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ブラッド・ピットが、弱小球団を再生させた
大リーグのGMを熱演している『マネーボール』の
試写会に元阪神タイガースの赤星憲広が来場!

 メジャー・リーグ球団、オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーンの偉業を描く伝記ドラマ『マネーボール』が11月11日(金)より大阪ステーションシティシネマほかで公開される。膨大なデータ分析を駆使して新たな野球理論を提唱し、低予算の弱小球団を最強のチームに作り上げた男の奇跡に、『カポーティ』のベネット・ミラー監督が迫る感動の物語だ。実在の人物ビリー・ビーンに扮した、ブラッド・ピットの演技も見どころ。公開に先立ち、本作の試写会に元阪神タイガースの赤星憲広が来場し、プロ野球選手ならではの切り口で舞台挨拶を行った。

 

 試写会に登壇したMCがサプライズゲストとして赤星を呼ぶや、会場からは歓声とともに割れんばかりの拍手が沸き起こった。しかし、赤星はMCの“あおり”に「持ち上げすぎです。出てくるのやめようかと思いましたよ(笑)」と焦りながら登場、会場をさらに沸かせていた。まずは、元プロ野球選手の赤星ならではの感想を聞いてみると、「将来GMを目指す僕から言わせてもらうと(笑)、まず日本の現状では考えられないですね。僕としては、感動というよりはすごく考えさせられる部分が多い映画でした。日本にはGMという制度がないので、メジャーの野球がわかる映画でもありますし、日本にGM制度があったらどうなるのかという期待感と不安も感じました。また、ビリー・ビーンをブラッド・ピットが演じているんですが、まず、ブラッド・ピットがブラッド・ピットに見えなくなります。それぐらいはまり役です」とのこと。

 

 本作では、貧乏球団“アスレチックス”のゼネラル・マネージャーのビリー・ビーンが、打率は低くても出塁率の高い選手ばかりを集めて戦うという、画期的な“マネーボール理論”でリーグ戦に挑んでいく姿が描かれる。日本では聞きなれない“マネーボール理論”については?「むちゃくちゃと言うか破天荒と言うか、すごく衝撃的な理論ですよね。今の日本球界に採用するのは難しいと思います。それと、ひとつだけ納得できないところがあって。というのも、盗塁がダメだと言ってるんですよね。それだと僕はチームにいれなくなるので(笑)。また、野球はクリーンナップと呼ばれる3番、4番、5番やエースが目立つというのが通説だと思うんですが、彼の理論では僕のような脇役タイプの選手たちが尊重されるんです。そういう考え方は野球界以外の、例えば会社経営をしている人たちにとっても参考になるのでは」と感じたそうだ。そんな“マネーボール理論”を赤星の古巣である阪神タイガースに当てはめてみると? という質問には笑いながら「阪神にとってはまずいというか、阪神って実は12球団で一番高額年俸のチームなので、この理論を適用すると今の選手たちは誰もいなくなってしまいますから(笑)」とコメントしていた。

 

 “マネーボール理論”を取り入れることは、日本球界では難しいと語る赤星。劇中でもブラッド・ピット演じるビリーの考え方についていくことができないスカウトや監督の姿が描かれるが、それでも厳しい姿勢で“マネーボール理論”を提唱するビリー・ビーンの考え方に共感する部分はあったのだろうか。「ここまで厳しい理論を取り入れるということは、彼の中でもすごく勇気がいることだったと思うんです。でも、心を鬼にしてでもやらなければならない改革はあるんです。彼は、自分がどう思われてもいいというように厳しい態度も見せてますし、そこまでする? という部分はありますが、チームを何とかしたいという気持ちがすごく伝わってくるんです。阪神にしても、どこの会社にしてもトップに立つ人間がそういう厳しい姿を見せてくれるのはすごく必要なことなんです。僕自身も、そういう人がトップにいたら、厳しい中でもやりがいを感じられますし。それに、ビリー・ビーンを演じているのがブラッド・ピットですから、すごくかっこいいですよね(笑)」

 

 とテレビ番組での野球解説の時のように、赤星は要所要所に笑いを挟み、大盛況のうちに舞台挨拶は終了した。その後の囲み取材では、本作にちなんで、GM目線で見た阪神タイガースの現状について質問が及んだ。阪神ファンなら誰しもが聞きたいその答えとはー「もっと戦うことに厳しくならないといけないと思います。選手も首脳陣も含めて、勝つという執念を見せないと勝てないと思います。それが今の阪神に一番欠けている部分だと思います。和田新監督はクールに見えますが、熱い方なので、先頭に立ってやってくださるんじゃないでしょうか。それと、鳥谷は絶対に出しちゃだめです。鳥谷だけじゃなくて新井も止めなきゃいけない。他のチームからFAで選手を取ることを考えるよりも、阪神でFAの権利を持っている選手たちを引きとめることの方が優先順位は高いと思います。何が一番選手として嬉しいのかって、お金じゃないんです。自分がチームに必要とされているっていう熱意なんです。球団は、彼らに絶対残ってほしいという気持ちを表現してほしいです」と熱く語っていた。

 

 最後に、自身の今後について質問されるとー「もちろん、指導者として戻りたいとは思っていますが、僕は大きな怪我をして辞めているので。コーチ業や監督業って選手以上に重労働は多いですし、そういうことを考えると身体のことも重要になってくるので、そのためには身体のメンテナンスをしっかりしないと、選手や球団に対して失礼だと思うんです。でも、1年でも早くという気持ちはあります」と阪神ファンにとっては頼もしい返事が返ってきた。

 

 本作『マネーボール』で描かれるメジャーリーグの話から、阪神タイガースの今後まで様々なことを絡めて、野球解説さながらにわかりやすい映画解説を披露してくれた赤星。本作は、野球について熱く語ってくれた赤星のように、厳しい中に勝つという執念を見せるビリー・ビーンに扮したブラッド・ピットの熱い演技が見どころの人間ドラマだ。




(2011年11月 9日更新)


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Movie Data



『マネーボール』

●11月11日(金)より、大阪ステーションシティシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://www.moneyball.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/153604/