身も大好きな作品!」と
松田龍平が太鼓判を押す感動作『舟を編む』
先行上映会舞台挨拶レポート
2012年の本屋大賞1位に輝いた三浦しをんによる同名ベストセラー小説の映画化『舟を編む』が、大阪ステーションシネマほかにて大ヒット公開中。一般公開に先立ち開催された先行上映会では、松田龍平と宮﨑あおいが来阪、舞台挨拶を行った。
松田は冒頭から「ボク自身も大好きな作品」と映画『舟を編む』を紹介。完成した本作への自信を覗かせる挨拶を行った。そして、コミュニケーション能力は著しく低いが、言葉への熱い思いを秘める主人公の馬締という役については「言葉はたくさん知ってるが、うまく人に気持ちを伝えることができない人」と説明。しかし「そんな彼が言葉を扱う辞書を作るということが、まず面白いと思った」と付け加えた。そんな馬締が暮らす下宿の大家の孫娘で、板前を志す香具矢を演じた宮﨑は「包丁の扱い方を教えていただき、こんにゃくを刺身に見立てて切ったり、長い包丁を使って刺身をさばく練習をした。料理をするのが更に楽しくなるような良い刺激をもらった」と裏話を語り、撮影前を振り返った。
そして、映画の中で気になるのが、このふたりの恋の行方。“好きになるという演技”について聞かれると「馬締が香具矢を好きになる感じは観ている方にも分かりやすく伝わると思う。反対に、香具矢が馬締に対してどう思ってるのかが気になるところだが、それがだんだん分かってくる感じは観ていてすごく面白いんじゃないかと思う」と見どころを語った松田。これは映画を観てのお楽しみだが、不器用で純粋な馬締とどこか謎めいた魅力を放つ香具矢の恋愛模様にも注目だ。そして、ある意味主人公と言える“辞書”そのものに本作を通して触れたことで、辞書を引きたくなったという宮﨑。「どうしても携帯電話などで簡単に調べてしまうことが多いけれど、家にあった辞書を引いて語釈(言葉の仕様)を見ると辞書によっても違うので面白いと思う。辞書によって個性が出てると思うので」とコメント。それを受けて松田は「ボクも知らない世界だったので面白かった。撮影中にたまたま“国境”という言葉を辞書で調べてみたら、辞書によって語釈が違って、その時に今ある辞書に載っている使用例を使えない状況の中、すべての言葉に使い方を書くというのは途方もないことだと思った」と撮影を通して知った、辞書作りの苦労を教えてくれた。
別日に行われた試写会でも主演の松田龍平と石井裕也監督が来阪、こちらでも舞台挨拶が実施された。そこで「辞書作りは派手ではない淡々とした作業だが、長い年月をかけてコツコツ続けている人たちの“静かな情熱”みたいなものを映画にしたいと思って作った」と本作へのこだわりを語った石井監督。また松田も、同い年の石井監督とは「一生懸命さ、言葉が少ないながらも熱い想いが見えたらいいなと話した」と、セリフの量は決して多くないが馬締を演じる上での役作りについて監督と何度も話し合ったことを明かした。また、大阪のイメージについて聞かれた松田は「日本は、あいまいな言葉の文化が強い中で関西の人は、イエス、ノーがはっきりしている。「なんでやねん」など、はっきりものを言うイメージがある」と辞書に関連づけた表現を混ぜて笑顔で答えた。
(2013年4月12日更新)
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