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今、最も注目される気鋭の若手監督
空族(富田克也+相澤虎之助)、
冨永昌敬、真利子哲也が来阪!
『同じ星の下、それぞれの夜』舞台挨拶レポート

 今、最も注目される気鋭の若手監督、富田克也(『サウダーヂ』)、冨永昌敬(『パンドラの匣』)、真利子哲也(『NINIFUNI』)が制作したオムニバス映画『同じ星の下、それぞれの夜』が第七藝術劇場にて3月8日(金)まで上映中。公開初日に、空族(富田克也+相澤虎之助)、冨永昌敬、真利子哲也という豪華すぎる4名が来阪し行った舞台挨拶をレポートします。

 

 本作は、第4回沖縄国際映画祭の地域発信プロジェクトのアジア版として企画、製作されたもので、富田監督が『チェンライの娘』(タイ)、冨永監督が『ニュースラウンジ25時』(フィリピン)、真利子監督が『FUN FAIR』(マレーシア)と、それぞれの国で同じ時刻に起きた奇跡を描いていく。
 
 
――制作の経緯、それぞれの国はどのように選んだんですか?
 
富田克也監督(以下、富田):もともと冨永さんと真利子さんのおふたりが主導で動いていた企画に、3ヵ国で撮るということで呼んでいただき、参加させてもらいました。僕らは空族(クゾク)という名で数本の映画を作ってきたんですが、その中にはタイが出てきたり、タイをイメージするような作品が多く、実は次回作もタイを舞台に撮りたいと考えていたこともあって「タイで撮れるんでしたら、是非参加させていただきたい」と言いました。一番最後に参加することになったのにね(笑)。もともとは冨永さんがタイで撮る予定だったんですが、わざわざ変わってもらってまで、僕らはタイで撮影させていただきました。
 
相澤虎之助(以下、相澤):本当すみません。タイが好きで(笑)。
 
冨永昌敬監督(以下、冨永):僕のはニュース番組を扱っている物語なので、日本の民放のテレビ局の支局がありそうなところを舞台にしたいと思っていました。テレビ局の知り合いでバンコクに行ってる人がいて、その人から話を聞いたりしていましたし、バンコク(タイ)を希望してたんですが、富田さんが「タイじゃないと出来ない」と言うんで(笑)。それで、マニラ(フィリピン)もかつて支局があったというのを知り、マレーシアには支局がないようだったのでフィリピンで撮らせてもらいました。主人公が日帰りで行けるところが物語の設定上マストだったんですが、フィリピンが3ヵ国の中で一番近いので結果的には良かったかなと。これは、後から気付いたんですけど、富田さんに感謝してます(笑)。
 
真利子哲也監督(以下、真利子):ま、そういう流れで僕はマレーシアになりました。行ったことない国でしたが、大阪で主に活動しているリム・カーワイという(マレーシア出身の)監督と以前から友達だったので、彼に現地コーディネートをしてもらい撮影させてもらいました。
 
――それぞれの作品の感想は?
 
富田:撮影期間に余裕のある企画ではなかったんですが、その少ない時間の中でどれだけ多くの時間を撮影に費やせるかが僕らにとっての決め手だと思いました。要するに、人脈があったり得意な場所であるということで、タイを頂いたので、僕らはとっとと現地に飛んで、タラタラと滞在することで起きたことを映画に引っ張り込んで撮影したんです。お互いのシナリオ等は前もって読んでいましたが、真利子さんのは、小さな女の子とヤギというコントロール不能のシナリオで、冨永さんも全然決まってないう噂は届いてきてて。大丈夫なのかなとひたすら心配してましたが、出来上がった作品を観てみて、冨永さんは年齢は下ですけど映画界で言うと大先輩ですし、緻密な計算のもとによくぞ短期間でこんなピシッとしたものが撮れるなとビックリさせられましたね。真利子さんのは劇中に出てくる遊園地もシナリオに書いてたんでね、あぁいう遊園地がみつかったり、完全にミラクルで出来てるなと。そういった意味で短い期間の中で、僕らは3者とも違った特徴のある撮り方だけど見事に融合してるなと思いました。
 
相澤:3作共、たくさんの言語と音が鳴ってるんで、その辺に注目して思い返してもらうとまたちょっと違った雰囲気が楽しめるんではと思います。
 
冨永:準備段階ではどれが1話目とか決まってなかったんですが、自分が2話目になるんじゃないかと思っていたんですよ。大した理由はないんですけども、富田さんはたぶん50分くらいの作品撮るんじゃないか、真利子さんは40分くらいかなと。それで自分が時間調整じゃないですけども20分くらいにしようと思ってたんです。
 
富田:僕、それを計算に入れて長くしました(笑)!
 
冨永:それで、結果的にそんな感じになったわけですが、他に2組いるということが、いろんなケースで刺激になってたと思うんです。国はそれぞれ違いますけど、日本人の男がトラブルに巻き込まれるという物語が偶然一致して、オムニバスとしても綺麗に繋がりましたしね。自分がなんで2話目になると思ったかは覚えていないんですが、そこでいい役割を果たしたい。空族と真利子さんの間での立ち位置を考えるのが面白かったですね。
 
真利子:確かに口裏を合わせたわけでもなく、日本人がトラブルに巻き込まれるという話になりましたね。お話が繋がってるわけではないですが、それぞれ情報を交換したりせずに撮ったのに結果的にまとまりが出たなと思いました。
 
――作品から、タイは怖そうな場所、フィリピン、マレーシアは現地の人がいい人そうな印象を受けましたが実際は?
 
