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ホーム > NEWS > 「人生は決して捨てたもんじゃないという 多幸感に包まれていただきたいです。」(佐藤) 成島出監督、佐藤浩市、西村雅彦が登壇した 『草原の椅子』舞台挨拶レポート

「人生は決して捨てたもんじゃないという
多幸感に包まれていただきたいです。」(佐藤)
成島出監督、佐藤浩市、西村雅彦が登壇した
『草原の椅子』舞台挨拶レポート

 芥川賞作家・宮本輝の同名小説を『八日目の蝉』の成島出監督が映画化。カメラメーカーの営業局次長・遠間憲太郎(佐藤)は、ひょんなことから友達付き合いをするようになった取引先の社長、富樫(西村)と、偶然に知り合った独り身の女性・貴志子(吉瀬美智子)、そして親に見離されてしまった子ども、圭輔(貞光奏風)と4人で日本を出て異国の地へと旅することを決めるが……。そんな“世界最後の桃源郷“と呼ばれるパキスタンのフンザを目指す、性別も年齢もバラバラの日本人4人の旅を描く力強い人間ドラマ『草原の椅子』の先行有料上映会が先日、梅田ブルク7にて行われた。そこで行われた、成島出監督、佐藤浩市、西村雅彦による舞台挨拶をレポートします。

(上の写真は、田口(ゲスト)のチャンピオンリングを借りて撮影したひとコマ)

 
――この映画に関わられたことでの率直な感想をお伺いできますか?
 
佐藤浩市(以下、佐藤):ぼくは、52歳になったんですけれども、この映画に参加できたことで自分にとって50代のいいスタートが切れたような気がしました。
 
西村雅彦(以下、西村):映画を通して自分自身も今一度立ち返って「これから先をどう生きようか」という思いに至らせてくれたので、本当にいい機会を与えてもらったなぁと感謝しております。
 
――監督がこの作品に込められたメッセージを教えていただけますか?
 
成島出監督(以下、成島監督):原作の宮本輝先生が「善人、良き人たちの繋がりに舞い降りてくる幸福の連鎖が最近のボクのテーマなんです」と以前おっしゃっていて、いい言葉だなと思ったんです。なので、観てちょっと幸福になる映画を目指したいと思いました。
 
――この作品は結構笑えるシーンもありましたね。
 
佐藤:先ほど監督から善人と言う言葉が出ましたが、この映画は完全無欠のヒーローが出てくるわけではありません。ぼくが演じた役も、娘の本音が聞きたいが為に昔の浮気話をしてしまい娘に「やめて!」と怒られたりする情けない人。でも善人なんです。善人というか普通の人たちが普通に生活していて、いろいろなことに巻き込まれる。そこにクスッと笑えるユーモアがあるんですよね。
 
――西村さんは、大阪のカメラ屋さんの社長さんの役ということで関西弁ですしね。
 
西村:関西と言っても、岡山の白石島というところの出身という設定で、大阪弁とは少し違うらしいんです。まぁ、多少のことは目をつぶってください(笑)。白石島の方に観ていただいたら「完璧だ」とおっしゃってくださいました。なので、そこのところは安心して観ていただけると思います。一切、ツッコミどころがない関西弁(※キッパリ)。思う存分楽しんでいただけると思います(※さらにキッパリ)! 関西弁を喋るに当たって方言指導の方が常にそばにいてくれました。ありがたい存在でした。ニュアンスを正していただき、なくてはならない存在でした。その方がいなければ、わたしはこうしてここに立ってはいられません。感謝しています。」
 
――ははは(笑)、力強くて選挙演説みたいですね(笑)。ありがとうございます。
 
 
~ここで50歳を過ぎてから新しい人生を再構築するというテーマの映画に因み、なおかつ関西に縁のある方として、関西学院大学からオリックスへドラフト1位でイチロー選手と同期入団、日米野球界で輝かしい功績と記憶を残され、昨年現役を引退。今は野球解説者やラジオパーソナリティとしても活躍する田口壮がスペシャルゲストとして登場~
 
――では、田口さん、映画の感想をお聞きしていいでしょうか?
 
田口壮(以下、田口):この映画は、ぼくの完全永久保存版になりました。映画の中は、観客のみなさんにも当たり前に起こっているようなことからスタートしていきますが、そこから新しい人生が始まります。タイトルが『草原の椅子』なので、「草原とは?」「椅子とは?」はたまた、それをくっつけて「草原の椅子とは何だろう?」など、いろいろ考えさせられながら観ていると、最後の最後に「頑張れよ」と背中をポンと押されたような気分になりました。人生の岐路に立った時に観るのも良し、何かで困った時に観るのも良し、毎日観るのも良し。そんな素晴らしい映画ですね。
 
――素晴らしい感想ですね。では、次は田口さんから質問があれば…
 
田口:新しい人生のスタートということで、もし今の仕事から変わるとしたらどんな仕事に就きたいですか?
 
佐藤:なんでしょうねぇ。メジャーリーガー(笑)! なれるわけないでしょうけど(笑)。ぼくは勤め人にはなれなかっただろうし、たぶん客商売も向いてない、いったい何者なんだろう。30代前半くらいまで、自分が何が出来るのかも考えずに「いつでも辞めてやる」と思ってたんですよ。でも30代半ばになって「もう辞められない、どこにも逃げ道はない」と思いましたね。
 
西村:ぼくは、旅人ですね。リスタートは、ゆっくり旅をしながら人と出会ってそこから生きるヒントをいただいて、少しずつ自分を成長させて、その中で何かをみつける。それが仕事ではないですけど、生きることが仕事だと思っていますから。それで許してください。何言ってるのか分からなくなってきました(笑)。
 
成島監督:ぼくは、この映画の中にも出てくる器などを作られた中里隆さんという人に20代の頃にすごく憧れたことがあって、焼き物を焼く陶芸家とかいいなって。その人はヒゲもじゃでキリストみたいな風貌してて、1年の半分くらい海外で過ごして、すごい自由人なんです。
 
佐藤:監督は考える時間があったからいいですね。
 
――ははは(笑)。佐藤さんは考える時間もなく、すぐにお聞きしてすみません(笑)!
 
西村:じゃオレ、ダンサー(※ものすごく無邪気な感じで)! 体で気持ちを表現する、表現者になりたい! 今更な感がありますけど(笑)。
 
――ははは(笑)。では、最後にメッセージを。
 
成島監督:大画面でフンザに一緒に旅に出た気分になっていただけたら嬉しいです。
 
西村:この映画にアクションはありません。派手さもありません。しかし、ゆるやかな時間の中で流れるこの映画を思う存分楽しんでいただいて、希望の光を感じていただけたらと思います。
 
佐藤:作品には児童虐待とか重たいテーマも内包しています。でも、ちょっとクスクス笑いながら、滑稽さを交えた我々の演技を観ていただけたらと思います。前列に小学生くらいのぼっちゃんがいるんですけど…。また30年後にもう一回観てくれ。ちょっと大人向けの映画かもしれない。ごめんね。でも若い方にもたくさん観ていただきたいです。人と関わるってことは、煩わしかったりめんどくさいこともあります。でも、人生は決して捨てたもんじゃないという多幸感に包まれていただきたいです。
 



(2013年2月22日更新)


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Movie Data



(C)2013「草原の椅子」製作委員会

『草原の椅子』

●2月23日(土)より、梅田ブルク7ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.sougennoisu.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/160375/