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堺雅人、内田けんじ監督が西宮で撮影裏話を語った!
ハラハラドキドキの胸キュンサスペンスムービー
『鍵泥棒のメソッド』大ヒット御礼舞台挨拶レポート

 『運命じゃない人』('04)、『アフタースクール』('07)など、巧妙に練られた脚本とスリリングで軽快な作風で定評のある内田けんじ監督の最新作『鍵泥棒のメソッド』の大ヒット御礼舞台挨拶がTOHOシネマズ西宮OSにて行われた。ひょんなことから人生が入れ変わってしまう売れない役者・桜井(堺雅人)と記憶喪失となってしまった伝説の殺し屋・コンドウ(香川照之)。そんなふたりと婚活中の編集者・香苗(広末涼子)の人生が絶妙に絡み合う様を描き出す。

 
 今回、インターネットで購入する電子前売券“ムビチケ”の販売数がナンバー1となったことを記念してTOHOシネマズ西宮OSで行われた主演の堺雅人と内田けんじ監督の舞台挨拶。当日は、台風17号が関西を直撃したが、ふたりの登場に場内は外の嵐を吹き飛ばすかのような大歓声が起きた。
 
堺雅人(以下、堺):いやぁ大変な日に(笑)。みなさん帰りの足は大丈夫ですか? 我々もなんとか、新幹線で今日無事にここに来られて、これも神社のえびす様のお導きかと本当に嬉しく思っております。作った映画が皆さんの手に渡って、観られた皆さんの熱気や雰囲気をこうして味わうことが出来るというのは、役者にとってとてつもない喜びで、すごいご褒美をいただいたような気分になっております。おひとりおひとりにご感想を伺いたいくらいの気持ちですが、みなさんの上気したお顔を拝見するだけで、本当にこの映画に参加して良かったなと心から思います。
 
 35歳でボロボロのアパートに住む売れない貧乏役者・桜井。映画の中では、誰もが認めるダメ男を演じた堺のひと言目の挨拶を聞いて、内田けんじ監督(以下、内田)は、「舞台挨拶では、桜井とはまったく違う(笑)、しっかりとした堺さんのギャップを楽しんでいただければと思います」と、既に映画を鑑賞したお客様へ挨拶した。その桜井という役柄について堺は―
 
:案外、僕自身の素に近い感じもします。映画を観た色々な方に「下手な芝居が絶妙でした」と言われる度に、心の一番柔らかい部分が傷ついたりもしてますが(笑)。僕が演じた桜井は、売れてないという致命的な弱点はあるんですけど、とても純粋で、楽観的に物事を捉える、この場所にいなくてはいけないという変な思い込みがあるという意味では僕はすごくいい役者だと思いました。好きな俳優だし、自分と共通点もある。いい役を演じられて良かったと思います。
 
内田:桜井という役は、自分の演技を気に入って少しノリ過ぎるところもありながら、締めるところは締めなきゃいけない。この役を演じられる人はなかなかいないと悩んでたんですが、堺さんなら出来るなと。車の中で写真を見て泣くシーンがあるんですけど、堺さんのその演技を見て、桜井ってこんなにバカだったんだと、桜井のキャラをつかんだ気がしました。
 
 前作『アフタースクール』に続いて2度目のタッグとなる堺に、監督は「偏差値を30くらい下げて」と要望し、堺は偏差値を35は下げて望んできたという。監督の要望を軽々と超える演技をみせるというのは、実力ある俳優ならではのエピソード。また、記憶喪失になっている間に人生を桜井に交換されてしまい、とまどいながらも桜井の服を着ている、というだけで笑いを誘う香川照之演じるコンドウについて、内田は「衣装合わせの時から面白かった」、堺も「あれは役者として反則ですよね(笑)」とふり返った。最初は本当に不自然で似合わないのに、だんだんそれを着こなしていくコンドウの服装は本作のちょっとした見どころとも言えるかもしれない。また、他のシーンでの撮影裏話も出てきて―
 
:冒頭の銭湯のシーンはスピーディで短いシーンですが撮影は1日掛かりだったんです。その間、キャストとエキストラの方は裸でずっと待ってて。
 
内田:湯船に半日入ってる人もいました。そこで、香川さんが前張りひとつでアスリートみたいなことをやっていました。
 
 冒頭の重要な銭湯シーンで宙を舞う香川に、堺も「スタート前のハイジャンパーみたいでした」とコメント。1日中裸で助走をつける練習をしていた香川と、1日中裸でそれを待ちながら撮影に望んだ堺ほかキャストとエキストラ。文字通り身体をはった撮影が行われたと思いながら、再度映画を観るとまた感じ方が違ってくるかもしれない。また、コンドウが桜井に演技指導をするシーンでは―
 
内田:演技を教えるシーンは面白かったので、6回ぐらいやってもらいました。確かテストの時はなかったんですけど、堺さんが本番でいきなり「てめぇ」って言いながら這い上がる芝居をしてきて。あれがこの映画で唯一のアドリブですね。あの時は香川さんもスタッフも、グッと笑いを堪えて撮影してます。
 
:僕はエアガンで撃たれていますが、微妙にエアガンが不調で球が出ないこともあって、小道具さんが調整したら、次はものすごい勢いで弾が出て芝居にならないぐらい痛い時がありました(笑)。その度に何度も撃たれましたが、香川さんに「笑いを堪えるのが大変だった」と言われて非常に嬉しかったです。
 
 次々に飛び出す撮影の裏話に会場は大盛り上がり。また、最後の写真撮影時には西宮の中央商店街のゆるキャラで耳たぶを触ると幸運の鈴がなるという“ふくみみ福ちゃん”がゲストとして登場。堺も内田監督も予想もしなかった飛び入りゲストに驚きながらも笑顔で迎え、段差のある舞台上で転びそうな福ちゃんに内田が「(落ちたら)記憶がなくなっちゃうよ」と言うと、堺は「僕と福ちゃんが入れ替わるかもしれないね(笑)」とすかさず返し、会場を笑いの渦に巻き込み、福ちゃんの福耳を触ってさらなる大ヒットを祈願した。
 
 最後に、内田が「今日2回目の方おられますか?」と問いかけると多数のお客様が挙手。それを見た内田自身も「そうですよね」と自信たっぷり。この作品は1回のみならず2回、3回観ても新しい発見があり、まるでマジックのような仕掛けが多数散りばめられている。1回でももちろん楽しめるが、是非とも何度も劇場へ足を運んでいただきたい作品だ。



(2012年10月 1日更新)


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Movie Data



(C)2011「鍵泥棒のメソッド」製作委員会

『鍵泥棒のメソッド』

●大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、
 TOHOシネマズ西宮OSほかにて上映中

【公式サイト】
http://kagidoro.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/157854/