富田:正直に言うとフィリピンが一番やばいです。町なかに普通にマシンガンとさらに拳銃二丁とか持ってるガードマンみたいな人がいて、どんな銃撃戦を繰り広げられるんだろうみたいな(笑)。僕らも歩いてて「チップよこせ」みたいな感じで声をかけられて、銃を見せられた体験とかしてるんで。そういう実感から行くとマニラは危険な街だな。タイはそこまでじゃないかな。タイのいわゆる歓楽街でのシーンはゲリラでチャチャッと撮りましたが、みつかってたら危ないことになってたかもしれないですけどね。
 
冨永:準備の段階から富田さんは「フィリピンが一番やばい」と言ってましたね。タイを譲ってあげてフィリピンになった人間に「フィリピンやばいから気をつけろよ。すぐ銃出てくるから!」と言うんですよ(笑)。僕はフィリピンどころか3国どこにも行ったことなかったですし、外国が得意なわけでもないのでロケハンも億劫な気持ちでした。僕の作品は日本とフィリピンを行ったり来たりする物語で、半分は日本での撮影でしたからフィリピンに長く滞在することはなかったんですが、マニラもキレイなところもあって9割くらいは安全なんですよ。残りの1割が本当に危険というのが後で分かって。富田さんと相澤さんはその危険なところしか観てないから「やばいぞ」って言ってたんですね。
 
真利子:フィリピンはやばいって言い切りましたもんね(笑)。
 
冨永:フィリピンの人に聞かれたら怒られそうですよ(笑)。実際はいいところでしたよ。僕も先入観持ってマニラはやばいと信じ込んでいたんですが、ほとんど安全だけどやばい場所もあるというのは日本やアメリカだって一緒だと思います。マニラが一番危険というのは確かなんですか?
 
富田:それは間違いないですね(※キッパリ)。言い切りました(笑)。僕たち危ない目にいっぱい逢ってますので。まず、フィリピンは銃が持ててしまう国なんでね。タイは持てませんから。そういう意味でも危ないところは危ないです。
 
真利子:マレーシアは老後に住みたい国ナンバー1らしいんですよ。移住する方も多いらしくて。というのを知る限りいいところなんだろうなと思います。中華系とインド系とマレー系の人が、ごっちゃになって生活をしていて、それぞれ宗教も違うわけですが、基本的には争うこともないので住みよいいい所だと思います。
 
――キャスティングについては?
 
富田:よしもとさんが制作の映画なので、(レイザーラモン)RGさんと数名の芸人さんを希望で選ばせていただいて、その中からRGさんが来ていただけることになりました。RGさんは聞いた話によるとサブカルが大好きな方で、僕らのことを知ってくださってて。しかも、前作の『サウダーヂ』も観てくださっていたので、初めてお会いした時もそういう話が通じたので僕らもやりやすかったですし、嬉しかったですね。
 
冨永:僕は、ムーディ勝山さんにお願いしたんですが、以前から映画俳優に向いているんではないかと漠然と思っていたんです。テレビで「仕事がない」とか言われてるじゃないですか? それでも本当はちょいちょい仕事あって忙しいんじゃないかと思ってたんですが、キレイに(スケジュールが)空いてたんで(笑)。普段は分かりませんけどね(笑)。
 
真利子:僕は芸人さんではなく俳優さんの山本剛史さんなんですが、ちょっと思い込みが激しいようなキャラクターがいいなと思って、一番最初に山本さんの名前を出していたんです。今は事務所を変わられたんですが、その時は、よしもとさんに所属されていて出てもらいました。
 
――では、最後にひとこと。
 
富田:お話をいただいて撮るということも、オムニバスを撮るということも初めてだったので面白かったです。ひとつの作品を手がけると仲良くなるんですよね。そういう経験が出来たことがまずひとつ良かったです。日本という国は今まで豊かな国だったから、あまり外の国のことを意識しなくても生きてこられたんですけど、今ここに来て日本もアジアのひとつだと。僕たちは、そういうことを意識して他の映画も作ってきているので、こういう企画が立って、映画が作られたことをいいことだなと思います。
 
相澤:僕たちの今までの映画『国道20号線』や『サウダーヂ』と同じように、空族の作品の中のひとつの短編として、他の作品と比べてみていただくと共通点があったりするのでそれも合わせて観ていただければ幸いです。
 
冨永:3作品は綿密な打ち合わせをして作ったわけではなかったけど、結果的に3作品に共通点が出来ていたと思うんです。それは無意識に南の国に対してそれぞれが似たようなイメージを持ってたことの現れなんじゃないかと思います。3作品ともに監督と同世代くらいの男性が出てくるところに、狙って撮っていない、より正直な部分が出たんじゃないかと思います。日本人の男性が東南アジアに対して持ってるパブリックイメージに近いものが出てきたんじゃないかな。
 
真利子:マレーシアで手探りで撮った映画ですが、こうやって自信を持って上映できたということが、自分にとっていい経験になったなと思っています。登場する日本人に感情移入して各国に旅をしているような感覚を与えられてる作品だと思っているのでたくさんの方に観てもらいたいと思います。



(2013年2月26日更新)


Check
左から、真利子哲也監督、冨永昌敬監督、空族(相澤虎之助+富田克也監督)

Movie Data



(C)「同じ星の下、それぞれの夜」製作委員会

『同じ星の下、それぞれの夜』

●3/8(金)まで、第七藝術劇場にて上映中
●3/9(土)より、京都みなみ会館にて公開
●4/13(土)より、神戸アートビレッジセンターにて公開

【公式サイト】
http://www.onajihoshi.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/161326/